福島県喜多方市の『別格』−豊かな自然が育んだラーメン!−


−ラーメンフェスタ−

今月、訪れるのは、福島県会津地方。
今週は、会津の北、福島県喜多方市の喜多方ラーメンをご紹介しました。札幌ラーメン、博多ラーメンと並んで、日本三大ラーメンのひとつに数えられている、喜多方ラーメン。

全国的にも有名になったそのわけとは? 喜多方ラーメンの美味しさの秘密、愛される理由を探りました。

先月、福島県喜多方市で開催された「ラーメンフェスタ」は、蔵のまち喜多方冬まつり実行委員会が主催した、ラーメンの聖地ならではの祭典です。朝からたくさんの行列ができていました。全国各地のご当地ラーメンが出店する中、喜多方市からは、観光をPRする目的で発足した「蔵のまち喜多方老麺会」のラーメンが参戦していました。喜多方に数あるラーメン店さんの総力の結集と言ったところでしょうか。

−喜多方産業部観光交流課の東海林和宏さん−

イベントを企画した、喜多方産業部観光交流課の海林和宏さんにお話をおうかがいしました。

住吉さん「喜多方ラーメンというと全国的に有名ですけど、いつごろからなんでしょうか?」

東海林さん:「30年くらい前ですかね。もともと蔵のまちとして、PRしてきたんです。それがNHKの番組で放送され、多くの観光客が来てくれるようになりました。でもレストランなどがたくて、食事処が、ラーメン屋さんしかなかったんです。食べてみたら案外ラーメンが美味しいということで口コミで拡がりました。1980年代後半くらいのB級グルメブームにのっかって、全国的に知られるようになりました。もともと高いポテンシャルを持っていたのはあると思います」

住吉さん「喜多方のどんな食材が使われているんでしょうか?」

東海林さん「もともとここは、会津若松の北ってことで、北方だったんです。大雪が降ると電車は止まってしまうし、街が孤立してしまうんです。なので生鮮食料品がなかなか入ってこない。だから乾物、昆布だったり煮干しだったり、魚介系のだしでスープが作られました。あとは醸造の街なので、醤油、みそを使ってスープをつくったのがはじまりです」

住吉さん「喜多方ラーメンが愛され続ける理由は、何だと思われますか?」

東海林さん:「私的に言えば、シンプルイズザベスト! ほんとにあっさりした醤油味が基本になっています。そこにもちもちしたツルツルした麺、具材もごちゃごちゃのっけずに、めんまとねぎとチャーシュー。こしょうをパラリ、なるとがちょん。昔ながらの懐かしい味が郷愁をそそるんですよね」

東海林さんのお話では、心の底からこの喜多方が、そして喜多方ラーメンが大好きなんだという想いが伝わってきました。しかし、その想いに勝るとも劣らない、すごい人がいました。

−ラーメンブロガーのこたなりんさん−

喜多方市出身で、喜多方ラーメンを食べ続け、それを日々、ブログにあげている、カリスマ・ラーメンブロガーのこたなりんさん。喜多方ラーメンを語るこたなりんさんは、大好きな彼女のことを話すように幸せそうでした。

住吉さん「喜多方ラーメンの特長というと?」

こたなりんさん「定義は麺だと思っています。熟成縮れ平打ちタカスイメン。平打ちで縮れていてのびにくい、つるつるしこしこの触感がある。喜多方ラーメンは醤油のイメージがあると思いますが、塩もみそもあるんです。じゃあなんでこの麺が美味しいかっていうと、とにかくここは水がいいんですよ。飯豊連峰というのが新潟県の県境にあるんですけど、そこが万年雪なんです。伏流水が何十年もかけて、喜多方に湧き出てるんです。そういう風土の中で、必然的に美味しい水を含んだ麺が生まれてくる。ラーメンブームになって喜多方は知れ渡るようになった。でも、そのラーメンを喜多方の市民はあたりまえのように毎日食べてたんですよ。ブームになっても120軒っていうのは変わってないんです」

住吉さん「え? ブーム前も120軒だったんですか?」

こたなりんさん「ええ」

住吉さん「ということは、120軒のお店がフツウにやっていけるほど、地元のみなさんが、ラーメンを食べ続けてるってことですか?」

こたなりんさん「そうなんですよ。ビックリするんですけど、ひとりあたりのラーメン屋密度が日本一なんですよ。よくやってるなあって(笑)」

住吉さん「他県のラーメン屋さんも研究されてるんですか?」

こたなりんさん「妻が東京の人なので、有名店を食べ歩きしますけど、ホームシックじゃなくて、麺シックになります(笑)。それくらいね、喜多方の麺を愛してます」

住吉さん「あっさりして、水が美味しくて、装飾じゃない基礎の部分が美味しい、引き算の美学なんですね」

こたなりんさん「引き算の美学、難しいこといいますね(笑)。この風土と、美味しい水と、職人の技でラーメンが芸術品になる」

−坂内食堂の坂内章一さん−

「協同組合蔵のまち喜多方老麺会」の理事長さん。喜多方ラーメンの人気店、行列ができるお店としても有名な坂内食堂の坂内章一さんにもお話いただきました。

住吉さん「坂内食堂はどんなところにこだわっているんですか?」

坂内さん「意外とおやじのときから、あっさりと、子供から大人まで全般的に食べてもらいたいので、今も朝7時からやっています。朝から食べられる」

住吉さん「朝ラーメン!」

坂内さん「ちょっと食べていただかないとアレだと思いますが、喜多方は水がいいので、あっさりしてて美味しいねってみなさんおっしゃいます」

住吉さん「県内、県外、どちらのお客さんが多いですか?」

坂内さん「県外の方も多いんですが、福島は風評被害がありますので、あまり良いニュースが出ないと、お客さんの足がとまってしまう」

住吉さん「少しずつは、戻ってきた?」

坂内さん「はい。でもそれでも、まだまだだと思いますねえ」

住吉さん「この先、こうしていきたいというのはありますか?」

坂内さん「やっぱり、原発の事故があった以来、自分たちも食べ物自体がままならないってことがあって、すごい食べ物に対して感謝することが出てきました。あとは食べるってことが楽しみなんだと。最初の頃は、お金を払ってくれるお客様が、『ありがとう』って言ってくれるんです、こちらの方が涙が出そうでした。もっともっといろんな方たちにラーメンを食べていただきたいって気持ちでいっぱいです」


−坂内食堂−

住吉さん「坂内さんのお話をおうかがいしたら、どうしても坂内食堂のラーメンも食べてみたくなって。来てしまいました。今、お昼と夜の間ですが、お店はお客さんでいっぱいで、20人ほど、並んでいます。輝いてるチャーシューが4つのっています。まずはスープからいただきます。美味しい〜あ、やっぱり違います、醤油はさらにあっさりして、塩味です。じゃあ麺もいってみます。美味しい〜! 麺自体に塩味がついているので、薄いだしでも十分いただけます。喜多方の水がいいからですかね、スープがこのままいただける感じです。ああ、美味しい〜!」

雪をかぶった飯豊連峰。この一杯のラーメンにも、大地が育んだ恵みが、しっかりと息づいているんですね。
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