広島県・瀬戸内の『別格』−海の道を取り戻すコミュニティデザイン−


今週は、コミュニティデザインという手法を用いて、全国の地方を活性化する活動をしている、山崎亮さんをスタジオにお迎えしてお話をお伺いしました。かつて「海の道」として栄えた瀬戸内の島々を元気にするために、山崎さんが手がけたこととは、一体なんだったのでしょう。

−コミュニティデザイナ−という仕事−

住吉さん「今週、ゲストに御招きしたのは、studio-L代表、東北芸術工科大学教授で、コミュニティデザイナーの山崎亮さんです。まず、コミュニティデザインというお仕事について伺いたいのですが」

山崎さん「世の中にはたくさんプロフェッショナルの人達がデザインしたものがありますね。一方で、アマチュアの人達も何かデザインして作っている。陶芸や日曜大工、ではアマチュアの人達がたくさん集まって、プロがアドバイスをしながら何かをデザインしていくのは、プロデザイン? アマデザイン? どっちと言われると上手く言葉が出てこない。コミュニティの人達と一緒に、地域を元気にするようなデザインをしていくこと、それをコミュニティデザインと呼んでいます」

住吉さん「山さんも全国の色々な地域にこれまで関わってこられたんですか?」

山さん「200ぐらいの地域にお邪魔しました。ただ我々がデザイナーとしてこんなものを作ったらいいですよと提案してしまうと、地元の人達がデザインすることにならない。だから答えを持っていかずに、地域の人達があれやりたい、これやりたい、どうやったらいいんだ、と試行錯誤するプロセスにアドバイスする。そんな部分を手伝っていくのが我々の仕事です」

−『瀬戸内しまのわ2014』始まりの経緯−

住吉さん「数々のプロジェクトの中でも、2014年の『瀬戸内しまのわ2014』というプロジェクトについて教えていただきたいのですが、どのような経緯で始まったんですか?」

山崎さん「瀬戸内海には島がたくさんあります。でも島同士の繋がりが、なかなか見えてこなかった。瀬戸内の『海の道』をもう一度復元出来ないかなというのが、発端でした。島の魅力を全面に出したプログラムやイベントを半年間催し、東京や大阪、九州の方々にこのエリアに訪れていただく。島の魅力を、まずは体感してもらおうというのがこのプロジェクトの始まりです」

住吉さん「何百ものイベントがその半年の間に各地で行われたんですか?

山崎さん「そうですね。全体では500弱くらいのイベントが行われました。450万人以上の方々が半年間くらいの間に訪れてくれました」

住吉さん「友達を集めてバーベキューをするくらいでも、幹事さんて大変。それを考えると、地域の方々発案のイベントを実現するのは初めてだと大変だったんじゃないですか?」

山さん「結構大変でした。まず自分たちがどんなプログラムをやろうと思っているか、ワークショップで話し合いをしながら考えます」

−地域発信! 忘れられないエピソード−

住吉さん「忘れられないエピソードもたくさんあるんですか?」

山さん「しまのわで地域の方々にどんなプロジェクトをやりたいですか?と聞いたら、まずおばさま方のグループが出来ました。そしたら、そのお母さんの家の中にオカンアートが。お母さんたちが余った布や毛糸で少しずつ小物を作るんです。そのお母さんの家には2mmから2mまでのオカンアート作品があるんです。これを見たときに、あなたの家を1週間限定のオカンアート美術館にしましょうと。オカンたちは全然自信がなくて、『私らのやつ見たって誰もけえへんわ』と言うんです。でも来てくれれば1日10人でもいいじゃないですかと、実行したら1日100人以上がオカンの家を訪れました。1週間では、800人来ました」

住吉さん「凄い! 面白いですね」

山さん「おじさん達も立ち上がって、お父さんの一人は狼煙をあげたいと言い出しました。そんなに簡単にあげられるものじゃないと言ったんですが『上げたいんや!』と。『昔は船が行き交うときに狼煙信号を出してたんや』という話をされてましたね。1回やってみてくださいと言ってら、練習をするんです。これを発煙実験と言うんですが、何度も実験をしていたら、いつの日か向かいの島から応援狼煙が上がるようになりました」

住吉さん「ええ〜! 言ってないのに?」

山さん「見えたぞ〜と狼煙を上げるようになってきて。狼煙でリレーしていくと面白いかもしれないと。狼煙を上げるときの注意事項をおじさん達がちゃんと紙に書いて、時間を30秒ずつずらして狼煙を上げました。結局広島県と、愛媛県と山口県の人達も上げてくれました。島の枠を飛び越えて、57か所の山から狼煙が上がったんです」

住吉さん「それは感動しますね! まさに『島の道』とおっしゃっていた、島同士が繋がれる証拠ですね」

山さん「草を刈ったり、掃除をしたり。狼煙を上げると、山が綺麗になっていくんです。月に1回でも雑草やゴミの管理が出来る。これが57か所。毎月みんなが楽しみながら綺麗にしていくので、実は地域貢献にもなっています」

住吉さん「凄いですね。コミュニティデザイン。去年成功して、今年は何か広島県で動きは続いてるんでしょうか」

山さん「おかげ様で、とても多くの方が来てくれたので県庁も喜んでくれました。今年もまたワークショップのお手伝いをさせていただきます。繋がりは大きな儲け。ひともうけで人設け、楽しさと意義も体感してくれていると思います。コミュニティデザインの可能性を、広島の方々に教えてもらいました」
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