新潟県・長岡野菜の『別格』−信濃川の恵みに育まれた長岡野菜!−


今週は、古くから地元の人に愛されている「長岡野菜」の魅力に迫りたいと思います。
伝統野菜にこだわり、忘れかけている昔ながらの料理を新しく創造し復活させているシェフ、新潟フードプロデューサーの鈴木将さんに、まずは長岡野菜の特徴をおうかがいしました。

−長岡野菜の特徴−

鈴木さん「長岡野菜の特徴は、伝統野菜でいうと、京野菜や加賀野菜が有名なんですが、それに負けないくらいの品種や食文化が残っています。そこで、全国的に知られていない理由というのは、日常的な食文化だからです。方言でいうと『こんつあらもん、恥ずかしくて出せない』。こんなもの恥ずかしくて出せないという意味で、おもてなしの野菜ではないんです。日常的だということが長岡野菜の特徴ですね」

住吉さん「大きなウリ、『ゆうごう』という野菜は、郷土料理の『鯨汁』には欠かせないものだったり、へちまも浅漬けにして夏食べるのが長岡流だそうです。そして、なんといっても長岡野菜の代表格は『巾着なす』です」

−長岡の象徴、長岡野菜の代表格「巾着なす」−

鈴木さん「長岡野菜で代表的なのは、長岡巾着なすでしょうか。巾着のようにシワがよっています。実がしまっていて、つやがなく、形が悪い。普通、市場では、実が柔らかく、つやがあって、形がいいというのが売れるんですが、長岡では三拍子そろっていないものを今もつくり続けている。巾着なすは、実が本当に堅いんですね。良いところは煮崩れがしない、揚げなすにすると普通はとろっとした食感があるんですけど、巾着なすの場合は、食感がしっかり残る。長岡にはなすを蒸す文化があるんですね。ぺたっとならずに、トロのような食感がある。栽培方法にもわけがあって、なすはつやを出すために水をたくさん撒くんですが、長岡はあまり水をまかないんです。信濃川という水脈が土の下にあるので、それをなすが吸い上げるんですね。シワも成長過程で、ぎゅっと成長していくなすの姿なんです。そういう意味で、なす自身の力強さから、巾着なすは、長岡の象徴のようなものだと思っています」

住吉さん「度重なる戦災、そして震災、数々の試練を乗り越えてきた長岡という街と、土の下で必死に生きようと頑張る巾着なす。確かに、通じるところがあるような気がします。長岡という土地と長岡野菜の関係について、さらにおうかがいしました」

−長岡と長岡野菜の関係−

鈴木さん「長岡市には、昔ながらの長岡の食文化と長岡の野菜がしっかり残っています。それは、長岡野菜ブランド協会をつくった鈴木さんのおかげなんです。時代の流れで、市場流通メインの野菜が主流になっていくなかで、地元の野菜が忘れられていくのを防いだんです。新潟県人の特徴なのか、あまり欲がないんですね。欲があるとすれば、地域の人のために美味しいものをつくりたいというプライドが強いですね。また、生産性の問題ですが、一般的な長なすは、1本の苗で、200個から300個とれるのに対し、巾着なすは80個、多くても100個ほどなんです。市場で評価されていないものをつくり続ける、その精神が素晴らしいと思います。発信上手ではないんですが、「つくり」ということに関しては凄くプライドを持っている、それが長岡なんじゃないかと。都会ではないですが、花火とかあったかい文化もある場所です。それに気づいたので、継承していくために、伝統的な古いものを、今のニーズに合うように変えていく、それを僕はやっていきたいなと。巾着なすが信濃川の恵みに育まれているように、自然の循環の中で生まれくるんですね、長岡野菜は。食文化を知るというのは、その土地を知るということにつながっています。だから、自分が発信することによって、長岡を広めるというのもありますが、世界中の人が、自分の土地にある食文化を見直すことになればいいなと考えています」

住吉さん「長岡を愛する鈴木さんが、長岡野菜を広めるために考えていることはどんなことなのでしょうか?」

−長岡野菜を伝えていく、鈴木さんの広い視野のきっかけとやりがい−

鈴木さん「加工品をつくって、伝統料理をストーリーをつけて伝えていきたい。屋台村などのイベントで食を伝えるのは、なかなか伝えきれないんですね。この前、丸の内で、8000円で日本酒とのマリアージュというのでストーリー仕立てのコースを考えて、ストーリーを伝えました。最後は新潟がいいよではなくて、みんながいる地元の良さに気づく、それが世界貢献になるのかなと。それをビジネスとして成立するようにやっていきたいと思っています」

住吉さん「鈴木さんのお話、スケールが大きいです。長岡から発信することで、世界貢献したい、そんな熱い心も、長岡人ならではなのかと思います。広い視野でものを考える、そのきっかけみたいなものはあったのでしょうか?」

鈴木さん「いちばん衝撃的だったのは、新潟県には大きな震災があって、そのあと、東北で震災があって。1回、日本がとまって。新潟にいましたけど、1週間は、お客さんが来なかったんですよね。その中で、商売ってなんだろう、地域でやっている意味はなんだろうって考えだして。ちゃんとお金を稼ぐことも大事だと思えたり、東北のため、子供のため、地域の未来を残すことが大事なんじゃないか。自分のためだけでは頑張れないので、誰かのために、行動していく。世界にひとつだけの地域の宝物を大事にする。生産者さんにも、地域にも喜んでいただける未来をつくる。それがいちばんのやりがいですね」
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