新潟県・糸魚川市の『別格』−郷土料理、笹ずしが伝える想い−


今週は、新潟県上越の糸魚川市の郷土料理、笹ずしをご紹介します。笹ずしとは、クマザサの葉っぱの上に、ひと口大にした寿司飯を盛り、思い思いの具材をのせたお寿司のことです。具材に使われるのは、ぜんまい、タケノコ、ヒジキ、クルミ、紅ショウガなど様々です。この笹ずしの「笹ずしグランプリ」というコンテストが、今年もヒスイ王国館で開催されました。今回参加した団体は4チーム。根知という地区から「くびるの会」。西海地区から「もえの会」。能生地区から「農家キッチン ひだまり」。早川地区から「かっかぁの会」。私は、昨年グランプリをとった根知の、くびるの会のみなさんに、笹ずしづくりを体験させていただきました。教えてくださったのは、小田島みわ子さんです。

−住吉さん、笹ずしづくりを体験−

住吉さん「昨年グランプリをとった根知の笹ずしづくりを体験したいと思います。まず、木の箱に、いただいたご飯を5つに分けて入れるんですね。全体にしいちゃうんですか? 笹の葉にご飯をひろげただけで拍手をいただきました。笹の葉で仕切りをつくって、ご飯をのせていくわけですね。ご飯をのせるだけで拍手をいただき恐縮です」

小田島さん「昔は、卵とお魚が貴重だったので、左のつけねから食べることになります。次はクルミいきますか。クルミは細かく刻んで、お砂糖、お醤油などで煎って味付てあります。くびるの会は、赤いダブルハートでいくのが好きなんです。でんぶとショウガで。簡単そうでなかなか大変です。見た目良くつくるのがコツですね。お米はこだわっていて、根知のこしひかりです。炊くときは、前日に研いで一晩寝かせておきます。炊く前に昆布とお酒を入れて炊きます。お酒を入れることで、ご飯がしっとりします」

住吉さん「根知のコシヒカリの特徴は?」

小田島さん「甘みとツヤとねばりですね。透き通ったお米のご飯が一番美味しく出来ます。お米を見るとわかるんです。重しをのせて、普通は30分以上おきます。そうすると、お箸を使わなくても食べられる笹ずしになっています」

住吉さん「木の箱の中に5枚笹の葉を並べて、その上へ端から順番に、ご飯と様々な具材をのせていきます。とても色とりどりで、綺麗なお寿司です。小田島さんにさらにお話をうかがいました」

−くびるの会、小田島さんにとっての笹ずしとは−

住吉さん「小田島さんにとって笹ずしはどんな存在ですか?」

小田島さん「郷土料理で、一番のおもてなしの料理。でも、すごく手間と暇がかかる。ふきを山からとってくる、クルミを細かく刻んで味付けする、とにかくつくるのに時間がかかります。小さいときから食べてきました。若いお母さんにも伝えたいということで、平成19年からくびるの会ができたんです。くびるというのは、結ぶ。手と手をつなぎあう、そんな意味がこめられています。今ではみなさんの力もあって、出前講座もやっています」

住吉さん「小田島さんは、誰に習ったんですか?」

小田島さん「実家の母や、嫁ぎ先のおばあちゃんに教わりました。ただ、見よう見まねで具材をのせるくらいで、味付けは母がやっていました。くびるの会ができて、みんなで集まって、おばあちゃん方に聞いて味付けを考えました」

住吉さん「笹ずしは、どんなときに食べるお料理なんですか?」

小田島さん「昔からお祭りやお盆などで、お客さんが来るときに、おもてなしの料理としてつくっていました。小さいときは、ウキウキしていましたね。すごく楽しみでした」

−笹ずしを試食、そのお味は−

住吉さん「笹ずし、いただいてみたいと思います。早川地区、かっかぁの会は、笹の船の上に細長くご飯がのっている感じです。いただきます。うん、うん、美味しい。ご飯にすごくお酢がきいていて、夏にはさっぱりしますね。笹の香りも癒されます。ご飯がもちもちしていて、ねばりがあって食べ応えのある美味しい寿司飯ですね。このチームは桜エビがのっていて、甘くて美味しいです。次は昨年グランプリの根知地区、くびるの会。具の種類が一番多いですね。7種類あります。いただいてみたいと思います。うん、美味しい。ご飯が口の中でいい意味でばらけますが、モチモチ感もあって絶妙です。具が順番に出てくるので、食べ進むのが楽しみなお寿司ですね。この『笹ずしグランプリ』の実行委員長、小林亮一さん。1度は糸魚川を出たんですが、やっぱり地元が大好きでUターンしてきたそうです。小林さんにお話をうかがいました」

−「笹ずしグランプリ」実行委員長の小林さんに聞く、郷土料理 笹ずし−

住吉さん「笹も、お寿司も、全国にありますが、笹ずしが糸魚川の伝統料理なのはどうしてなんですか?」

小林さん「はい、それは、ここの特殊な地形に由来していると思います。ここには海のもの、山のものが豊富にあるんです。笹ずしは、それら全てを使っています。海のものとしては、でんぶはエビをすりつぶしたものなんです。あと、川魚ですね。鮭がとれればそれをほぐしてのせます。山のものとしては、畑でとったシソの実やしいたけ、お米も4つの谷の自慢です。4つの谷にはそれぞれ川があり、その川沿いでつくったお米を使っています」

住吉さん「海の幸、山の幸、それぞれの恵みをのせてつくったのが、笹ずしということですね」

小林さん「はい、そうです」

住吉さん「いつごろから、この笹ずしが伝統料理になったんでしょうか?」

小林さん「結論から言うと、わからない。歩荷の時代から、あったと言われています。糸魚川から信州に向かう『塩の道』というのがあるんですが、歩荷の人が、防腐作用のある笹の葉に、腐りにくい寿司飯をのせ、持って歩いたんじゃないかという説が有力です」

住吉さん「ぼっかというのは?」

小林さん「歩荷というのは、歩く、荷物の荷と書いて『ぼっか』と読みます。背中に大量の荷物を担いで、信州の方へ山を越えていた人たちです」

住吉さん「その方々が最後に通るのが、この糸魚川だったんですね。そこで、おもてなしをした名残が、この美しい笹ずし」

小林さん「如何に美しく見せるかということを、こだわったと聞いております」

住吉さん「新潟といえば、お米のイメージが強いと思いますが」

小林さん「そうですね。やはりお米は美味しいです。糸魚川のお米も美味しいですが、郷土の味を出すためには、糸魚川のお水が必要なんですね。郷土料理ということで、ここでしか食べられない味になるのではないかと思います。私も1度県外に出ましたが、出て初めて、郷土のお米の美味しさに気づきました」
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