この度の震災で犠牲となられた方々のご冥福を心よりお祈り申し上げるとともに、
被災された全ての方に、深くお見舞い申し上げます。
また、被災された地域が一日も早く復興することを、心より願っています。


古賀涼子です。

震災以降、何度もブログを更新しようとパソコンに向かいましたが、
数行書いては消し、書いては消しの繰り返しでした。
どんな言葉も、無力でした。
その一方で、力を持ちすぎてもいました。
声ではなく、文字として思いを表現するというのは、時にとても難しいです。
だから暫く、書くことができませんでした。
そしてきょう、ある方からのメールをきっかけに、
ようやく文字にすることが出来ました。

ある方と言うのは、私が担当する番組『クロノス』のリスナーさんであり、
知り合いの親戚でもある方です。
その方は仙台の海沿いの町にお住まいで、学校の先生をされています。
震災の夜、私が放送させて頂いた特別番組で
大変な状況にも関わらず、被災地のいまを伝えてくださいました。

その後、先生と個人的にメールをやりとりさせていただく中で、
こんな話を伺いました。

その方の学校に入学する予定だった生徒さんが、津波で亡くなりました。
それを知った先生は、その生徒の親御さんの元に
入学願書に添付されていた写真をお持ちになったそうです。
津波で全てが流された親御さんにとって、それは唯一残されたお子さんの写真であり、
唯一の形見。
泣き崩れる親御さんから、先生はこう言われました。

 「生きている人は、頑張って。子供たちを、元気に大事に育てて。
  生きている人たちに、本当に頑張って欲しい」



私も震災から1ヶ月後、仙台市沿岸部や石巻に取材に行きました。
そこで目にした光景、風の強さと温度、におい、被災された方々の声や瓦礫撤去の音・・・
その中で、いま私がすべきことは何かを考えました。
伝え続けることやボランティア・寄付だけでなく、本質としてすべきこと。
そして行き着いたのは、こんな答えでした。

誠心誠意、生きること。
心から、生きること。

ですから、先生から話を伺ったとき、胸の中のものが一層大きく強く、
かちりと音を立てて、光ったような気がしました。

私は怠惰な人間なので、
ともすると、楽なほうに楽なほうにと流れてゆきがちです。
私はいまを心から生きているか。
誠心誠意、命を大切にしているか。
これから、ずっとずっと自分に問い続けていきたいと思います。

何も出来ない、ことは、ない。

                       古賀涼子