2007年08月14日

夕凪の街 桜の国

今日は、私が見てきた映画をご紹介します。
『夕凪の街 桜の国』。
原爆が落とされた広島の街を舞台に、2つの時代に生きる女性を軸に繰り広げられる、
哀しくも暖かい人間模様が描かれています。
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8月15日の終戦記念日を前に、戦争とはなんだったんだろう?と考える機会が増えますよね。
私は戦争を直接知らない世代だけれど、やはり世界で唯一原爆を落とされた国、ということで、
感じることはたくさんあるのです。
この『夕凪の街 桜の国』は、映像もとても美しく、
原爆の生々しい映像はほとんど出てきません。(少しだけ出てきますが。)
それでも、被爆しながらも生きながらえた人々の心の葛藤などが静かに描かれていて、
やはり流れる涙を止めることは出来ませんでした。
そして、大きく学んだこと。
それは、まだ決して戦争は終わっていない、ということです。
当事者の方、また被爆者の子孫の方たちにとっては、
ずっと抱えて、ともに生きていかなければいけない問題なのだ、ということを痛感しました。


ひるがえって、私が青年海外協力隊でミクロネシアに赴任していたときのこと。
私がいた島には、第2次世界大戦中にたくさんの日本兵が上陸し、
島を統治していました。
「コスラエ島」という、日本人はほとんど知ることのない島なのに、
そのコスラエの住民は、私たち日本人より深く、昔の日本のことを知っていました。
島の人の名前も、私と同じキョウコさん、ユキコさん、サチコさん、シンペイさん、タケオさん・・・。
お年寄りだけでなく、生まれてきたばかりの赤ちゃんにも、
いまだに日本名をつける風習が残っています。
島の人たちがはいているビーチサンダルは「ゾーリ」、クルマは「ストーシャ」、
人を励ますときには「ガンパレ」と声をかける人々。
味付けの基本はお醤油なのに、
日本人でその島を日本人が戦時中統治していたことを知っている人は、
ほとんどいませんよね。
60歳以上の方は、日本語もしゃべれるので、当時のことをうかがったこともあります。
でもその方たちによると、日本人は戦争中、コスラエにやってきて、
ダムを作ったり橋を作ったり、お米の作り方を教えてくれたりしたそうなのです。
だから、島の人たちは基本的に、日本人をとても尊敬し、中には憧れすら抱いている人もいます。
だけどそんな扱いを受けるたびに、私はいつも、少し面映い思いをしていました。
まさかコスラエの人たちは、現代の日本人ほとんどが、
コスラエという名前すら聞いたことがないなんて、思ってもみないでしょうから・・・。

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(私がいた、コスラエ島です。青い海と青い空。哀しい歴史が信じられないような、美しい島です。)

島では年に1回、島を挙げての盛大なお祭りがあります。
1週間を通して、会社もお店も全部休み。
人々はひたすら、教会でお祈りをし、パーティーを開き、おいしいモノを食べ、踊り、歌い、
島はまさに、お祭り一色となります。
『Libaration Day(解放記念日)』と呼ばれるこのお祭り、
実は、日本軍からの解放の日を祝って、いまだに行われているのです。
私もホストファミリーと一緒に、もちろんこのお祭りに全力で参加しましたが、
「日本人から解放されたこと」を、これほど盛大に祝う人たちを前に、
とても複雑な気持ちでした。


折りしも、昨日はペルセウス座流星群の日。
家に帰ってから、ベランダに出て、しばらく夜空を眺めていました。
かなり長いこと眺めていたのですが、流星はおろか、
星すらもほとんど見ることが出来ませんでした。
コスラエにいたときには、毎晩、飽きるほどの星が夜空を埋め尽くして、
当たり前のように流れ星がバンバン見えていたのになぁ。。。
あまりにも流れ星が多すぎて、もう願い事をするのすら忘れてしまっていました。昨日のペルセウス座流星群を見上げながら、どれだけの人が「平和」を願ったのでしょう。
東京では、流れ星がなかなか見えないけれど、だからといって、
流れ星が流れていないわけではないのです。
一晩に、いくつもいくつも、流れているはずなのです。
見えないからといって、その「見えないもの」を忘れてしまってはいけない、と思う。
それは、戦争の傷跡も同じなのではないか、と思います。
見えなくなったからといって、なくなったわけではない。忘れてはいけないのだと思います。


終戦記念日を前に、この『夕凪の街 桜の国』を見て、
そんなことを感じたハチドリ高柳だったのでした。
投稿者: 高柳恭子
2007年08月14日

命潤う屋久島の水

今日スタジオにお迎えしたのは、写真家の嵯山ゆりさん!
愛犬ららちゃんと一緒に、スタジオに駆けつけてくださいました。
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世界各地の人々の自然な表情や、ドキュメンタリーな生活シーン、
また、あかちゃんともに撮る、おかあさんやおとうさんとの「いのちふぉと」など、
人の命に光を当てるような写真に定評のある嵯山さん、今回は、
屋久島に行ったときに撮った写真で、写真展を開くことになったのだそうです。

屋久島といえば、私と編集長もついこの5月に行ったばかり!
そうお伝えすると、「あらー、入れ違いでしたねー!」と嵯山さん。
私たちとちょうど入れ替わりで、屋久島に入られたのだそうです。
でも、実は今回の屋久島旅行では、全く写真を撮る気がなかったそうなのですが、
屋久島の、そのあまりにも素晴らしい自然に出会い、
山の中にすでに1時間も入ってしまってから、三脚を撮りにクルマまで戻ったとのこと。
確かにその気持ち、同じように感動したハチドリ高柳はよくわかりました。
特に嵯山さんが感動したのが、屋久島の中にひたひたと満ちる、水。
「どこの森を歩いていても、その辺に水が常にわいていて、しかも全部飲めるでしょう?
そんなのって日本だけだと思うし、日本の中でも、
もう屋久島くらいじゃないかと思うんですよね。」と、
真剣な目で話してくださいました。
しかも、森の中全体に水が満ち満ちている感じがして、つい苔に顔をつけたりしてしまった、
という嵯山さん、屋久島にいて、そのおいしい水を飲みながら森を歩いているうちに、
自分の身体の中の水が、清らかな屋久島の水と入れ替わっていくのを感じたのだそうです。
「人間の身体の70%は水で出来ている、と言われているでしょう?
だから、その水は絶対いいものを入れなくちゃいけない、と思うんです。
しかも、その水が一度失われたり汚染されてしまったら、もう2度と戻らないと思うから、
絶対に守らなくちゃいけない、と思いますね。」とも話してくださいました。

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そんな嵯山さんが撮っていらした写真の数々が、こちら。
どの写真も、本当にみずみずしい屋久島の緑と、「水」が切り取られています。
癒しの中にも、輝きと強さがある写真たち。
スタジオで編集長と、飽きることなく眺めてしまいました。

今、渋谷の『アダン・オハナ・ギャラリー』では、嵯山さんの写真展が開かれています。
お時間のある方は、ぜひお出かけになって、嵯山さんの切り取った命のきらめき、
ご覧になってくださいね。
私と編集長も、近々お邪魔することになってます♪
また、嵯山さんのHPには、他にも素敵な写真がいっぱい!
ぜひ一度、覗いてみてください。


http://www.yurisaya.tv/
それにしても、いいなー。
私も、こんな写真が撮れるようになりたいなー。。。
投稿者: 高柳恭子
2007年08月14日

ヘンプは世界を救う?

今日スタジオにお迎えしたのは、「麻・ヘンプ研究家」というちょっと変わった肩書きをお持ちの、
赤星栄志さん!
実は、オンエア当日は8月8日=葉っぱの日(非公式らしいですが・・・)ということで、
お越しいただきました。
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(そして様々なヘンプ製品を持ってきてくださった赤星さん、実はハチドリ高柳、
ヘンプが入ったビールをいただいておりまする・・・!)

まず気になるのは、ヘンプ=大麻、という世の常識。
やっぱり、違法なものなんじゃないの?という疑問がむくむくと首をもたげます。
まずはそこをクリアにしなきゃ!とうかがうと、赤星さんはあっさりとこう答えてくださいました。
「ヘンプはね、日本語に訳せば確かに大麻なんです。
でも、大麻にも何種類もあって、薬効のあるもの(=違法のもの=マリファナ)と、繊維用のものと、
はっきり別れていて、これは全く別の種類なんです。
だから、繊維用のものに関しては、全く薬効はないですよ。」
・・・なるほど!ハチドリ高柳の腕に巻きついているミサンガもヘンプのものだけど、
それは違法の大麻を使ったものではなくて、別種のヘンプだったのね!
番組の冒頭に、とても安心してしまったのでした。


それがわかってからうかがうと、確かにヘンプの使い勝手はかなり良いようです。
まず、害虫や気候の変化に強く、農薬や化学肥料をまく必要もないので、土壌を汚しません。
そして、日本では「100日草」と呼ばれている通り、(ちょっとずれますが)110日で成長し、
食用、繊維用、オイルや、今流行のバイオ燃料など、様々なものに活用できるようになります。
また、一般的な植物の2〜4倍の二酸化炭素を吸収して、酸素を生み出すそうなのです。

日本でも、古来から「存在する植物で一番強い」という性質上、様々なものに使用されていました。
例えば、ぞうりの鼻緒。そして神社などのしめ縄。
お相撲さんのまわしも、かつてはヘンプだったのだとか。
また食用としては、おそらく皆さんも召し上がったことがあるのではないでしょうか。
七味唐辛子に入っている「麻の実」、あれは、ヘンプの種なのです!
でも、この麻の実、ビタミンやたんぱく質、必須アミノ酸などが豊富で、
非常に栄養価の高い食材なのだとか。
日本人はこのヘンプ、昔は上手に使っていたんですねー。

では一体なぜ、ヘンプってマリファナ(=違法なもの)と認識されるようになってしまったのでしょうか?
そううかがうと、赤星さんは、
「それはね、アメリカで使用が禁止されたからなんです。」と教えてくれました。
何でも1930年代には、このヘンプ、クルマの燃料などとして使用できる可能性が、
非常に注目されていたのだそうです。
でも、そこで台頭目覚しく登場したのが、石油。
結局、ヘンプは石油との争いに敗れ、アメリカ政府はヘンプ=マリファナとし、
その栽培や使用を、禁じたのだとか。
それ以来、薬効のないヘンプも、違法なマリファナと混同されてしまい、
なかなか一般市民の使用に結びつかなくなってしまったんですって。
なるほどねー。そんな歴史があったんですか。
でも、今の日本でも、きちんと免許さえ持っていれば、薬効のないヘンプは栽培可能だとか。
とすれば、110日で成長し、繊維として様々なものに活用でき、バイオ燃料にもなり、
実は食べられるヘンプって、確かにこれからとても有用な植物になるかも!
麻の実が入ったビールもおいしかったし(ベルギービールみたい!)、
合法なヘンプ、これから要注目、かもしれません!
投稿者: 高柳恭子