今日のスタジオにお迎えしたのは、自然音録音家でいらっしゃる、
ジョー奥田さん。
仕事仲間(?)でもあるバイノーラルマイク、「フリッツ君」と一緒に来てくださいました。
「ドイツ人」だというこのフリッツ君、なんとも可愛らしいいでたち♪(写真、ごらんあれ!)
しっかりバンダナなんか巻いちゃって、ちょっぴりおシャレにスペイン坂登場です。
でも、その実力は本物!
彼の両耳の、鼓膜に当たる部分に高感度マイクが仕掛けられていて、
全方位の高感度録音が可能なのです。
右耳から聞こえてくる音は右側から、左耳から聞こえてくる音は左側から、
本当に、人が聞くのと同じような角度で360度の自然音を録音する、という実力者!
スタジオの実験でも、右側に座っていた私の声はヘッドフォンの右側から、
左側に座っていたジョーさんの声は左側から、ちゃんと聞こえてきました。
すごい臨場感!!
この実力あなどれぬ、と、実感したひと時でした。
さて、そんなフリッツ君との2人旅を繰り返すジョーさん、元はプロのドラマーでいらっしゃいました。
でも、自然音と音楽が融合する楽曲、「アメリカの国立公園」シリーズに、
アドバイザーとして携わられたことがきっかけで自然音の魅力に目覚め、
そこから、ネイチャーサウンドアーティストとして、世界中の自然音を取り続けてきました。
中でも、どうしても忘れられないのがハワイの音をとってきて、編集作業をしていた瞬間。
あまりにも美しいその音に、「もうこの音は完璧だ、God Made Soundだ」、と、
思ってしまわれたのだとか。
それまで楽しんできた「Man Made Sound=人工の音楽」と、少し距離を置くようになったのも、
その頃から。
今は、ネイチャーサウンド一筋でいらっしゃいます。
印象に残ったのは、ジョーさんがお話くださった、
「7代先の孫たちの代まで、残る音を届けたい。」という言葉。
「2007年には、こんな音が日本に流れていたんだよ、ということを残しておきたい。」
とおっしゃるその言葉に、深く感動してしまいました。
だって、私も少しでもこの地球を、きれいなまま未来の子供たちに手渡したい、
とは思っているけれど、思い及んでいたのは、せいぜい自分の孫やひ孫くらいの代まで。
「7代先」っていうその遠さに驚くと同時に、ジョーさんの思いの深さに、
心を揺さぶられてしまったのです。

そんなジョーさんのアルバムたちは、本当に美しい自然の音があふれています。
実は、お目にかかる何日か前、
自宅でパソコンをしながらジョーさんのCD「AMAMI」を聞いていたハチドリ高柳、
突然流れてきた波の音に、一瞬その場のすべてを忘れ、鳥肌を立てたまま、
青年海外協力隊で赴任していたコスラエ島に、フラッシュバックしてしまったのです。
2年間、どこにいても聞こえたから、1日24時間聞いていた、あの波の音。
それがそのままにオーディオから流れてきて、身体の内側の細胞が全部あわ立つような、
理性では抑えきれない、何か神秘的なパワーを感じてしまいました。
そして、知らず知らずのうちに目を閉じて、その音を味わっていました。
奄美って言えば、やっぱり南太平洋に浮かぶ島。
波の音も似てるんだな、つながってるんだな、って、とてつもなく懐かしくも感じました。
でもこの感覚、決して海のそばに暮らした人だけが感じるものではないような気がします。
太古の昔、人類が海から生まれた記憶を呼び覚ましてくれる音、とでも言うのでしょうか。
聴くだけで、何かに包まれ、癒されるような感覚があるのです。
まだ聞いたことがない、という方は、ぜひぜひ一度、ジョーさんのCD、聞いてみてください。
きっと身体の奥の、深〜いところから癒されるような感覚、味わえると思いますよ。