今日スタジオにお迎えしたのは、能楽大倉流大鼓奏者の大倉正之助さんです!
オールバックの髪に黒いジャケット・・・。
お腹に響くような低〜い声は、もう「渋いオトナの男性」の代名詞のよう!
「和」なご職業についていらっしゃいながら、意外と「洋」な雰囲気も、
意外性があってとても素敵でした♪

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(この渋さには、編集長もメロメロ!予定時間を大幅にオーバーしての収録となりました。)


大倉正之助さんといえば、大倉流15世宗家故大倉長十郎のご長男としてお生まれになった方。
17歳で大鼓に転向され、能舞台の活動はもちろん、過去に類を見ない、
「大鼓ソリスト」として、新たな分野を確立されました。
ローマ法皇に招聘され、バチカン宮殿内のクリスマスコンサートで演奏された経験もお持ちです。


そんな、日本が世界に誇る伝統楽器の操り手である大倉さんがこだわるのは、
なんと「素手打ち」。
通常、大鼓をお打ちになるときには、みなプロテクターを着けるのだそうです。
そうでないと、手が血だらけになってしまうからだとか。
でも、大倉さんはあえて、プロテクターを着けずに鼓を打ちます。
それは、「命と向き合いたい」から。


実は鼓というのは、主に桜の木と馬の皮で出来ているのだそうです。
ひとつの鼓を作るために、一本の木と一頭の動物の命が必要になることもあるのだとか。
大倉さんは、その貴重な命に向き合うために、あえてご自分の手が傷だらけになるのもいとわず、
プロテクターをせずに鼓を打つのです。
そうすることで、雑音がせず、澄み切った音(ね)を響かせることが出来るのだそうです。
その心意気、日本古来の伝統芸能はそれほど真剣勝負だったのだ、と、
改めて頭が下がる思いでした。それにしても、日本ってやっぱりスゴイ国だな、と改めて感じてしまいました。
ひとつの楽器を作るにも、桜の木を一本と馬を一頭使い、
その音を極めるためには、自らの肉体が傷つくのもいとわず、
技を究める道をまい進する。
こんな国って、他にあるでしょうか?
私は元々日本が大好きだけど、今日はより一層、「日本人であること」を誇らしく思いました。
こんな日本の伝統芸能を、ずっと大倉さんのような方に大切に守っていただきたい、
そして私たちは、それをずっと支えていきたいな、と感じた、ハチドリ高柳だったのでした。