今週の『Hummingbird』は、12月1日の「世界エイズデー」に向けて、
エイズの予防啓発活動などをされている方を毎日お迎えして、お送りしています。
2日目の今日は、『HIVと人権情報センター(JHC)』の、今井分一郎さんです。


(編集長も、「ホンットに優しい印象の方だったね」とおっしゃったように、
本当に本当に優しい雰囲気を漂わせていらした方でした。)

エイズの問題は、予防ももちろん大事ですが、すでに感染された方々や、
その周りの方へのケアも、やはりとても大切です。
日本では、HIVの感染者のカミングアウト率が非常に低いのですが、
やはり多くの感染者は、差別や偏見に悩んで孤立しているのが現状なのだそうです。

そんな苦しんでいる方たちを守り、直接支援するために、1988年に大阪で発足した、
民間ボランティア団体が、このJHC。
その運動の輪は全国に広がり、今では多種多様な経験を持つ数百人が、
会員として活動されています。
多岐にわたる活動のひとつが、感染者のカウンセリングや電話相談。
毎年、12月1日のエイズデーには、『36時間 AIDS電話相談』を受け付けるそうなのですが、
そこには、毎年1000件を超える相談が入るということです。
(『36時間 AIDS電話相談』 12/1(土)10:00am〜12/2(日)10:00pm 0120−545−036)

「やっぱりね、相談してくる人はもう、切羽詰ってしまっている人が多いんです。
感染不安はあるけれど、怖くてどうしても検査にいけなくて、相談してくる方もいる。
中には、不安なまま検査にも行けず、15年も過ごしてしまった、なんて人もいるんです。」

この今井さんの言葉には、さすがにビックリしてしまいました。
でも、それほどまでに日本の社会というのは、
そのカミングアウトを阻止するものなんでしょうか。

「やっぱり、会社に言えなくて悩んでいる人は多いですね。
言えないがために、一定の時間に飲まなきゃいけない薬を、トイレなどに隠れて飲んで、
『あいつは年中トイレでサボっている』などと言われてしまう。
これも、周りの人がちゃんと理解してあげられる社会であれば、
防げる問題なんです。」

そう。日本の社会にはまだまだ差別や偏見が蔓延していますが、
エイズは基本的に、とてもうつりにくい病気。
日常生活の一部の、握手やハグ、飲み物の回し飲みやキスなどではうつらないことを、
私たちがもっと知らなくてはいけないと思うのです。
そうやってきちんとした知識を身につけたうえで、
ちゃんとそういった方たちを思いやることの出来る社会、そんな成熟した世の中を、
作っていきたいと心から願った、ハチドリ高柳だったのでした。