あなたのキレイと元気を磨く!「植物の力」で美しいライフスタイルを!

5000年以上の歴史を持ち、クレオパトラも愛した植物との暮らし。植物と向き合い、植物の声を聞くライフスタイルや、ボタニカル・フードのとっておきレシピ。植物の世界からあなたに届く「美しい贈り物」です。

―この番組は、2021年3月で終了しました。―

2017.09.29

Botanical Journey6
苔の緑に癒される初秋の京都の1日

  • BotanicalJourney
夏も終わり初秋の季節を迎えた京都。古都京都の神社仏閣の森や日本庭園で見られる苔の風景は、悠久の時の流れを感じさせ、柔らかな空気感を漂わせます。その自然の緑の絨毯には誰もが思わず心癒されることでしょう。

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国指定名勝 東福寺本坊庭園 北庭

9月のボタニカルジャーニーは、ゆっくりと巡る古都の苔の風景をご紹介します。


苔は悠久の時を伝える植物
苔は約4億年前、海から最初に陸にあがった植物として知られています。原始的ながら独特の構造を持っているため、厳しい環境にあっても、長く滅びることなく生き続けてきたといわれ、生命の先駆けともいえる植物です。日本では約1800種の苔の種類が確認されていますが、苔が好むのは適度な雨や清らかな水に恵まれた森、そして湿気を含んだ清らかな空気のある環境。苔は日本の気候風土にもっとも適した植物の一つであり、その景色は日本人の心の中の原風景と言えるかもしれません。


東福寺で楽しむ苔の庭との対話
苔が醸し出す風景を、様々な場所で楽しめるのが京都。その中でも苔の豊かな表情を、独特の景色の中で見せてくれるのが臨済宗大本山・東福寺です。創建は鎌倉時代。火災により何度か再建されますが、京都五山の一つにふさわしい偉容を持つ寺です。

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国宝 東福寺三門


境内にある通天橋は京都の紅葉の名所として有名で、晩秋の頃には多くの人で賑わいます。しかし、この時期に是非訪れたいのが昭和の作庭家、重森三玲による印象的な本坊庭園「八相の庭」です。完成は昭和14年。東福寺の創建年代にふさわしい鎌倉時代の質実剛健な風格が特徴ですが、苔の緑が随所に印象的に配置され、庭に描かれた禅宗の世界観と静かな対話を楽しむことができます。

庭園は東西南北に四つの名庭をもっていますが、苔を印象的に楽しむことが出来るのは西、東、そして北の庭です。まず西は、直線的なサツキの刈り込みと砂地の白に、柔らかな曲線の苔の緑の盛り上がりが配置され、まるで空から私たちの住む世界を見るようです。

null国指定名勝 東福寺本坊庭園 西庭(井田の庭)


東は円柱で北斗七星を表現した「北斗の庭」と呼ばれ、宇宙の広がりを鮮やかな苔の緑で感じさせてくれます。

null国指定名勝 東福寺本坊庭園 東庭


そして、北は市松模様の敷石の白さにウマスギゴケの深く厚い緑が映えて、無機質なデザイン空間にも関わらず自然の生命力を強く感じさせてくれます。四つの庭は廊下で繋がっており、まるで美術館で絵画を楽しむように、回廊を巡りながら多様な苔の景色を楽しむことができます。


心洗われる苔の景色が広がる法然院
秋の雨の中で特に趣があるのが、浄土宗捨世派の本山、法然院です。京都の人気エリアである銀閣寺や哲学の道の近くにありながら、静かな佇まいを持っています。深い森の緑に囲まれた石の階段と坂道を登ると苔むした山門があり、境内には水を表す2つの砂盛りが作られ、この間を通ることは、心身を清めて浄域に入ることを意味しています。

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法然院 山門と白砂壇(びゃくさだん)


また「善気水」と呼ばれる名水の泉があり、池の水辺を囲む瑞々しい苔の緑は時が止まったような感覚さえ感じさせてくれます。こちらも紅葉の人気スポットですが、この時期は比較的ゆっくりと静かに、苔むした緑の景色を味わうことができます。京都旅行でもし雨の1日となったら、最優先で法然院を訪れてはいかがでしょう。

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法然院 境内の池と苔


苔の深い緑と穏やかな雰囲気は、長い歴史を持つ京の風情には欠かすことのできないもの。苔のある景色を訪ねて、秋の古都を巡ってみませんか。


臨済宗大本山 東福寺(りんざいしゅうだいほんざん とうふくじ)
京都市東山区本町15丁目778
http://www.tofukuji.jp

法然院(ほうねんいん)
京都市左京区鹿ヶ谷御所ノ段町30
http://www.honen-in.jp


TOKYO FM「クロノス」では、毎週金曜日、8時38分から、毎週週替わりのテーマでボタニカルな暮らしをご紹介するノエビア「BOTANICAL LIFE」をオンエアしています。

また、TOKYO FMで毎週土曜日、9時から放送しているノエビア「Color of Life」。9月は歌手の森山良子さんを迎えてお届けしています。どうぞ、お聞き逃しなく。

2017.06.30

Botanical Journey5
色とりどりの紫陽花と潮風に包まれる、鎌倉ボタニカルジャーニー

  • BotanicalJourney
6月から初夏にかけて、彩り豊かに私たちの目を楽しませてくれる花、紫陽花(あじさい)。  古都・鎌倉では、その紫陽花を豊かな緑と溢れる風情のなかで、心ゆくまで楽しむことができます。

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6月のボタニカルジャーニーは、万葉の昔から日本人に愛されてきた紫陽花の名所を訪ねる、鎌倉への小さなボタニカルジャーニーです。


紫陽花が似合う古都・鎌倉
東京の都心からでも、電車で1時間ほどで出かけることのできる古都・鎌倉。四季を通して人気を集めていますが、この6月から初夏にかけては、鎌倉が最も魅力的になる季節です。その理由は紫陽花。紫陽花の3大名所として知られる明月院、長谷寺、成就院のほか、お寺や街のいたるところが、豊かな色合いの紫陽花に包まれ、心を癒やしてくれます。三方を山、一方を海に囲まれた鎌倉は、もともと地形と気候が紫陽花の生育に適している場所。水がきれいなことに加え、 紫陽花の根が横に張ることで、土砂の崩れを防ぐ効果もあり、いたるところに紫陽花がうえられていきました。お寺が多いため、祈りの場所にふさわしく、花を大切にする文化もあります。その鎌倉の紫陽花が、ちょうど今、見頃を迎えています。

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山々の深い緑のなかに鮮やかに息づく紫陽花の花、街中はもちろん、ちょっと足を延ばして、海辺の潮風のなかで楽しむ紫陽花の花。この時期ならではの紫陽花を巡る、小さなボタニカルジャーニーを楽しんでみてはいかがでしょうか?


「明月院ブルー」、明月院の青い紫陽花の秘密
鎌倉への旅の玄関口と言えるのが「北鎌倉」駅。駅を降り10分ほど歩くと、鮮やかな青い紫陽花とともに私たちを迎えてくれるのが「明月院」です。1160年創建で、「悟りの窓」と言われる円窓、花菖蒲、枯山水庭園など見所の多い寺院ですが、別名「あじさい寺」としても知られるほど、紫陽花が見事です。代名詞となった紫陽花は参拝者の心を和ますために、戦後、当時の住職が植えたもの。ここ明月院で咲くほとんどのヒメアジサイが、鮮やかな青色であることから、その色は「明月院ブルー」と呼ばれています。紫陽花は、土壌の成分で花の色が変わり、 酸性が強いと青系、アルカリが強いと赤系になるとか。明月院では満開になってから少し経った頃、この青が最高の色合いを見せてくれます。その数約2500株。毎年剪定した中から約300鉢のさし木を行い、1年間植木鉢で大切に育て、その後、山中の畑に植え、4年目から5年目にやっと院内に植えられます。その細やかな管理も、明月院ブルーの秘密の一つです。

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鎌倉石の参道〜あじさいの参道

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花想い地蔵



「江ノ電」で紫陽花巡り
さて、「北鎌倉」駅から再びJRで「鎌倉」駅に。続いては、鎌倉から江ノ島に向かう「江ノ電」を乗り継いで、紫陽花の名所を目指しましょう。 江ノ電「長谷」駅で下車し、次の駅「極楽寺」駅までの間を歩くと、紫陽花の名所をいくつも体験できます。特に御霊神社(ごりょうじんじゃ)前では、紫陽花の花に囲まれて走る江ノ電を楽しむことができます。100年以上の歴史を持つレトロな江ノ電と線路沿いの紫陽花の組み合わせは、鎌倉ならではの風景です。 また、歩く途中で海が見えたり、潮風が感じられたり、紫陽花と緑深い山々の自然の癒しを、五感でたっぷり体験できます。

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極楽寺前

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江ノ電と紫陽花


続いて、「極楽寺」駅で再び江ノ電に乗車し、「稲村ヶ崎」駅で下車。ここまで来ると海はもう目の前。富士見100選として知られる「稲村ガ崎の海浜公園」は、由比ガ浜と七里ヶ浜の間にある岬。ここでは自生の紫陽花を楽しむことができます。もちろん、お天気次第では富士山も。紫陽花を巡る小さな旅の締めくくりに、一足早く初夏の海の景色と潮風に包まれて、紫陽花を楽しむのはいかがでしょうか。

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稲村ガ崎の海浜公園の紫陽花


日本古来の自生の植物、紫陽花。「藍の色が集まったもの」という意味の「あづさい(集真藍)」からその名が来ていると言われています。青い紫陽花の代表的な花言葉は「辛抱強い愛」。ピンクの紫陽花の花言葉の一つは、「元気な女性」。白い紫陽花の花言葉の一つが、「寛容」。紫陽花を巡るボタニカルジャーニー。色とりどりの紫陽花との出会いは、きっとあなたに元気をくれることでしょう。


TOKYO FM「クロノス」では、毎週金曜日、8時38分から、毎週週替わりのテーマでボタニカルな暮らしをご紹介するノエビア「BOTANICAL LIFE」をオンエアしています。

また、TOKYO FMで毎週土曜日、9時から放送しているノエビア「Color of Life」。7月は歌手、女優の薬師丸ひろ子さんを迎えてお届けします。どうぞ、お聞き逃しなく。


◆明月院(めいげついん)
アクセス:JR横須賀線「北鎌倉」駅より徒歩10分
住所:神奈川県鎌倉市山ノ内189

◆御霊神社(ごりょうじんじゃ)
アクセス:江ノ島電鉄「極楽寺」駅徒歩10分、または「長谷」駅徒歩5分
住所:神奈川県鎌倉市坂ノ下4-9

◆稲村ガ崎の海浜公園(いなむらがさきのかいひんこうえん)
アクセス:江ノ島電鉄「稲村ヶ崎」駅から徒歩5分(改札出て左方向、国道134号線沿い)

2017.03.31

Botanical Journey4
街が桜に包まれる! 日本橋「桜フェスティバル」で桜の魅力を再発見

  • BotanicalJourney
今回のBOTANICAL JOURNEYは、東京・日本橋で4月9日(日)まで開催中のイベント『日本橋 桜フェスティバル』をご紹介します。春といえば桜ですが、アート、食、エンターテインメントなどが融合した、新しい桜体験はいかがでしょうか。

©+VELVETA DESIGN OFFICE TOKYO


「日本橋 桜フェスティバル」で、昼も夜も桜を満喫。
オフィスや商業施設が立ち並ぶビル街、東京・日本橋。実は“江戸桜通り”や“浜町緑道”など古くから桜の名所が多数点在し、桜を愛する文化が根付く歴史豊かな街です。そんな日本橋で春の恒例イベントとなっているのが、『日本橋 桜フェスティバル』。地元の桜の名所はもちろん、デジタルアートによる夜桜体験や日本橋ならではの美食の食べ歩き体験、そして、重要文化財である「三井本館」、中央通り沿いの美しい建物全体が桜色のライトに染まる、桜と建築のコラボレーション「桜ライトアップ」など、 ここだけの桜の魅力が昼も夜も楽しめます。


春の風を感じながら足で歩いて楽しめることに加え、時間帯によって表情がガラリと変わる日本橋を体験出来るのも、このイベントの魅力のひとつ。夜はライトアップを、昼間は街のシンボル「日本橋」周辺を散策し、桜や桜をテーマとしたメニューを楽しみましょう。



「NIHONBASHI SAKURA GATE」に込めた想い
今年もこのイベントの目玉となっているのが、「NIHONBASHI SAKURA GATE」です。コレド室町1とコレド室町2の間、仲通りに、全長30mの幻想的な空間が登場。デジタル技術によって通りを春の小川に見立て、足元に、光り輝く水と桜の花びらの映像が流れます。頭上には、約100個の桜提灯と桜色に染まる無数の短冊がたなびき、満開の桜並木を演出しています。この「NIHONBASHI SAKURA GATE」を手がけたのは、ベルベッタ・デザイン代表で空間デザイナーの、長谷川喜美(はせがわ・きみ)さん。「空気をデザインする」をテーマに、女性ならではの感性で空間に関わるクリエイションを、世界各地で手がけてきました。

「日本橋は高層ビルに囲まれて、空が狭く感じてしまう場所。だからこそ、桜の季節だけでもより開放的な空間を演出したい」、そんな発想から、“立体的”で“歩きながら”楽しむことができる、アート体験を実現させました。プロジェクションマッピングでは一箇所に立ち止まって見ることになりますが、通り一帯に装飾を施すことで、空や足もとを見回しながら、歩いて楽しむことができます。春の風に揺れる桜をイメージした桜色の短冊は、ビル風という自然の演出によって、一度として同じシーンはなく、まさに自然の美を体現しています。

©+VELVETA DESIGN OFFICE TOKYO

「街の一箇所だけがきれいなのではなく、どこを見渡しても美しい場所にしたい。そんな理想を突き詰めるうちに、この“周遊型の桜体験”に行き着きました。上を見上げ、光と風をあびて、日本橋ならではのお花見を楽しんでいただきたいです」と、長谷川さんはお話してくださいました。


桜を食で楽しむ、豊富な「桜メニュー」
『日本橋桜フェスティバル』のもう一つの魅力が“食”です。日本橋中の109の飲食店が、春や桜をテーマにしたオリジナル桜メニューを、イベント中の期間限定で提供。桜からインスピレーションを受けた “味”を堪能することができます。

例えば、千疋屋総本店の期間限定メニュー「春色庭園  桜あんのモンブラン」。ストロベリーティーには本物の桜の花も浮かべられています。

千疋屋総本店「春色庭園 桜あんのモンブラン」

また、日本橋だし場はなれの限定メニューは、「桜甘味御膳」。桜餅、お団子、桜色の寒天の3種類の甘味を、伊勢のかぶせ茶と一緒に楽しむことができます。

日本橋だし場 はなれ「桜甘味御膳」

ほかにも各お店ごとにパフェやサンデー、さらには桜をテーマにしたランチプレートやディナーコースなどと展開は様々。大人はもちろん、お子さまと一緒でも楽しめるオリジナルの桜メニューが豊富に取り揃えられています。

歩いて、見て、食べて、全身で桜を感じながら、日本橋という街の魅力と桜の魅力を再発見できる「日本橋桜フェスティバル」。東京メトロ銀座線「三越前」駅や「日本橋」駅すぐとアクセスも便利ですので、会社帰りやこの週末など、ぜひ、足を運んでみてはいかがでしょうか。


TOKYO FM「クロノス」では、毎週金曜日、8時38分から、毎週週替わりのテーマでボタニカルな暮らしをご紹介するノエビア「BOTANICAL LIFE」をオンエアしています。

また、TOKYO FMで毎週土曜日、9時から放送しているノエビア「Color of Life」。4月1日からは料理家の有元葉子さんを迎えてお届けします。どうぞ、お聞き逃しなく。


「日本橋 桜フェスティバル」
期間:3/16(木)〜4/9(日)
問い合わせ先:日本橋案内所 03-3242-0010 (3/16(木)〜4/9(日) 10:00〜21:00)
WEB:「まち日本橋」特設ページ(日本語English

2016.09.30

Botanical Journey3
京都府立植物園、花と植物で体験する古都の自然

  • BotanicalJourney
自然豊かな京都の街。そこに住む人にはもちろん、世界から訪れる人々にも寄り添う美しい木々や花々。今回のBOTANICAL JOURNEYは、日本の四季の美しさを伝え、古都の歴史ある森を守る「京都府立植物園」をご紹介します。



京都の自然の歴史を伝える植物園
「京都府立植物園」は、大正13年(1924年)1月1日に開園した、日本で一番歴史ある公立の植物園です。東に比叡山を望み、西に加茂川の清流を背景とし、京都御所の面積の2倍以上である24万平方メートルという広大な敷地は、植物園のために土地を開墾したのではなく、この地に昔からあった自然環境を残して作られています。例えば、古代の京都の地にあった植生、自然の水辺を残し、四季それぞれの美しさを楽しめる静かな自然林「なからぎの森」。そこは特に秋の景観が素晴らしく、紅葉の隠れた名所の一つとなっています。そして、もう一つが「楠並木」。京の四季の移ろいや情緒ある町並み、史蹟が数多く登場する川端康成の小説「古都」の中にも登場し、地元・京都府民だけでなく、文学に親しむ全国の人々からも、心落ち着く散歩道として愛されています。

(楠並木)


時を超えて伝えられる京の植物愛
都市でありながら自然豊かな京都の街。人々は昔から美しい自然をとても身近に感じながら生活してきました。植物がきれいで生き生きとしているからこそ、それを取り入れた美味しい食べものや、京都ならではの文化が生まれています。そんな植物愛が詰まったのが、この「京都府立植物園」です。実は、園内には、ここを愛する歴代の園長やスタッフ、そして市民自らが世界各地に出向き、自費で買い付けてきた植物も多いそうです。植えてすぐにかたちにならなくても、「20年後には花咲くかもしれない」、「30年後には大変珍しいものになるかもしれない」、時の流れを見つめた先人たちのそんな粋な願い、思いやりの心がたくさん詰まっています。


写真の「シダレエンジュ」は、1934年に菊地秋雄元園長が中国北東部から持ち帰り接ぎ木して増やしたもので、今では植物園の見所のひとつとなっています。


「源氏物語」の四季の世界を届ける植物たち
また、ここでは一年を通して「源氏物語」に登場する植物を園内いたるところで見つけることができます。 紫式部によって書かれた古典文学「源氏物語」は、日本の花の歴史を知る上でも重要な文献の一つです。54帖からなる物語の中で、1帖から10帖のうち9帖までに植物に関しての題名がつけられ、描写も植物を背景にしているものが多く、植物とともに京の四季の風情を知ることができます。特に平成20年(2008年)、源氏物語が歴史に登場して1000年という節目を迎えたことで、源氏物語に登場する植物を園独自にピックアップした、源氏物語「花」の案内地図が作られ来園者に人気になっています。 春は「アヤメ」「サツキ」「フジ」。夏は「クチナシ」「ツユクサ」「ムラサキシキブ」。秋は「オミナエシ」「キキョウ」「シオン」「カエデ」。そして冬は「ツバキ」など、季節ごとに40種類以上の花や植物と園内散策で出会うことができます。「源氏物語が大好きだから」「源氏物語ファンで」という理由で植物園を訪れ、その世界に浸っている人も数多くいらっしゃるのだそうです。

(左: オミナエシ/中央: キキョウ/右: カエデ)


植物と共に地球を巡る観覧温室
日本古来の花や植物と出会える「京都府立植物園」。実は、もうひとつの魅力が、世界各地の個性的な植物が豊富に育てられていることです。日本最大級の規模で多様な植物が育てられている観覧温室では、「ジャングル」「砂漠サバンナ」「高山」などとまるで地球の個性的な土地や気候を巡っているかのように、植物の世界を歩いて観て回ることができます。


京都で生まれ、子供のころからこの「京都府立植物園」で植物に親しんで来た現園長の長澤淳一さんをはじめ園のスタッフが何よりも心がけているのは、「植物をいい状態で見てもらう」ということ。園長自身がまだ若い頃、自らマダガスカルに出向き買い付けしてきた「バオバブ」は、植物園に迎え入れて15年目を迎える今年、初めて花を咲かせたそうです。また、映画「スターウォーズ」に登場するダースベイダーに似た「アリストロキア・サルバドレンシス」など、珍しくてユニークな花や植物もたくさん。 奇をてらった上辺だけの「きれい」ではなく、きちんと栽培することで、植物たち本来の魅力溢れる植物園を日々目指しています。

(左: バオバブ/右: アリストロキア・サルバドレンシス)

四季の花や植物の魅力を再発見
京都という土地の歴史や自然、人々とともに歩んできた「京都府立植物園」。季節ごとに桜、梅、しょうぶ、つばき、あじさいなど日本の四季の花も見られ、竹や笹など日本情緒溢れる景観もいたるところに造られています。1年を通し、いつ出かけても自然をゆっくりと体験出来る環境が整えられており、週末ごとに植物教室、観察会、園芸相談なども行われ、府民の植物との触れ合いを積極的にサポートしています。

「ここは民間ではなく“京都府立”ですから、美術館や博物館と一緒で、文化施設という扱いです。儲けばかりを重視せずやっていけるのが強み。それに、“植物のために使ってください”と寄付してくださる府民の方もいらっしゃいます。恵まれた環境で、長く愛されてきたこの植物園は大変幸せものです。神社仏閣を目当てに観光に訪れた方には、ぜひその近くにある植物にも注目してもらいたいです。京都体験を植物がもっともっと魅力的なものにしてくれることを願っています」(長澤園長)

京都府立植物園の入場料は200円、年間パスポートはなんと1000円と驚く程お手頃。これを手にするだけで、まるで古都に“住む”かのように、京都ならではの自然や植物の魅力を満喫することができます。


TOKYO FM「クロノス」では、毎週金曜日、8時38分から、毎週週替わりのテーマでボタニカルな暮らしをご紹介するノエビア「BOTANICAL LIFE」をオンエアしています。

また、TOKYO FMで毎週土曜日、9時から放送しているノエビア「Color of Life」。10月1日は草笛光子さんを迎えてお届けします。どうぞ、お聞き逃しなく。


京都府立植物園
JR「京都」駅(近鉄「京都」駅、阪急「烏丸」駅)から京都市営地下鉄「北山」駅下車3番出口すぐ、又は「北大路」駅下車3番出口を東へ徒歩約10分。
京阪「出町柳」駅から市バス1系統または京都バス「静原」「市原」行きバス停「植物園前」下車徒歩5分。
植物園開園時間:9:00〜17:00
観覧温室:10:00〜16:00
休園日:12月28日〜1月4日(この期間以外は年中無休)
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