記録的な豪雨と甚大な被害をもたらした台風19号の上陸から
まもなく2か月が経とうとしています。
今回は、この台風19号と仮設住宅の問題についてお伝えします。

内閣府が12月2日に発表した最新のまとめでは、
亡くなった方が、災害関連死も含めて99人、行方不明の方が3人。
全壊や半壊、一部損壊した住宅はおよそ4万8000件、
浸水した住宅は4万320件にものぼりました。
そして、注目すべきなのは、2日の時点で
まだ1691人の方が避難所での避難生活を送っていると言う現実です。
特に避難者数が多いのが、福島県、長野県、宮城県で、
これらの地域では河川が決壊した影響があまりに大きく、
2か月経っても、復旧が進んでいないことが分かります。

実は、千曲川が決壊するなどして甚大な浸水被害を受けた長野市では
12月1日から仮設住宅への入居が始まりました。
プレハブや木造住宅、トレーラーハウスなどを活用して
およそ115戸の仮設住宅が完成したんですが、
入居が決まったのはたったの55戸。
利用率が半分にも満たず、低迷しているんです。

その理由ですが、長野市によると、
被災のショックなどで今後のことを決めかねている被災者もいるとのこと。
一方で、仮設住宅に入居した場合、災害救助法に基づく
『応急修理制度』を使うことができないという問題もあるようです。

『応急修理制度』と言うのは、住宅が半壊や大規模半壊の被害を受けて、
そのままでは住めないけれど、応急修理すれば住むことが可能となる方、
かつ金銭的に自分で修理するのが難しい方に対して、
自治体が必要最小限の家の修理を行ってくれる制度のこと。
必要最小限って何を指すのかと言うと、
屋根や壁、床など日常生活をする上で欠くことのできない部分のことです。
1世帯あたり、54 万7000円分を上限に、自治体が修理してくれます。
ただ、先ほどお伝えした通り、この修理は仮設住宅に入ると受けられないんです。
これまでの震災や災害でも同じように、
仮設住宅が使われないままとなり、
逆に、住むことはできるけれどあちこちにダメージが出た家に
特に高齢者の方が住み続ける現実も生まれています。

地域によって課題も異なる、仮設住宅問題。
災害のあとに起きている問題にも、目を向ける必要があります。
古賀涼子でした。


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