津波防災の日が制定されているこの11月は
“津波”について考えていきます。

津波と聞くと、東日本大震災の光景を思い出す方が
多いのではないでしょうか?
あなたは、
この、東日本大震災の時に確認された“黒い津波”を知っていますか?

今朝は「黒い津波の脅威」についてお伝えします。

東北大学災害科学国際研究所・所長の
今村文彦先生に“黒い津波”について伺いました。

今村先生:
津波というのは、最初の段階では海なので海水なんですね。
ブルーの綺麗な水なんです。
しかしながら、沿岸部に近づいて
特に、都市化した地域に行きますとなんと色が黒くなってしまいます!
この黒い理由が泥とかへどろという事になります。
海水に泥とか重い物質が含まれますので
波自体がとても密度が高く、重くなり粘性と言ってドロドロした形になります。
そうすると、波の力が強くなるんですね

津波のパワーは海水そのものを海底から動かすため、
長年沈殿したヘドロを巻き上げて混ぜてしまうんです。
そして細かい粒子がまざった黒い津波は、
海水よりも、1.3倍から1.5倍の威力になります。
黒い津波であれば、
1メートル位であっても家の壁を壊す力があると言われているんです。
この黒い津波、“人の体”にも影響を及ぼすと今村先生は指摘します。

今村先生:
この黒い津波によって、
引いた後ですね乾燥しますと
泥とか有害物質が
粉塵となって周りに長時間影響するんですね。
マスクであったり、その対応とうのも必要となります。
こういう津波、特に黒い津波の後は
粉塵でくもっている状況もありますので
それを吸い込まない
「津波肺」=肺炎を起こさないことも大切です。

津波が引いたあとも注意が必要なんですね。
今村先生の話の中にあった「津波肺」
この、
津波肺になってしまう原因は大きく分けて2つあると話します。

今村先生:
さきほどいった水が引いて粉塵を吸い込んでしまうと。
それで肺の中で炎症する。
もう一つは、残念ながら津波によって飲み込まれてしまう。
漂流している間にその黒い津波を飲み込んでしまって肺の中に入ってしまう。
そうすると同様に、炎症を起こしてしまう訳です。
これは、東日本大震災の際、実際に報告されているわけです。




東日本大震災の際も、
津波肺に苦しんだ人たちが多くいました。 

黒い津波が発生する恐れのある入り組んだ地形は全国に存在します。
首都直下地震や南海トラフ地震など関東でも大きな地震がおきれば
関東の都市部・港湾地帯や工業地帯などでも発生する可能性があります。

日頃の備えに加えて、知識を蓄えることも防災の備えへと繋がります。
防災フロントライン、手島千尋でした。






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