今朝は
“首都直下地震による火災〜東京都の取り組み〜”
についてお伝えします。
首都直下地震が
冬の夕方、風が強い時に起きると、
全壊または焼失する建物が61万棟に上り、
このうち火災で焼失するのはおよそ41万2000棟。
死者は、
2万3000人にのぼり、
その7割にあたるおよそ、
1万6000人は火災が原因で亡くなると言われています。

首都圏で首都直下地震が起きた時に、
一番被害を受ける地域について防災科学技術研究所・参与
平田直先生に解説していただきました。
  
平田直:
都内のちょうど、
山手線の外側で環七の内側に環状2っていうか
リング状に被害が広がっているっていう所があります。
これは、けして江東区だけではなくて、渋谷だとか杉並だとか
そういうところも広がっているんですね。
何故、山手線の外側で
環七の内側に被害が広がるかと言うと、
そこには、いわゆる木造密集地域というのがあるわけです。
(首都圏の)木造住宅が密集している地域は沢山あって
一旦火災がでると、
あちこちで同時に多発するっていう風に考えられているので、
その時には現在の消防能力を超えると考えられています。
一旦火災が起きてしまうと、
だいたい延焼が2日ぐらい続くと考えられているので、
影響が一番大きいですね。

平田先生のお話の中にあった、
木造住宅が密集する“木密地域”
戦後から高度経済成長期にかけて、
道路や公園などの都市基盤が十分に
整備されないまま発展し、老朽化した家屋が軒を連ねています。
火災を最小限に抑える事が大きなカギとなっている
「首都直下地震」
平田先生は、
東京都では平成8年からこの様な計画を進めていると言います。

平田直先生:
平成28年に改定した
「防災都市作り推進計画」というのを持っていて
それによると28の地域を整備地区というのに指定しています。

そこの地域には、
木造住宅が密集している地域で、
耐震化したり不燃化したりする必要がるとう事を
都として認めて、その地域の中にある、
住宅に対しては耐震診断や耐震補強の補助金を出す、
補助金は、
実際には区から出るんですけれども、そういう地域を指定しています。
整備地区っていうのは、
23区の面積の1割人口の2割の人がここに住んでいて、
これが被害の61万棟のもっとも大きな要素になっているわけです。

そのほかにも、東京都では、
「木密地域不燃化10年プロジェクト」に力を入れています。
“燃え広がらない・燃えないまちづくり”を合言葉に、
都内の木密地域のうち、
53地区を不燃化特区に指定し取り組みを進めています。
消防や救援活動が行える幅6メートル以上の広い道路や広い公園、
火災に強い建物を増やしていく取り組みも行われています。

想定では、火災に強い街づくりや建物を耐震化して
火災対策を徹底すれば死者は10分の1の2300人に
減らせると対策の効果も示されています。

“首都直下地震による火災
〜東京都の取り組み〜”についてお伝えしました。

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