東京など首都圏を襲う「首都直下地震」
東京都は、首都直下地震の被害想定を10年ぶりに見直しました。
建物の耐震化が進んだことなどで、死者はおよそ6150人
と前回の想定よりも3割ほど少なくなりました。
また、全壊の建物も、およそ8万2200棟と、
3万4千棟あまり少なくなりました。

今回の想定では、生活に及ぼす影響やライフラインなどへの被害が
地震のあとにどのように変化するのか、1か月以上にわたって時系列
で具体的に示した、「災害シナリオ」を新たに盛り込まれました。 

この、災害シナリオの内容を詳しくお伝えします。
まず、ライフラインとインフラです。
電力は、発生直後や翌日は、
広範囲の停電や、首都機能を維持するための計画停電が行われる
可能性があるほか、送電用の鉄塔が倒れると、停電は長期化する恐れが
あります。3日後からは、電柱や電線の復旧作業によって徐々に
停電は減っていくものの、供給が低下したままなのに
需要が抑制されないと計画停電が継続する可能性があるとしています。

水道はどうなるのでしょうか?
断水は、23区の3割、多摩地区の1割で起きると予想されています。
水道や下水は、1か月後にはおおむね回復するものの、ビル、マンションでは
配管修理が完了しないと、水道やトイレが利用できない状態が続きます。

この10年で、都内の携帯電話の契約数は3倍に増えている一方で
公衆電話は減っています。
今、私たちの生活に欠かせない通信はどうなるのでしょうか?
電話やインターネットは、基地局や電柱の被害で地震直後から使えなくなる
他、電話やデータの送受信が集中する事で電話は繋がりにくくなり、
メールや
メッセージのやりとりも時間がかかるようになります。
さらにその後、基地局などで非常用電源の燃料が枯渇すると
利用できない地域が広がる事もあると想定されています。

公衆電話の場所を事前に確認したり、通信アプリを活用したりするなど
複数の手段を利用できるようにしておきましょう。

続いて、インフラについてです。
地震直後にストップした在来線や私鉄は1週間後でも、脱線などの
被害によって多くの区間で運行停止のままで、出勤や帰宅が困難な
状況がつづきます。1か月後には、震度6弱以上の揺れを観測した
地域のおよそ6割で復旧するものの、被害状況によっては、さらに
復旧まで時間がかかる事が見込まれています。

こうした事から物資の不足も懸念されます。
東京湾の岸壁のおよそ7割が被害をうけ、コンテナなどによる
物流に大きな影響を与えるほか、先行きへの不安による買いだめで
物資の不足が加速する可能性も、この災害シナリオでは指摘されています。

来週の防災FRONTLINEも災害シナリオの具体的な内容をお伝えします。


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