2026年 TOKYO FM 年頭挨拶(代表取締役社長執行役員 唐島夏生)

あけましておめでとうございます。

今年は干支でいうと60年に一度の「丙午」です。60年前の丙午の年は1966年でした。 ビートルズが来日した年です。熱狂の嵐と共に、4人の若者が日本人の既成概念を塗り替えた年といっても過言ではありません。武道の聖地である日本武道館で、「長髪で行儀の悪い若者がコンサートをやるなんてけしからん」というのが当時の風潮でしたが、マスコミの意地悪な質問も彼らはウィットでかわし、革新的で圧倒的な音楽の力で人々を魅了、様々な面で日本の常識を塗り替えていきました。

それから60年経った今、私たちメディア業界は大きな変革期にいます。当時の彼らのような「しなやかさ」と「革新性」で放送の概念を変え、新しいスタンダードを打ち出していく必要があります。

新しいスタンダートを創っていくために、「radiko」の存在が欠かせません。民放連研究所の昨年3月実施の調査によれば、ラジオ番組聴取時間に占めるradikoでの聴取割合は、全国平均ですでに30%を超えています。radikoによる聴取、特にスマホでの聴取が定着し、それに伴い、若者の聴取も拡大傾向にあります。また、radikoにより、リスナーの属性や位置情報、聴取傾向の把握が可能となり、ターゲティング広告に注目が集まっています。

ラジオの存在価値は、radikoの成長により、確実に見直されつつあります。15年前に「IPサイマルラジオ協議会」から始まったradikoですが、今では、放送局と一緒にラジオの未来を描くフェーズに入っていると言えます。

コーポレートガバンナンスにおいても、スタンダードの塗り替えが必要です。放送業界は、昨年の人権侵害問題をきっかけに、これまでの「業界のスタンダード」が「世間の非常識」であることを目の当たりにしました。その結果、業界全体のコーポレートガバナンス・コードを定め、その遵守状況を定期的に報告していこうという流れとなっています。コーポレートガバナンスの強化は、業界にとっての最重要課題であることを新年にあたり今一度認識し、全役職員が意識のアップデートをしていかねばなりません。

コーポレートガバナンスに言及しましたので、当社の旧役員に対する損害賠償請求訴訟の控訴審判決について少しだけ触れなければなりません。2019年に発覚した不正会計問題に関連し、当社は2022年4月に冨木田元会長ら4人の旧取締役に対して、損害賠償請求訴訟を起こしました。その控訴審判決が12月24日に言い渡されました。賠償額は一審判決と同じ、約2億8760万円でしたが、一審では軽微だった冨木田元会長の責任を、千代元社長ら他の3被告と同じレベルまで認める判決となりました。

上告期限は今週から来週中に到来する予定で、双方から上告受理申立てがないか、上告の申立てが受理されなければ、判決が確定します。判決確定前ですので、これ以上の詳細説明は行いませんが、100億円以上の損失を出したi-dio事業は、結果的に最後は経営者の不正を招き、事業終結に至ったことになります。一連の問題および今回の判決について、当社は改めて、コーポレートガバナンス上の大きな教訓とし、心に刻む必要があると思います。

ラジオの未来に話を戻します。私たちラジオ局、radikoを含めたラジオメディアにはまだまだ潜在的なポテンシャルやチャンスがあります。60年前のビートルズのように、常に革新の先頭に立ちたいものです。

ミセス・グリーンアップルのヒット曲『GOOD DAY』にこんな歌詞があります。

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「所詮 流るる時代の海」

「行き先なんて今は知らなくて良い」

「胸が高鳴る方へ 向こうへ」

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ラジオメディアの世界で、たとえ先が少し見えなくても、我々は未来を確信し、「胸が高まる新しいうねり」を半蔵門から生み出していきましょう。


以上