2021/12/05

「千と千尋の神隠し」のような異世界感…トンネル探究家の“いち押しトンネル”とは?

DDP編集部

12月5日(日)の放送では、前回に引き続き、トンネル探究家の花田欣也(はなだ・きんや)さんをゲストに迎え、トンネルの魅力についてたっぷりと語っていただきました。

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(左から)ホラン千秋、花田欣也さん

かつての保線員の苦労が伺えるトンネル

花田さんが公道のトンネルでおすすめするのは、福井県敦賀市と南越前町、滋賀県長浜市の3市町にまたがる「旧北陸線トンネル群」。ここは古くから難所と言われる豪雪地域で、「敦賀から今庄にかけて山中峠があり、ここにはレンガや石のトンネルが11本ある」と言います。また、この近辺は二次交通があまりないため、自動車で巡るのが基本ですが、雪がない時期には敦賀駅前にある「つるがシェアサイクル」で電動自転車を借りて巡るのもおすすめだそう。

ここの一番奥にある山中トンネルが完成したのが1896(明治29)年。長さはおよそ1,170mで、「ここは岩盤が硬くて、掘るのに3年もかかった。山なので水も漏れてくるので、1日に1mぐらいしか工事できない日もあった」と語ります。

また、トンネル開通後も苦労があり、「トンネルが1kmあるので、煙がトンネル内に充満して機関士にまとわりつくんですよ。なので、機関士は常に窒息のリスクと戦いながら運行していた」と花田さん。そのため、当時の煙の煤(すす)が今もなおトンネルのレンガにべったりと付着しており、「触ってみると、指が煤で黒くなります。煤の跡に触ってみると、当時の保線員の苦労が伺えます」と話します。

さらには、曲谷(まがりだに)トンネルもいち押しのポイントだそうで、「(トンネルの中が)左に急カーブしていて、そこの場所に絶妙な照明があってグリーンに見えるんです。まるで『千と千尋の神隠し』のように、“このトンネルの先はどこに行っちゃうんだろう”っていう異世界感があるんですよ」と魅力を力説します。

季節限定イベント「廃線ウォーク」

続いておすすめしたのは、群馬県安中市と長野県軽井沢町との境にある碓氷(うすい)峠の新線トンネルを歩くことができる季節限定イベント「廃線ウォーク」。1893(明治26)年に開通したこのトンネルは、「“66.7パーミル”という鉄道用語があって、1km進むごとに66.7m(標高が)上がるんです。これが日本の国鉄史上最大の勾配だった」と話します。

そんな急勾配を蒸気機関車がどうやって上っていたのかというと、「アプト式機能と言って、レールとレールのあいだに、ドイツで発明されたラックレールという歯車をつけて(急坂を)上っていた」と花田さん。

また、当時26本あった旧線のトンネルは、現在は10本となり、「ここは『アプトの道』ということで遊歩道になっています。また新線のトンネルは、新幹線が開通したことでJRの特急あさま号が廃線になり、ここに29本のトンネルが上り下りにあるので、計39本のトンネルがある。その39本のトンネルを1日に全部行くのはさすがに無理ですが、そのうちの“横川から軽井沢までにあるトンネルを巡る”など、安中市観光機構がやっているイベントが『廃線ウォーク』なんです」と熱弁。

また、「旧線のアプトの道に行くと、トンネルとトンネルのあいだに、『めがね橋』という日本で最大のレンガ造りの4連アーチ橋があるんです。めがね橋だけで200万個のレンガを使っていて、当時はほかにも10本のトンネルがありましたから、とてつもない数のレンガを使っている」と話します。

しかも、とても質の高い深谷のレンガが使われており、「旧線は遊歩道になっているので歩けるんですけど、新線は『廃線ウォーク』のときでないと歩けません」と補足。「ここは鉄道ファンでなくても面白い」と太鼓判を押します。

2週に渡る花田さんの話に魅了されたホランは、「トンネルにこんなにも種類があったんですね! (トンネルから見えてくる)背景なども考えながらチェックしてみると、今までとは違ったふうに映るかもしれない。とても面白かったです!」と声を弾ませ、リスナーに向けて「みなさんも、ぜひトンネルを訪れてみてください」と呼びかけました。


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