Dream Heart(ドリームハート)

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REPORT 最新のオンエアレポート

Dream HEART vol.358 能楽観世流二十六世宗家 観世清和さん

2020年02月08日

今週ゲストにお迎えしたのは、先週に引き続き
日本の伝統芸能で世界最古の舞台芸術のひとつといわれる「能」
観阿弥(かんあみ)と世阿弥(ぜあみ)から、およそ700年の伝統をうけつぐ、能楽観世流二十六世宗家 観世清和さんです。

観世さんは、東京都生まれ。
1990年に、宗家継承。
初世 観阿弥(かんあみ)・二世、世阿弥(ぜあみ)・三世、音阿弥(おんあみ)の子孫でいらっしゃいます。

観世流家元として、年間80番以上の主役をつとめ、その数は、能楽界随一であり、現在の能楽界を代表する方です。
国内はもとより、フランス、アメリカ、インド、タイ、中国など世界各地で公演をされています。
2016年7月、ニューヨーク・リンカーンセンターにおける招聘公演は、高い評価を得て大成功を収めました。

また観世宗家に伝わる能面・能装束・伝書を収蔵する、
「一般財団法人 観世文庫」を設立し、インターネットの「観世アーカイブ」にて、世阿弥 自筆本をはじめ、多くの伝書・文書類を広く公開し、能楽の研究と普及に尽力していらっしゃいます。


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──トランス状態


茂木:観阿弥、世阿弥の頃は、まさに足利幕府の将軍と非常に密接な繋がりがあって
その後の江戸時代も、幕府からかなり熱い庇護を受けてらっしゃいました?

観世:そうですね。江戸時代の少し前は、織田信長、豊臣秀吉、そして徳川家康。
彼ら3人の英傑もですね、こぞって能楽を見るだけではなくて、自分たちも舞っていたんですね。

茂木:当初、教養のひとつだったということなんですか?

観世:そうですね。もうひとつは、能楽は見るだけじゃなくて自ら舞うことによっての達成感、気持ち良さ、それを彼ら3人は知っていたんだろうと思います。

茂木:戦国武将としても卓越した能力があるということは関係があるんですかね。

観世:あると思います。必然的に、能を舞うことによって、謡本という台本がございます。
この台本の中には先人たちの知恵も入っているわけですよね。能を稽古する、勉強することによって、知らず知らずのうちに彼らも教養として体の中に入っていたのではないでしょうか。

茂木:世阿弥が「幽玄」ということを大事にされている、これにはどういう意味合いがあるんですか?

観世:禅的思考の言葉でございます、「幽玄の世界」というと、美しい、静かな、深遠な世界…そういうものもございます。
当時の室町人は「幽玄」という言葉を使って…いわゆる派手、華やか、これも「幽玄」だと言うんですね。江戸時代の「幽玄」という使い方と、室町時代の「幽玄」では、どうも意味合いが違うようでございます。

茂木:そうなんですか。

観世:もともとは禅の方から来た言葉でございますが、私は逆に墨絵の世界の中に、朱墨が一点ポッとあるような世界。
静かで深遠なんですけど、非常に芯が強くてですね、風が吹いても絶対微動だにしない。そういう芯の強さみたいな、両方の面があるんじゃないかなと思うんです。

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茂木:能をやってらっしゃると、生命感とか、生きるということはどういうことなのか、気づきがあるんですね。

観世:ございますね。例えば長い演目を致します時に、私どもは「ペース配分はするな」って言うんですね。

茂木:え!? しないんですね。

観世:長い演目であろうが、短い演目であろうが、全身全霊でアンテナを全開にして、四肢を存分に伸ばして惜しむことなく、積み重ねていった稽古の通りやれ
というのが、まずひとつなんですね。

茂木:それ、すごいことですね。
途中で息切れとかスタミナ切れとかしないんですね?

観世:人間ですから致します、やはり稽古の時にはここで息切れはしなかったのに、“おかしいなぁ”というのはあるんです。
そこを乗り越える、突き抜けるみたいな、そういう精神的な強さと言うんでしょうか、常にそういうものを持っていないと駄目だという稽古を、子供の頃から仕込まれていくんですね。

茂木:我々拝見していますと、お能をやられてる方はトランス状態に入っているんじゃないかと思うんですよ。

観世:仰る通りですね。能面は、いわゆる面紐という紐でくくります。面紐が当たる位置にこめかみがあるんですね。
こめかみは急所でございますが、ここをぎゅーっと締めれば痛いはずなんですが痛みもなくて…トランス状態というのはあると思います。

茂木:能を拝見するたびに、本当にゆったりとしていて“何も起こらないな〜”と思っていたら、突然ガラっと変わりますね。

観世:ある意味我慢の芸術ですね。能楽って我慢して我慢して……バッ!と爆発する。

茂木:爆発のところで本当にびっくりしますね。西洋の演劇とかと比べても、あんなに急激にガラっと変わるのはないと思います。

観世:カタルシスと言いましょうか、人間って押さえつけられていく…それを反発するエネルギーの爆発、これはあると思います。

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