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REPORT 最新のオンエアレポート

Dream HEART vol.476 映画監督 川和田恵真さん 映画「マイスモールランド」

2022年05月14日

川和田恵真監督は、1991年、千葉県で、
イギリス人の父親と日本人の母親の間に誕生されました。

早稲田大学在学中に制作した映画『circle』が、東京学生映画祭で準グランプリを受賞。

その後、2014年に「分福」に所属し、是枝裕和監督の作品等で監督助手を務められます。

5月6日より全国公開となった映画『マイスモールランド』が、
商業長編映画デビューとなり、現在、注目を集めています。

また、この作品は、2018年の第23回釜山国際映画祭で若いクリエイターを支援する、
「ASIAN PROJECT MARKET(APM)」で、アルテ国際賞(ARTE International Prize)を受賞。
そして、今年、第72回ベルリン国際映画祭では、全部門の作品から選出される
アムネスティ国際映画賞のスペシャル・メンションに輝き、世界からも大きな注目を集めています。


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──“自分の物語”でもあると感じて欲しい

茂木:今回、川和田さんが発表された映画『マイスモールランド』がどういう映画かご紹介しますが、“在留資格を失い、普通の高校生としての日常が奪われてしまった、17歳の在日クルド人の主人公サーリャが、理不尽な社会と向き合いながら、自分の居場所を探し、成長していく”…という物語です。
これは完成まで5年掛かったんですか?

川和田:はい。最初に企画を立ててから、それぐらい時間が掛かりました。その間も、この映画で描いた当事者の方々の状況は続いていますし、より悪化していて、もうちょっと早く作りたかったな、という気持ちもあります。やっと今届けられていて、嬉しい気持ちです。

茂木:もちろん“芸術としての映画”としての側面もありますが、“在日クルド人の方を応援したい”というお気持ちもあるということで。

川和田:もちろんあります。

茂木:僕も拝見して、色んなことが入っている映画だなと感じました。「ドキュメンタリーじゃなくてフィクションとして描いた」というところにも、監督の非常に強いメッセージが感じられたんですが。

川和田:そうですね。ドキュメンタリーにはドキュメンタリーのとても大切な意義があると思っているんですけど、フィクションとして描くことで、“自分の物語”としてどこかに視点を見つけて欲しいな、という思いでフィクションにしています。

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茂木:この映画『マイスモールランド』は、もちろん、日本にいらっしゃる外国の方のことを色々考えるきっかけにもなるんですけど、“青春の成長物語”としても見ることができますね。

川和田:はい。あくまで、ある一人の女の子の視点で描いていくということを大切にしました。

茂木:ですから、観たら、色んな方が感動する映画だと思うんです。

川和田:そうですね。少女の視点からも見られますし、例えばお父さんから見てどう見えるか、とか、相手の男の子にも視点を持ちやすいと思うので、それぞれどこかに視点を置いて頂けるんじゃないかな、と思います。

茂木:主人公は17歳の在日クルド人ということですが、一般の日本人には在日クルド人は馴染みがない存在でもあると思います。たくさんいらして、ところが自分たちの国がないんですよね。

川和田:そうなんです。元から暮らしていた場所はあるんですけど、戦争の後に国境が引かれた時に、それぞれの国に分割されてしまって、自分達の国を持つことができません。今、トルコ、イラク、イラン、シリアの辺りで、暮らしにくい状況でそれぞれが色んな場所に難民として避難をされています。

茂木:元々住んでいるエリアは固まっているんだけど、それが国になっていればいいのに別々の国になってしまっているから、大変ですよね。

川和田:はい。本当に国によってはクルド語を使うことを禁止したり、民族としての存在を否定していた国もあったので、すごく暮らしていくのが大変な状況でした。

茂木:そんな中、日本では特に、埼玉県にクルドの方がたくさん住んでいらっしゃるということで、その取材をしたりとか、ワークショップもかなりされたとか。

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川和田:そうです。主演の嵐莉菜さんが決まってから、実際にクルドの方と一緒に食事をしたり、お家に伺って暮らしている様子を見せて貰ったり、そういう時間も作らせて頂きました。

茂木:川和田監督は是枝監督のお弟子さんですから、もちろん国際的な水準で映画のことを考えていらっしゃると思うんですけど。今の世界の考え方として、“当事者の役は、できるだけ当事者、ないし、近い人が演ずるのがいい”という考え方があるじゃないですか。でもその中で、あえてフィクションとして映画を作られて、嵐莉菜さんを主役にキャスティングしたというのは、クルドの方を使えないような事情があったと聞いているんですが。

川和田:はい。劇映画として出演してもらうに当たって、まず、このフィクションの持つメッセージというものを背負わせてしまうこと。そして、彼らはいつ強制送還されてしまうかも分からない状況にあって、その彼らにこのフィクションのメッセージを背負ったまま出演してもらうと、祖国に戻った時にどんな扱いを受けるか分からないんですね。例えば、デモに参加しただけでも刑務所に入ってしまうことがあるような状況にもあるので、そういった危険性もあります。そもそも、難民申請中の状態で、プライバシーを晒すことの危険性。そういうことで、今回この劇映画を作る上では、出演をして貰わないという選択をしました。

茂木:ベルリン国際映画祭では素晴らしいレセプションでしたが、これが日本の社会にどう受容されていくかというのはこれからだと思います。今、どんな手応えを感じていらっしゃいますか。

川和田:公開するまでは、期待と不安とどちらもあって、でも今私に届いているリアクションとしては、すごく受け止めて貰えてるな、届いているな、という感覚はあります。まず、この状態を知ることの大切さに気付いてくださった方々がいるな、ということ自体が、私にとって大きな一歩です。そして、クルドの皆さんにとってもそれはすごく励みになることだと思うので、まずそのきっかけにはなれているんじゃないかなと感じています。

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茂木:他者のことを想像することの難しさというのは、例えば、今ウクライナでああいうことになっていて、日本人は改めて難民などのことについても考える必要があると思うんですが、どうすればいいんですかね。日本はこういう国なので、良さもあるし、難しいところもあると思うんですけど。

川和田:でももうとっくに移民国家になっていると思うんですよね。そこを認めていく、と言うか、これだけいっぱいいるので、いつまでも「外人さん」みたいな感じで線を引くよりは、「共に暮らして社会を作っていくんだ」という認識になっていったらいいなと思っていますね。

茂木:それはきっと、社会派のドキュメンタリーも役割があるし、こういう芸術映画もある。

川和田:そうですね。こういう作品をフィクションとして描くからこそ、ある意味、追体験と言うか、「これを言われるとこんな風に思うのか」みたいな、そういう体験にもなるんじゃないかな、と思うので、この映画を通して伝えられていたらいいなと思います。

茂木:誰でも思春期には、「自分は何者なのか」とか「何者になるのか」という普遍的な悩みがあるじゃないですか。ちょうどそれが在日クルドの方の悩みと重なって、すごく普遍的な物語になっていた気がします。

川和田:はい。誰もが学生時代があるし、思春期も通って来る道なので、そこの部分を描くことで「他人じゃないぞ。これは自分でもあるぞ」という感触を持って貰えたらいいなと思っています。

茂木:「“自分の物語”でもある」と感じるということですよね。

川和田:はい。

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■プレゼントのお知らせ

現在、全国公開中の映画『マイスモールランド』の劇場鑑賞券を
3組6名の方にプレゼントいたします。

こちらの鑑賞券は、オンラインで座席予約ができる、
ムビチケとなります。

ご希望の方は、必要事項を明記の上、メッセージフォームより
ご応募ください。

茂木さんに聞きたい事や相談したい事など、
一緒にを添えていただけると嬉しいです。

尚、当選者の発表は、商品の発送をもってかえさせていただきます。
たくさんのご応募、お待ちしております。



映画『マイスモールランド』 公式サイト


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