Dream Heart(ドリームハート)

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REPORT 最新のオンエアレポート

Dream HEART vol.302 成田緑夢さん

2019年01月12日

今週ゲストにお迎えしたのは、先週に引き続き、平昌冬季パラリンピックのスノーボードで金メダルを獲得されました、成田緑夢さんです。

成田緑夢さんは、1994年 大阪府大阪市のご出身。
小学校の頃からスノーボードの国際大会に出場するほどの実力を持っていて、
16歳の時には高難易度の技を決める技術を習得されています。
また、スノーボードと並行して行なっていたトランポリン競技でも、優秀な成績を収められています。

18歳からフリースタイルスキー男子ハーフパイプを始め、世界選手権の日本代表にも選出されます。
しかし、19歳の時にトランポリンの練習中の事故により、左足の腓骨神経麻痺という重傷を負ってしまいます。
そこから障害を克服し、ハーフパイプ競技に復帰。

2018年3月の平昌冬季パラリンピックでは、スノーボードクロスで銅メダル。
そして、スノーボードバンクドスラロームで金メダルという二つのメダルを獲得しています。

今週は、2020年に行われる東京オリンピック、パラリンピックについてお話しを伺いました。




──スポーツは実験

茂木:成田さんは、2020年の東京パラリンピック、走り高跳びで出場を目指しているということで、
走り高跳びでもすでに素晴らしい記憶を出されているようですが、これどうやって選ばれたんですか?

成田:いや〜。そんなすごい記録ではないですけど…(笑)。走り高跳びを選ぶまで、いっぱいいろんな競技をやりました。10個とか12個ぐらい。

茂木:カヌーなんかもされていましたよね。

成田:はい。カヌーもやったし、射撃も馬術も水泳もトライアスロンも…片っ端からやりましたね。

茂木:すごいなあ。その中で、走り高跳びがいいと。

成田:そうですね。僕は持久より瞬発の方が好きなので、(走り高跳びは)瞬発力を問われる競技だし、一応踏切は右足でするので、可能な限り左を使わずに戦えるかなっていう、そんな感じですね。

茂木:本番では、今まで試していない跳び方を試されたりとかしてるみたいですけど、ああいう創意工夫すごいですよね!

成田:この先の未来で良い飛び方になればいいかな、と思っていて。未来にフォーカスをおいた時に、無難な一手を打つ理由があまりないんですよね。

茂木:カッコいい!

成田:スポーツって実験なんですよ。実験ってやらないと結果分からないんですよ。だから、1000回やってる実験結果と5回しか実験してない科学者だったら、1000回やってる人のは強いんです。
それと一緒で、スポーツも1000回実験した方が強いんですよ。

茂木:確かにそうですね。だから、様々なやり方を試すんですね。
でも、それを本番でもやっちゃうっていうのがすごいですよね。

成田:1本たりとも無駄にせず、実験していたら強くなれるんじゃないかな、と。

茂木:実際、走り高跳びの中でも実験してるし、いろんな競技をやるというのも、ある意味実験なんですね。

成田:まさにそうです。

茂木:東京大会まで1年ちょっとになりましたけど、今はどういう練習や取り組みをされてらっしゃるんですか?

成田:今は、高跳びの練習をまさにやっている最中なんですけど、目標を決めたりして取り組んでいます。

茂木:その目標とは?

成田:今やってるのが、一か月で5000回バーを越えるっていう目標を立てているんです。

茂木:5000回! 緑夢さんは、誓約書を書かれるそうですけど、このことも誓約書に書かれたですか?

成田:そうです。この目標が今月の誓約書なんですけど、「バーを5000回越えるということをここに誓います!」みたいな紙をつくるんです。

茂木:なかなか実行するのも大変だと思いますけど…。

成田:出来なかったら、僕が一番嫌いな丸坊主になるんです(笑)。

茂木:丸坊主になっても、きっと素敵なんだろうなと思うんですけどね(笑)。




──全力で一歩を踏み出す

茂木:緑夢さんは、決して運動万能ではないとご自身でおっしゃいますけど、観察力がすごいんですってね。

成田:それはあるかもしれないですね。常に研究してるというか、データを取るのが好きなんですよ。
データってどうやって取るかっていうと、要素を明確にして、その要素を観察するっていうことなんですよね。

茂木:良い成績をあげてる人の動きとかを見るっていうことですか?

成田:例えば、手の質感を研究するとしたら、まず見た目じゃないですか。あとは潤い、大きさ、湿り度合いとか。
そのあとは、100種類の手を見てデータを観察するだけなんですよ。それをグラフに入れて結果を出せば大きい人はカサカサの人が多いですよね。とか、手の小さい人は潤いが多いですよね。みたいなことが分かってくると思うんです。

茂木:それはまさに科学の方法論ですけど、それをスポーツでやると。

成田:そうです。僕は結構それが癖付いてるんですよね。
その理論でスポーツを見ると、ここではこういう動きをするんだって知れるし、いろんな選手を見てデータができたら、僕の体だとこれがオススメかな〜、みたいな感じでやっていくんです。

茂木:観察することもすごいですけど、それが実行できちゃうところがすごいですね。
これは、コーチから教えてもらったのではなく、自分で思いついたんですか?

成田:はい。スノーボードも専属コーチみたいなのがなくて、ずっと僕一人でやってたので。
もちろん、日本チームのスタッフメンバーと会話しながらアウトプットやインプットはありますけど、基本的に”次はこんなことやってみよう。あんなことやってみよう”みたいのは自分でやってましたね。

茂木:練習メニューもご自分で考えていたんですか?

成田:もちろん!

茂木:ビックリだなあ〜。ずばり、東京大会の目標は金メダルですか?

成田:いやいや! そんなこと全然ないですよ。出れるか出れないかも定かではないですしね。

茂木:だけど、着実にやれることを自分でやって行くんですもんね。

成田:そうですね。みんなからは、出れるんじゃないか? みたいなオーラは感じますけど、僕が一番そうは思ってなくて(笑)。
僕のニュアンス的には、東京大会までに日本からカヌーでアメリカ大陸まで行くみたいな。

茂木:そういう感覚なんですね。

成田:これは果たして間に合うのか、間に合わんのか…みたいな。もう分からないじゃないですか。そういう感覚なんです。
でも、僕が唯一言えることは、朝から晩までカヌーのパドルをこぎ続けます! それで間に合わなかったら…たぶん無理ですね(笑)。

茂木:メディアとかはどうしてもメダルを期待しちゃうし、そういう質問の仕方をするけれど、本人としては、あくまでも日本からアメリカ大陸までカヌーで行くような気持ちだと。

成田:そうですね。

茂木:最後に、ラジオを聴いている方へメッセージをいただけますでしょうか?

成田:僕がいつも心に置いてる言葉だったり、僕の一番好きな言葉があるんですけど、
「目の前の一歩に全力で」この言葉はいつも練習の時に心に置いているし、人生のテーマでもあります。
これを共有して、皆さんの人生にちょっとでも役に立つといいなと思います!

茂木:ありがとうございます!







今夜、ご紹介してきました、平昌冬季パラリンピック、
スノーボード男子、バンクドスラローム下肢障害で、金メダルを獲得した、
成田緑夢さんのサイン色紙を3名さまにプレゼントいたします。

ご希望の方は、必要事項を明記の上、メッセージフォームより、ご応募ください。

尚、当選者の発表は、商品の発送をもってかえさせていただきます。
たくさんのご応募、お待ちしております。



成田 緑夢 (@gurimunarita) | Twitter