Dream Heart(ドリームハート)

土曜22:00-22:30 TOKYO FM/全国38局でON AIR 各局放送時間

REPORT 最新のオンエアレポート

Dream HEART vol.335 特別編

2019年08月31日

「Dream Heart」は日本、そして世界で、挑戦をテーマにチャレンジしている人々を毎週ゲストに迎え、その挑戦に迫っていきますが、今週はスペシャルバージョン!

みなさんからお送りいただいたメッセージを、番組パーソナリティの茂木健一郎が、脳科学者として答えていきます!


null



──「脱抑制」と「デタラメ話」


茂木:まずは、鹿児島県 ラジオネーム <風船>さんからのメッセージです。

茂木さん、こんにちは。
私は昔から何を話せばいいのかわからないという悩みを抱えています。話したいのに言葉が浮かばなくて、それが原因で小中高と孤立気味でした。
しかも、話すことが浮かばないだけでなく一つの話題に関しても極端に情報量が少ないため、話が続かないのです。
例えば、「私、まだスマホじゃないんです」と言ったら、それ以上話す内容がないのです。話し上手な方は何を話そうか考えなくても無意識に言葉が出てくるのだそうで、本当にうらやましいです。生まれつきの性格なのかもしれませんが、もう少し話せるようになって人と会話を楽しめるようになりたいです。
どんなことでもいいのでアドバイス頂けたらありがたいです。


茂木:ということで、ラジオネーム風船さんありがとうございます!
私、鹿児島県は日本で一番好きな県の一つなんですよね。桜島もいいですし、指宿の温泉もいいですしね。開聞岳や、島津藩の磯庭園という海沿いの庭もすごく素敵で、本当に素晴らしいとこにお住まいですけれども、会話をどうしたらいいのか。

キーワードは「脱抑制」になります。抑制を外してあげる。話すことは脳の中にある情報をところてんみたいに無理に外に出すっていうイメージでいらっしゃる方が多いんですけども、実はそうではないんです。

脳の中には無意識の中に言葉の種が沢山あるんですね。「脱抑制」ってどういう意味かというと、水道の蛇口をひねると水が自然に出てきますよね。そんな風に抑制を外してあげると、無意識の中から脳の側頭連合野というところに言葉がたくさんあるんですけど、そこからどんどん言葉が出てきちゃう。無理してるんじゃなくて自然に言葉が出てきちゃうという状態が、実は脳にとって話すということなんです。

この「脱抑制」によって話すということを一番象徴する概念が、認知科学で「コンファビュレーション」と言います。
これはデタラメを話してしまうということなんです。私、中学校とか高校に行ったときに生徒さんの代表を前に呼んで「今からデタラメな話をしてください」って言うんですよ。
現実とは違う設定で話をしてもらう。こうやって無茶ぶりしてデタラメの話「コンファビュレーション」をしてくださいって言うと、意外と生徒さん出来るんですよ。

人間の脳には、もともとそういう能力があるんです。ですから、風船さんが「私、まだスマホじゃないんです」って言って自分の言いたいことは終わっちゃったような気がしちゃうんだと思うんですけど、
なぜまだスマホじゃないのか。ガラケーを使ってるのか。とかいうことについて水道の蛇口をひねったら水が出てくるように自然に話すことはできるんです。
しかもかなり楽にできるんですよ。なのでこれから一日一回、自分の思いや考えてることをストップウォッチか何かで1分間計って、毎回テーマを決めてコンファビュレーションをしてみる練習をしてみたらいかがでしょうか?

実は今、人工知能が発達してきているので、人間の能力の中でお話をする能力っていうのが注目されてます。特に雑談。
特にテーマを決めないでいろんなことを神羅万象話しあう、雑談力が人間の脳の最高の能力で、人工知能にはなかなかこれができないと言われてるんですね。
ぜひ雑談力を高めていただきたいということで、私の本なんですけど、徳間書店から出ています『最高の雑談力: 結果を出している人の脳の使い方』こちらをご参考にしていただけたらなと思ってお送りいたします!

風船さんもぜひ、雑談マエストロ目指して頑張って下さい!


null


茂木:続きまして、埼玉県にお住まいのラジオネーム<ひーちゃん>さんから頂きました。

茂木さんこんばんは。茂木さんが質問疑問に答えてくれるということで、初めてメールします。
昔から私は人と自分を比べてしまいます。比べないで自分は自分と思っていても、やはり隣の芝生は青く見えるのです。
特に30歳という年齢的な事なのか、ここ数年友達が企業したり大きなプロジェクトのリーダーをやっていたり、海外に移住したり、また結婚し幸せな家庭を築いていたり……。挙げればキリがありません。もちろん彼女や彼らは様々な努力や苦労があってのことだろうと思うのですが、嬉しい知らせを受けるたびに自分の中のモヤモヤが大きくなるばかりです。
茂木さんは日々素晴らしい活躍をしていますが、こういう気持ちを持ったことはありますか?
また、人と自分を比べない考え方のヒントをもらえたら嬉しいです。


茂木:ひーちゃんさん、ありがとうございます!これ、本当に大切な質問ですよね。
この質問の背後にある考え方として、幸せの条件というか、点数のようなものがあるんじゃないかと思うんです。
例えば、女性が40歳になった時に結婚して子供がいるのと、独身なのとでは、どちらが幸せなのかと考えたときに、今、世の中変化してますけども、なんとなく結婚して子供がいる方が幸せなんじゃないかと。
じゃあ、お金がたくさんあるのと、それなりにあるのではお金がたくさんあるほうが幸せなんじゃないかとか。
幸せの条件みたいなものをみんな考えちゃうんですね。我々科学者は、こういうことをビッグデータ集めて徹底的に調査するんです。その結果、何が分かったかというと幸せの絶対的な条件は何もないということが科学的にわかってるんです!

ですから、40歳の女性が結婚して子供がいらしても、独身でいらしても、幸せ度は全く変わらない。
宝くじに当たった方が当たる前と当たった後で幸せが変わるかというと、幸せ度は全く変わらないということが科学的な研究でわかっています。
むしろ、他人が起業したり、海外に行ったり、結婚したりというときに、「同じようなことが自分にも訪れないと幸せになれないんじゃないか?」と思って焦ってしまうことが、結果として幸せから遠ざかってしまうことに繋がるという風に考えられてるんですね。

ひーちゃんさん。僕思うんですけど、自分の友達が幸せになるのと、不幸になるのだと絶対に自分の友達が幸せになった方が自分にも幸せのお裾分けくるような気がしませんか?
自分のお友達が成功したときは、ちょっと妬んだりするような気持ちが出るというんですけど、考えてみると自分の友達が成功するのと失敗するのでは、成功する方がこちらにも新しい情報を教えていただいたりとか、新しい友人を紹介してもらったりとか。
こちらにも良いことがある可能性が高いじゃないですか。お友達がどんどん幸せになるっていうのは良いことなんじゃないかなって思うんですけどもね。
そんなひーちゃんさんには、PHP新書から出ています『幸福になる「脳の使い方」』 をサイン入りでプレゼントさせていただきます!

null



茂木:続きまして、三重県 ラジオネーム<もももも>さんです。

2歳と0歳の育児の中、この番組を聴いて気分転換させて頂いています。
茂木さんに相談なのですが、短気な夫との付き合い方についてです。夫は自他共に認める短気で会社の上司など目上の人からも短気だと認知されているほどです。
夫は、一瞬で頭に血が上るのですが、その後引きずることはありません。しかし私に落ち度が全くない時でもイライラをぶつけられ、ストレスです。私は理不尽さへの憤りや、言葉そのものに傷ついてしまい、引きずってしまいます。イライラをぶつけられて動じないコツがあれば教えてください。


茂木:ももももさん、ご苦労されてますね。
脳科学的に言うと、個性というのは欠点と長所からできていて。ほとんど表裏一体のことが多いんです。ですから、旦那さんは短気だということなんですけど、短気という欠点の近くに長所があるんだと思うんですよね。
例えば、決断が早いだとか、実行力があるだとか。一瞬で頭に血が上るけど、そのあと引きずることはない。切り替えが早いっていう長所もあるのかなと思うんですけど、個性としては短所と長所は表裏一体で、なかなか切り離せないという事を受け入れられると少しは気が休まると思うんです。

とは言いながら、理不尽にいろんなことを言われたりしたら傷つきますよね。そこでオススメしたいのが「マインドフルネス」というテクニックなんです。
「マインドフルネス」というのは、元々は瞑想の中で自分が感じてることをそのまま受け止めるという考え方で。
良い悪いの価値判断をしないで、自分の感じてることをそのまま受け止めて、そしてそれを相手に伝えるということなんです。

旦那さんが頭に血が上って何か言ってしまわれたとします。そのときに、その行為が正しいのか正しくないのか、良いのか悪いのかということを置いておいて。ももももさんがそのときにどう感じているのか。
やっぱり理不尽だなぁと感じたり、悲しいなぁって感じたり、きついなぁって感じたり。あるいは、旦那さんは職場でも同じようなことしてないかなって心配になる気持ちもあると思うんですよ。
マインドフルネスの考え方は、自分が感じてるありのままのことを、そのまま旦那さんにお伝えすると。決して相手を非難してるわけじゃないんですね。こうしてくれと言ってるわけでもないんです。
ただ、私はあなたがそういうことを言って傷ついている。辛い。いきなり怒られるからびっくりしちゃうとか。善悪とか正しい正しくないということを置いておいて、そのまま自分の感情を伝える。このことによって旦那さんも気づかれてくると思うんですね。
人間というのは不思議なもので、「あなたが間違ってます」「あなたがひどいです」って非難されちゃうと、逆に自分を守ろうとしちゃってなかなか言葉を聞いてくれないんですけど、このマインドフルネスで、ももももさんが感じてらっしゃる事を旦那さんにありのままにお伝えすると、旦那さんが考え始めると思うんですよ。結果として、長い目で見るとおそらく変わって行かれると思いますよ。

マインドフルネスというのは、自分自身と調和して、他人とうまくコミュニケーションする上でとても大切なテクニックになっています。
ももももさんには私の本、世界文化社から出ている『脳を鍛える茂木式マインドフルネス』サイン入りでプレゼントしたいと思います!
ぜひ、参考にしてみてください。


茂木健一郎
(@kenichiromogi) · Twitter



●最高の雑談力: 結果を出している人の脳の使い方(徳間書店)


(Amazon)





●幸福になる「脳の使い方」 (PHP新書)


(Amazon)





●脳を鍛える茂木式マインドフルネス (世界文化社)


(Amazon)






来週はハンドキャリー、プロバックパッカーの片岡恭子さんをゲストにお迎えします。
  • mixiでシェアする