Dream Heart(ドリームハート)

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REPORT 最新のオンエアレポート

Dream HEART vol.348 スーザン・ネイピアさん 「ミヤザキワールド 宮崎駿の闇と光」

2019年11月30日

今週ゲストにお迎えしたのは、アメリカ・タフツ大学で
日本アニメの研究をされていらっしゃる、スーザン・ネイピアさんです。

1955年生まれ。
1984年に、ハーバード大学にて博士号を取得され、その後、テキサス大学助教授、プリンストン大学助教授、
テキサス大学三菱日本学科教授をへて、現在、アメリカ・タフツ大学の、修辞学・日本研究コースの教授をされていらっしゃいます。

日本文学、ファンタジーとアニメ、また、映画・アート・文学作品における文化ファンタジー、SFを専門とされ、
数多くの記事や論文を執筆されていらっしゃいます。

ご著書『現代日本のアニメ「AKIRA」から「千と千尋の神隠し」まで』で、第27回「日本児童 文学学会特別賞」を受賞。
このほかに、計3冊のご著書が、日本アニメを題材に書かれており、「アニメ・クィーン」とも呼ばれていらっしゃいます。


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──アウトサイダース

茂木:スーザンさん、今回宮崎駿さんの素晴らしい作品、そして人物に光を当てた「ミヤザキワールド 宮崎駿の闇と光」という本を出されたんですけども。
宮崎作品の女性のキャラクターは非常に興味深いと、日本では「アナと雪の女王」が大変人気になったんですけど、これは王子様に頼らない、新しいプリンセス像を描いたということで今の少女達に人気なんですけど。
宮崎さんの作品というのは、その前から自立する女性を描いてきたということでしょうか?

スーザン・ネイピア:はい、そう思います。ディズニーが、今になって「アナと雪の女王」という映画を作ったということは、おそらく宮崎監督の作品に影響を受けたのではないかと思われています。
私もタフツで宮崎監督に関するゼミを行っていますが、今になっても、ハリウッド映画では女性があまり興味深い形で描かれていないということなんですね。
80年代に「ナウシカ」かという作品が出て、私は学生達に言います、40年前に遡って“これが草分け的な作品だったんだ”ということを説明します。女性のキャラクターで、恋愛だとか男の子に関することにしか興味ないというような女性ではなくて、冒険であったり、魔女の宅急便では宅急便をする女性のキャラクターを描いて、とても珍しい女性のロールモデルを40年前に描いたということですね。

茂木:スーザンさんは宮崎ワールドの中で、なぜ日本がこのような優れたアニメの作品を生み出すようになったのか、文化的、歴史的な背景について書かれています。我々に、“なぜ日本がこういうアニメを作るようになったのか”という、お考えをお聞かせいただけますか?

スーザン・ネイピア:私が思うのは、日本という社会は“空気を読まないといけない”という感覚がありますね。“グループの一員でないといけない”という感覚があります。
グループの外にいる人、例えば宮崎監督だったり、他の監督さん、作者、芸術家、例えば村上春樹さんや、村上隆さん。
そのようなアウトサイダーという方々は、とてもクリエイティブにならないといけないのだと思います。こういった社会の中で自分の世界を作るためには、とてもクリエイティビティが必要だと思います。
とても多くの素晴らしい作者さんや、芸術家がいますが、彼らは“みんなと一緒じゃないといけない”という感覚に抵抗していますから。
通常のものから離れようとしているという部分は、エキサイティングだと思います。

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茂木:スーザンさんご自身も、そういう意味では反逆者だったと聞いています。

スーザン・ネイピア:多分そうだと思います(笑)。
私の両親は2人とも教授です。ちょっと風変わりな…とも言えると思いますが、母親は10代、20代の頃にヨーロッパで過ごしたり、旅行をしたりしていました。
1930年代に、偶然スペインの内戦に巻き込まれたりしました。父親はマサチューセッツ出身ですが、西ドイツに住んでいたこともあります。
両親とも、私がやりたいことに対して、とてもサポートしてくれました。17歳の時に1人で日本に行ったんですね、世田谷区にアパートを借りて勉強していたんですけど。
その後も1人で世界を見たりすることもありました。
私も、私の両親も、そのことに対して特に何か問題を感じることはなかったんですけど、他の皆さんが“なんでそんなことを、子供にやらせるのか”と、思っていたようです。
私としては冒険が好きですし、旅行も好きですし、通常と違うことをすることがとても好きです。
私がとりあげる人物に関しても、大江健三郎さんであり、宮崎駿さんであり、とてもパッションがあり冒険好き。通常のものから反逆をしようとする方々が多いと思います。

茂木:スーザンさんご自身もコスプレをされることがある、という事なんですけど、アメリカにおける、アニメとかマンガのファンダムって、今はどうなっているんですか?

スーザン・ネイピア:漫画とアニメファンダムは、アメリカでは力強く存在しています。
2年前、ダラスの大規模なアニメコンベンションに行きました。約2万人規模のコンベンションだったのですが、基本的にアニメファンは良い方が多いですね。
とても良い雰囲気ですし、クリエイティブな方が多いです。コスチューム選びはとてもクリエイティブですね。いろんなコスプレをしている方々を見るのがとても楽しいです。
いろいろなアニメから、いろんな衣装を選べるわけですし。とても若いアメリカ人が他の国の文化について、こんなに興味を持っているということに対して良いことだと思います。例えば日本語を学んでいたり、ポッキーを食べていたり、日本に行こうと思ってお金を貯めていたり、色々なやり方はあると思うんですけど。
そういった動きはとても良いことだと思います。

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■プレゼントのお知らせ

今夜のゲスト、スーザン・ネイピアさんの著書『ミヤザキワールド 宮崎駿の闇と光』に、
スーザン・ネイピアさんの直筆サインを入れて、3名の方にプレゼントいたします!

ご希望の方は、必要事項を明記の上、
メッセージフォームより、ご応募ください。

尚、当選者の発表は、
商品の発送をもってかえさせていただきます。
たくさんのご応募、お待ちしております。


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●ミヤザキワールド‐宮崎駿の闇と光‐ / スーザン ネイピア

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早川書房