Dream Heart(ドリームハート)

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REPORT 最新のオンエアレポート

Dream HEART vol.361 山崎聡一郎さん・著書「こども六法」

2020年02月29日

今週ゲストにお迎えしたのは、著書「こども六法」が話題となっています、山崎聡一郎さんです。

山崎さんは、1993年生まれ。
慶應義塾大学 総合政策学部を卒業後、一橋大学大学院 社会学研究科 修士課程を修了しました。

2013年、慶応大学2年生の時より、「法教育といじめ問題解決」をテーマに、研究活動を開始。
その後、オックスフォード大学に短期留学し、政治教育への演劇的手法の導入方法を学んで単位を取得。

現在は、教育研究者として、いじめ問題に関する研究、情報発信を行いながら、劇団四季「ノートルダムの鐘」に出演するなど
ミュージカル俳優としても活動の幅を広げています。


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──心の支えになる本


茂木:「こども六法」本当に素晴らしい本だと思いました。
法律の文章を子供でも分かるように、日本語に直すのって大変だったんじゃないですか?

山崎:そうですね。分かりやすい言葉に直すというのは、ただただ「読んで難しい言葉が出てきた、じゃあ簡単にしよう」で、出来たら簡単なんですけれど
法律で使われている言葉は、難しい言葉ではあるんですけど一番洗練された言葉なんです。

茂木:なるほど!

山崎:なので、それ以上でも、それ以下でも無いという言葉がたくさん出てくるんです。
それをあえて簡単にすると、必要なニュアンスが失われてしまったり、そもそも意味が変わってしまったり、という事がどうしても起きてしまうんです。
それを、“ここまでだったら正しいって言えるかな?”という、ギリギリのところを維持しながら、“いや、この難しさだったら読めないから子供向けだったらここまで簡単にしないと”というギリギリ、それぞれの法律の専門家の方に意見を聞きながら、丁寧に丁寧に訳していきました。

茂木:この本を作る過程で、大変苦労されたという事は伝わってくるんですよ。
例えば、刑事訴訟法のところで「現行犯逮捕は誰でもできるよ」という項目があるんですけど、なんとなく大人も分かってるんだけど
どういう時にできるのかと言うと「体や服に明らかな犯罪の跡がある時」と書いてあるんですけど、“なるほどな!”と思って。
こういう条文を、正確さと分かりやすさの両立をするのは難しいところもあったんじゃないですか?

山崎:そうですね。結局は入り口に過ぎないんだ、でも間違ったことを教えられない、っていう判断基準になっていますね。

茂木:今回、法律の専門家の方々が監修してくださったということで、交渉もなかなか苦労されたそうですね。

山崎:そうですね、巻末の方に名前は載せさせていただいてますけれども。
たくさんの方に協力いただいた一方で、もっとたくさんの方に監修を辞退されてしまった本でもあります。

茂木:慶応大学の法学部の教授の方、東京高等検察庁の検事をされていた方とか、弁護士の方、参議院議員の方、いろいろな方に監修して頂いて。
でも、大変だし、正確さとか色々問題もあるかもしれないから、辞退されちゃった方も?

山崎:やっぱり荷が重い、という形で辞退される方が多かったんですけれども。最終的にお受けいただいた方は「難しい」ということを理解された上で、でも、この本が目指している事とか、実現したい事を理解していただいて、それでも正確さというところには妥協なく丁寧に、丁寧に考えていただいた方々ですね。

茂木:この本を、これだけ苦労して作ろうとされた動機はご自身の人生にあるんですよね?

山崎:そうですね。自分は小学校の5年生から2年間いじめの被害にあっていたんですけれども。
その時に自分の人権みたいなものが侵害されているという意識は小学校6年生の時に日本国憲法の授業でやっているので、思ってはいたんです。
でも、“どうして権利は侵害されているのに誰も守ってくれないのか”というモヤモヤとした気持ちがずっとあって。
それは中学校に進学した時に、偶然図書館で「六法全書」を読んだ時に“あーそうか!”と。

茂木:偶然「六法全書」を読まれたんですか!?

山崎:そうなんです(笑)。

茂木:いじめられてる子って、大人達が助けてくれないってことがあるんだけど、実はそれは「六法全書」の中には答えがあったってことですか?

山崎:そうですね。なので、読んだ時には“知っておきたかったな”っていう後悔が大きかったんです。

茂木:いじめって何人かでやることもあるわけですよね?
その事について刑法の言葉ですと「共同正犯」という、難しい言葉になっちゃうんです。しかし、「2人で犯罪をしても、責任は半分にはならないよ」と、法律ではこうなってると?

山崎:そうなんです。

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茂木:意外とね、いじめてる側って5人でいじめたら“責任は5分の1なのかな”って思っちゃうんですけど、これも一人でやってるのと同じ責任があるということなんですね。

山崎:そうです。なので“みんながやってるから、まぁ自分も”っていう軽い気持ちだと思いますけども、実はその人その人、ひとりひとりがやった事というのは同じように裁かれるということになるんです。

茂木:例えば、「14歳になるまでは犯罪にならないの」と、これは刑罰の対象にはならないと?

山崎:そうですね。

茂木:こういう事もちゃんと書かれていますし。これ、意外と大人でも知らないと思いますけど「法律を知らないことは言い訳にはできないよ」と。

山崎:「法律を知らなかったから、犯罪をしようと思ったわけじゃないです」っていう言い訳は、実は通用しないということは刑法の中には書いてあるんですね。

茂木:「38条 故意」というところで、「法律を知らなかったからといって罪を犯そうとする意識、意思がなかったと主張することはできません」と
こういうことを子供時代に知ってたら、特にいじめられてる立場からすると随分心の支えになるでしょうね。

山崎:いじめられている側で、大人もやっぱり言ってしまいがちなんですけれども、「いじめられてる側にも原因がある」というのは、それはすごく自分を追い詰めていくことになりますし。
「自分がされているのは、自分が悪いんだから仕方ないんだ。死のう」っていう風に思ってしまったりとか、そういうのに助けを求められれば一番いいですけど、求められなくても心の支えになる本になってくれたらいいなと、そういう風に思っています。

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●こども六法 / 山崎聡一郎 (著)

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山崎聡一郎 オフィシャルサイト


山崎聡一郎(やまそー) (@S_
Yamasaki1026) · Twitter



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