2025年04月26日
今夜ゲストにお迎えしたのは、宇宙飛行士の野口聡一さんです。
野口聡一さんは、1965年生まれ。
東京大学大学院を修了後、IHI(旧・石川島播磨重工業)に入社。
1996年からJAXAの前身、NASDAの宇宙飛行士の候補者に選抜されました。
その後、3回の宇宙飛行に成功し、15年間で船外活動は4回、世界で初めて、滑走路、地面着陸、水面着陸という、3通りの方法で帰還したとして、ギネス記録に認定されています。
2021年、野口さんが、ISS国際宇宙ステーションで、ショパンの『別れの曲』を生演奏した動画、「宇宙からのショパン生演奏」は、YouTubeクリエイターアワードを受賞され、話題を集めました。
そして、2022年6月に、JAXAを退職。
現在は、合同会社・未来圏の代表、国際社会経済研究所の理事、東京大学特任教授などを通し、講演活動や大学での教育、研究活動を精力的に行っていらっしゃいます。

──加速する宇宙関連ビジネスに置いて行かれないように
茂木:野口さんは宇宙に行かれて、環境問題や平和の問題などについても、やっぱり見方が変わりましたか。
野口:そうですね。私も理系ですから色んなことを技術とか数学とかそういう面で見がちなんですけれども、地球の美しさ、輝き、これはもう格別です。我々人間はあくまで、地球のその素晴らしい環境があるから生きていける。酸素もあるし、温度も保たれているし、何と言ってもお水がいっぱいある、と。改めて大事にしたいなと思いましたね。
そういう意味では、圧倒的なこの自然の美しさ、力みたいなものを見た時に、単純に人間が知っている科学技術で全てが解決すると思ったら間違いだったんだ、と感じました。
人というのは、自然の持つ力とか能力を何とかして再現したいと思って科学技術を回しているわけですけども、まずは単純に、その美しさに関して感服する心。それは「アート」ですよね。そのアートで感じたものを現実にしていくのはデザインの世界だと思うんですけど、そういうルートもあるんだな…要は、科学技術だけじゃない、と。
自然の素晴らしさを理解するには、アートとデザイン、そういうルートもしっかり養っていかないと駄目かな、と思いましたね。
茂木:最近、国際宇宙ステーションに対して少々気になるニュースが出てきていますよね。
野口:そうですね。この業界と言うか宇宙に関しては、常にその時の政治・政権に左右されるところがあるんですけれども、今、国際宇宙ステーションに関してもどこまでやるのか、ということで、議論は始まっていますね。

茂木:そして、これからの宇宙開発という意味においては、例えば「火星に行く」とか、「月面に基地を作る」とか、「また月に行くんだ」というようなことが色々あるんですけど、野口さんは今、宇宙開発の現状、そして未来を、どのようにご覧になっていますか?
野口:まず大きな流れとしては、これまで国が国の税金でやっていた事業というものを、徐々に民間に移してきている、と。スペースXがいい例ですけど、民間企業が持っているイノベーションとか新しい活力で、結構色んなことができる時代になっているんですよね。ですから、それを生かしていくというのは、正しい方向だと思います。
そして、この次にどこに行くのか。「宇宙ステーションの次を誰が作るのか」とか、「月に行くのか」、「火星に行くのか」。これは時の政権の思惑もあって、色々と変わっていくと思うんですけど、我々にとって大事なことは、宇宙飛行士としてはどういう状況になっても、常に命じられた任務を果たせるように力を蓄えていくことですし、先ほど言った民間企業の色んな動きが非常に激しいので、そういうことをしっかり追いかけて、「今の時点で一番信頼がおける、安全な乗り物は何か」ということを見極めていく、と。その2つが大事かなと思いますね。
茂木:野口さんは今、東京大学での研究活動、そして世界経済フォーラムでのシニアフェローとしてのお仕事をされていますよね。そういう色んな立場から、宇宙関連ビジネスについてもアドバイスされたりしていると思うんですけれども、これからの宇宙関連ビジネスはどうなりそうですか?
野口:よく「2040年に140兆円」という数字が使われているんですが、これが実は7年ぐらい前の数字で、今は、去年ちょうど世界経済フォーラムが出した数字では「2035年で280兆円」と。すごいスピードなんですよ。
これは何故かと言うと、インドとか中東の国の宇宙ビジネスの伸びがすごく激しいからなんです。ですから我々も、7年前、8年前の感覚でいるとあっという間に世界に置いていかれてしまうので、どんどん頭の中をアップデートしていかないといけないんです。
茂木:そうですか…。日本はどうすればいいでしょうか?

野口:日本は宇宙の科学分野で、「はやぶさ」、「はやぶさ2」、 あとは、最近月面に着陸しました「SLIM」というのがありましたね。そういう意味では、こういう小さな科学衛星がすごく強いんですよ。世界トップレベルだと思います。
ですから、そこを強みとして残しつつ、世界の潮流がこの先、月に行くのか、火星に行くのか、あるいは新しい宇宙ステーションを作るのか、そういったところを見極めて、日本の強みを売り込んでいく、と。
日本のこのクラフトマンシップ、物作りの力は、世界からすごく評価されていますから、そこを大事にしていきたいですね。
──野口聡一さんの『夢・挑戦』
茂木:野口さん、この番組は『夢や挑戦』がテーマなんです。野口さんはもう夢も挑戦も全て成し遂げている気がするんですが(笑)。
ただ、今回のご著書『宇宙飛行士、野口聡一の着陸哲学に学ぶ 50歳からはじめる定年前退職』のテーマは、「人生、何回でも違う新しいステージに行ける」ということだと思うんですけど、野口さんのこれからの『夢・挑戦』は何になりますか?
野口:まさしく、その『50歳から始める定年前退職』というのは、50歳の後にまた新しい人生をやろう、と。だからセカンドチャンスがある、ということです。そういう意味では、私自身は、例えば、JAXAを辞めたから宇宙に行けないと思うんじゃなくて、また宇宙に行ってやるんだ、と…。
茂木:ちょっと待ってください(笑)。また行くんですか!
野口:また行ってやるぞ、と思っています。
僕の夢はですね、今度は月に行って、好きに地面に穴を掘って、そこにお水を溜めて、月面露天風呂を作る。そこから地球を見てやるぞ、と。
茂木:びっくりしました。また行くんですね。
野口:また行きたいので。何度行ってもいいじゃないですか。50歳からでも夢を持っていいし、挑戦してもいいし。
茂木:しかも、月面露天風呂(笑)。
野口:はい、これが夢でございます。
茂木:びっくりしたなぁ…(笑)。是非、定期的にまたこの番組で野口さんのお話を聞きたいです。元気になりますね。
野口さんが今回お出しになりました、現在、主婦の友社より発売中の『宇宙飛行士、野口聡一聡一の着陸哲学に学ぶ 50歳からはじめる定年前退職』。これからこの本をお読みになる方もいらっしゃると思うので、改めてメッセージを頂けますでしょうか?
野口:はい。50歳と言わず、30代、40代を含めて、組織の中で「収入」「アイデンティティ」「モチベーション」の低下に悩んでいる皆さん。自分自身の人生の船長になりましょう! 人生を諦めない。戦略的に生きていく。自分自身で自分の人生をオーケストラする。そういう方々に、この本を読んで頂きたいと思います。


■プレゼントのお知らせ
番組でご紹介しました、野口聡一さんのご著書「宇宙飛行士・野口聡一の着陸哲学に学ぶ 50歳からはじめる定年前退職」に、野口さんの直筆サインを入れて、3名の方にプレゼントいたします。
ご希望の方は、お名前やご住所、電話番号など、必要事項を明記の上、メッセージフォームより、ご応募ください。
私、茂木に聞きたい事や相談したい事など、メッセージを添えていただけると嬉しいです。
尚、当選者の発表は、商品の発送をもってかえさせていただきます。
たくさんのご応募、お待ちしております。
●野口聡一 (@Astro_Soichi)さん 公式 X(旧Twitter)
●野口聡一 (@astro_soichi)さん 公式 Instagram
●宇宙飛行士・野口聡一の着陸哲学に学ぶ 50歳からはじめる定年前退職 / 野口聡一 (著)
(Amazon)
●主婦の友社 公式サイト
野口聡一さんは、1965年生まれ。
東京大学大学院を修了後、IHI(旧・石川島播磨重工業)に入社。
1996年からJAXAの前身、NASDAの宇宙飛行士の候補者に選抜されました。
その後、3回の宇宙飛行に成功し、15年間で船外活動は4回、世界で初めて、滑走路、地面着陸、水面着陸という、3通りの方法で帰還したとして、ギネス記録に認定されています。
2021年、野口さんが、ISS国際宇宙ステーションで、ショパンの『別れの曲』を生演奏した動画、「宇宙からのショパン生演奏」は、YouTubeクリエイターアワードを受賞され、話題を集めました。
そして、2022年6月に、JAXAを退職。
現在は、合同会社・未来圏の代表、国際社会経済研究所の理事、東京大学特任教授などを通し、講演活動や大学での教育、研究活動を精力的に行っていらっしゃいます。

──加速する宇宙関連ビジネスに置いて行かれないように
茂木:野口さんは宇宙に行かれて、環境問題や平和の問題などについても、やっぱり見方が変わりましたか。
野口:そうですね。私も理系ですから色んなことを技術とか数学とかそういう面で見がちなんですけれども、地球の美しさ、輝き、これはもう格別です。我々人間はあくまで、地球のその素晴らしい環境があるから生きていける。酸素もあるし、温度も保たれているし、何と言ってもお水がいっぱいある、と。改めて大事にしたいなと思いましたね。
そういう意味では、圧倒的なこの自然の美しさ、力みたいなものを見た時に、単純に人間が知っている科学技術で全てが解決すると思ったら間違いだったんだ、と感じました。
人というのは、自然の持つ力とか能力を何とかして再現したいと思って科学技術を回しているわけですけども、まずは単純に、その美しさに関して感服する心。それは「アート」ですよね。そのアートで感じたものを現実にしていくのはデザインの世界だと思うんですけど、そういうルートもあるんだな…要は、科学技術だけじゃない、と。
自然の素晴らしさを理解するには、アートとデザイン、そういうルートもしっかり養っていかないと駄目かな、と思いましたね。
茂木:最近、国際宇宙ステーションに対して少々気になるニュースが出てきていますよね。
野口:そうですね。この業界と言うか宇宙に関しては、常にその時の政治・政権に左右されるところがあるんですけれども、今、国際宇宙ステーションに関してもどこまでやるのか、ということで、議論は始まっていますね。

茂木:そして、これからの宇宙開発という意味においては、例えば「火星に行く」とか、「月面に基地を作る」とか、「また月に行くんだ」というようなことが色々あるんですけど、野口さんは今、宇宙開発の現状、そして未来を、どのようにご覧になっていますか?
野口:まず大きな流れとしては、これまで国が国の税金でやっていた事業というものを、徐々に民間に移してきている、と。スペースXがいい例ですけど、民間企業が持っているイノベーションとか新しい活力で、結構色んなことができる時代になっているんですよね。ですから、それを生かしていくというのは、正しい方向だと思います。
そして、この次にどこに行くのか。「宇宙ステーションの次を誰が作るのか」とか、「月に行くのか」、「火星に行くのか」。これは時の政権の思惑もあって、色々と変わっていくと思うんですけど、我々にとって大事なことは、宇宙飛行士としてはどういう状況になっても、常に命じられた任務を果たせるように力を蓄えていくことですし、先ほど言った民間企業の色んな動きが非常に激しいので、そういうことをしっかり追いかけて、「今の時点で一番信頼がおける、安全な乗り物は何か」ということを見極めていく、と。その2つが大事かなと思いますね。
茂木:野口さんは今、東京大学での研究活動、そして世界経済フォーラムでのシニアフェローとしてのお仕事をされていますよね。そういう色んな立場から、宇宙関連ビジネスについてもアドバイスされたりしていると思うんですけれども、これからの宇宙関連ビジネスはどうなりそうですか?
野口:よく「2040年に140兆円」という数字が使われているんですが、これが実は7年ぐらい前の数字で、今は、去年ちょうど世界経済フォーラムが出した数字では「2035年で280兆円」と。すごいスピードなんですよ。
これは何故かと言うと、インドとか中東の国の宇宙ビジネスの伸びがすごく激しいからなんです。ですから我々も、7年前、8年前の感覚でいるとあっという間に世界に置いていかれてしまうので、どんどん頭の中をアップデートしていかないといけないんです。
茂木:そうですか…。日本はどうすればいいでしょうか?

野口:日本は宇宙の科学分野で、「はやぶさ」、「はやぶさ2」、 あとは、最近月面に着陸しました「SLIM」というのがありましたね。そういう意味では、こういう小さな科学衛星がすごく強いんですよ。世界トップレベルだと思います。
ですから、そこを強みとして残しつつ、世界の潮流がこの先、月に行くのか、火星に行くのか、あるいは新しい宇宙ステーションを作るのか、そういったところを見極めて、日本の強みを売り込んでいく、と。
日本のこのクラフトマンシップ、物作りの力は、世界からすごく評価されていますから、そこを大事にしていきたいですね。
──野口聡一さんの『夢・挑戦』
茂木:野口さん、この番組は『夢や挑戦』がテーマなんです。野口さんはもう夢も挑戦も全て成し遂げている気がするんですが(笑)。
ただ、今回のご著書『宇宙飛行士、野口聡一の着陸哲学に学ぶ 50歳からはじめる定年前退職』のテーマは、「人生、何回でも違う新しいステージに行ける」ということだと思うんですけど、野口さんのこれからの『夢・挑戦』は何になりますか?
野口:まさしく、その『50歳から始める定年前退職』というのは、50歳の後にまた新しい人生をやろう、と。だからセカンドチャンスがある、ということです。そういう意味では、私自身は、例えば、JAXAを辞めたから宇宙に行けないと思うんじゃなくて、また宇宙に行ってやるんだ、と…。
茂木:ちょっと待ってください(笑)。また行くんですか!
野口:また行ってやるぞ、と思っています。
僕の夢はですね、今度は月に行って、好きに地面に穴を掘って、そこにお水を溜めて、月面露天風呂を作る。そこから地球を見てやるぞ、と。
茂木:びっくりしました。また行くんですね。
野口:また行きたいので。何度行ってもいいじゃないですか。50歳からでも夢を持っていいし、挑戦してもいいし。
茂木:しかも、月面露天風呂(笑)。
野口:はい、これが夢でございます。
茂木:びっくりしたなぁ…(笑)。是非、定期的にまたこの番組で野口さんのお話を聞きたいです。元気になりますね。
野口さんが今回お出しになりました、現在、主婦の友社より発売中の『宇宙飛行士、野口聡一聡一の着陸哲学に学ぶ 50歳からはじめる定年前退職』。これからこの本をお読みになる方もいらっしゃると思うので、改めてメッセージを頂けますでしょうか?
野口:はい。50歳と言わず、30代、40代を含めて、組織の中で「収入」「アイデンティティ」「モチベーション」の低下に悩んでいる皆さん。自分自身の人生の船長になりましょう! 人生を諦めない。戦略的に生きていく。自分自身で自分の人生をオーケストラする。そういう方々に、この本を読んで頂きたいと思います。


■プレゼントのお知らせ
番組でご紹介しました、野口聡一さんのご著書「宇宙飛行士・野口聡一の着陸哲学に学ぶ 50歳からはじめる定年前退職」に、野口さんの直筆サインを入れて、3名の方にプレゼントいたします。
ご希望の方は、お名前やご住所、電話番号など、必要事項を明記の上、メッセージフォームより、ご応募ください。
私、茂木に聞きたい事や相談したい事など、メッセージを添えていただけると嬉しいです。
尚、当選者の発表は、商品の発送をもってかえさせていただきます。
たくさんのご応募、お待ちしております。
●野口聡一 (@Astro_Soichi)さん 公式 X(旧Twitter)
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●宇宙飛行士・野口聡一の着陸哲学に学ぶ 50歳からはじめる定年前退職 / 野口聡一 (著)

●主婦の友社 公式サイト