木村拓哉のFlow - TOKYO FM 80.0MHz - 木村拓哉

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2019年07月28日Flow 第五十二回目「拓哉キャプテン × 糸井重里」Part4

今月は、糸井重里さんをゲストにお迎えしています!

1ヶ月にわたってお送りしてきた、糸井重里さんとのトークも今回で最終回!

今週は、リスナーさんからのメールをもとにトークしました!

岐阜県 みったさん 16歳 女性
拓哉キャプテンこんにちばん!
突然ですが、どうやら私は有難いことに、クラスの男の子から好意を寄せられているらしいんです。
しかし私はその子と初めて話してまだ2ヶ月弱しか経っていない上に、あまり得意ではありません。
好きと言いつつもわかりやすく避けてきたり、私の友達に私のプライベートな情報を聞き出そうとしたり…
男の子の恋心が分からず悩んでいます。 男の子ってそういうものなんですか?
また、近いうちに告白するという噂もよく耳にするのですが、
お断りのいい言葉が見当たりません。
相手を傷つけず、自分もスッキリできるお断りの言葉って何かありますか?
キャプテン教えてください??


糸井:また翌日も会う関係だからね、一生別れるわけじゃないからね。
こういうの木村くんもあるんじゃないの? ドラマの中であったような台詞ない?

木村:ドラマの中には、そういう台詞はないと思いますよ(笑)。相手を傷付けず、自分もさっぱりできるような、そういうシチュエーションってそもそもドラマになりませんから(笑)。

糸井:そうか〜。そしたらこれから答える木村君の答えは、木村君のオリジナルです! どうぞ!!!

木村:なんだその司会ぶり(笑)。

糸井:でも、難しいよね。

木村:難しいですね。これ、実体験から言っていいですか?
僕、告白したら、こう返されて何も言えなくなったし、傷付かなかったんですよ。
傷付かなかったんだけど、“言った本人はどういう感じだったんだろうな?”っていう思いだったんですよ。
<みった>ちゃんに伝えようと思います。

糸井:いいね。

木村:僕がその時、“好きだ”っていう気持ちを伝えて、相手に言われたのが「付き合うのには、私は足りてないと思う」って言われたんですよ。

糸井:それ、何歳?

木村:17歳くらいかな? <みった>ちゃんと同じくらいですね。

糸井:ドラマチックに役を振ったとすると、「恋愛するのに足りてないんです」っていうことを含んでいたとしたら、ものすごくかっこいい台詞だね。
つまり、男の人と付き合ったりするような、そういうところに私はまだ足りてないんですっていう風に奥に秘めていたとしたら、その子の、ある種の真面目さと可憐さがまた良いですね。

木村:今思い返すと、じ〜んとしますね。

糸井:男って、12歳でも13歳でも「俺は好きだ!」とかさ、バカだからさ(笑)。

木村:そうですね(笑)。今、冷静に考えるとその当時付き合うって、一緒に帰るだけで付き合ってるじゃないですか? あれ、なんすかね(笑)。
学校終わりで、一緒に帰るだけで付き合うって思ってたじゃないですか?

糸井:それは、その帰り道の向こう側は隣町にも繋がってるっていうのがあるから、帰るだけでも価値があるんだよ。
永遠にその村から出なかったら、帰り道っていうのは、だいぶ価値が下がるんだよ。

木村:うんうん。

糸井:そうじゃないと、みんながおずおずして「一緒に帰ろう」とさえ言わないもの。
だから、ここはもう動かせないようなバカさなんだっていうのを男は後に知るようになって。
で、その若さと、自分がこう行きたいっていうのを掛け算して、我慢をしてみたり、全然違うところに力を向けたり、すごく捻れて、複雑にして男の面白い人生ができるんだからさ。だから、良いんだよ。
木村君っていうのは、かっこいい収集家だと思うんだよ。

木村:収集家?(笑)

糸井:かっこいいコレクションをものすごく持ってる奴だと思うんだよ。
だから、永ちゃんとかって無意識でやってることを“矢沢がやっていることだったら、人はかっこいいと思うようになるんだから”っていう、信念があるんだよ。
“どれがかっこいいかな?”って考えたんじゃなくて、ナチュラルでやれてきた世代なんだよ。それこそ、昭和だと思うの。
木村君なんかだと、“それもかっこいいな”っていうのを知ってるわけで、かっこ良いをものすごく見つけて、“俺もそっちがいいな”っていうことをいっぱい足し算して、キムタクが出来てきたと思うんだよ、今っぽいんだよ。

木村:そうですか。

糸井:尚且つ「やめた」っていうのも言えるし、着脱可能なんだよ。
かっこ良いじゃないところを、“俺がやったら、ひと捻りでもう一個かっこ良くなるな”っていうことの、編集も含めて収集してきてる人だから。
“ああなりたいな”っていう憧れが「かっこいい業」を作ってると思うんだよね。
案外、木村君の謙虚な、偉そうにしないでいるのは憧れが原点だからだと思うんだよ。それをね、若い時に木村君に言ったような気もするんだよね、でも、その時にまだ分かんないよね。かっこ悪いかっこ良さとかが混じって来ないとね。

木村:そうですね。でも、今すごい分かります(笑)。
で、その断り方ですよね。

糸井:自分の人生なので、相手を傷付けたり、自分が嫌われたりしても、それは大したことじゃないっていう考え方もあるんですよね。

木村:わりと、それはSな感じですね。

糸井:長く見たら、その子と結婚してるはずないんですよね。

木村:わりと今、理想を“バコーーーーン!!!”って、粉々にしましたね(笑)。

糸井:俺は、大人の上のおじいさんの役だからさ「フラれて来い」って言えるわけだよ。
俺はたぶん、「フラれて良かったじゃないか」って言うんだよ(笑)。どんなにきつい小説読むよりさ、“なんでダメなんだよ!?”って思うじゃない?
その中に人から見たら一発でわかる弱点とか、欠点に触れざるを得ないじゃない? それはすごく大切なことだから。
<みった>さんの話を聞いているけど、男の子は負けないですよと、「私、そういう気持ちになれないの」って言われても、男の子は負けちゃダメですよ、っていう風に
ひっくり返して言ってあげるのも(笑)。

木村:相当、Sですけどね(笑)。

糸井:俺は大体平気だったよ、泣いたけど。

木村:いや、泣いているじゃないですか!(笑)

糸井:やっぱり、のちに後悔してないのよ。

木村:きっと泣くのが嫌な人が多いんじゃないですか?

糸井:それはダメだよ、泣かなきゃ!
それをどう納めるかっていう時に、自分が出来てくるじゃない。

木村:うんうん。

糸井:それこそ、恋愛の話ばっかりじゃなくて、仕事の話だってあるしさ。
“どうして俺は無力なんだろう?”とかさ、そこから始まることだらけだからさ。
涙が出たか、出ないかだけのことだからさ。
そこで上手くいかなかったおかげで、のちに、もっといい事があるかもしれない。

木村:けっこう、良い時間になってますよ(笑)。

糸井:深夜の番組みたいになってるね(笑)。

M1.You've Got A Friend / Carole king

2019年07月21日Flow 第五十一回目「拓哉キャプテン × 糸井重里」Part3

今月は、糸井重里さんをゲストにお迎えしています!

今週は、リスナーからのメールに、一緒に答えていただきました!


木村:「ほぼ日刊イトイ新聞」を始めたのは、昭和? 平成?

糸井:平成ですね、50になるっていう時に始めたの。その頃から木村くんに会わなくなったのかな。

木村:言い方変ですけど、表舞台的な…テレビだったりとか、糸井さんご本人が何かに出るという形がなくなりましたよね。

糸井:「始めますよ」って言う寸前に「いいとも!」とか、ご挨拶みたいな気分で出て大体終わりになりましたね。
そのとき、僕は多分文化人じゃなくなったんじゃないの? テレビ世界には文化人って枠があって、コメンテーターをやったり、ゲーム番組だったり…。

木村:でも、ゲームも作ったじゃないですか?

糸井:そういうのもした、やって悪かった事はないですけど、ゲームは無理ですね(笑)。

木村:はっきり(笑)。

糸井:「MOTHER2」のコマーシャル、木村くんにお願いしたんだもんね。

木村:はい、スカジャン作ってくれましたよね(笑)。
ここで、リスナーからのメッセージにお付き合いをしてもらいます。

沖縄県 ななさん 18歳 女性
キャプテンに相談したいことがあります。この春大学生になり、
急に自分を成長させたいと思い始め、海外に留学に行きたいと思い始めました。
でも、英語もしゃべれないし、初めての海外なので怖いです。
それでも人生一度きりなので後悔はしたくないと思っていますが、なかなか一歩踏み出せません。
キャプテンはこういう時どうやって自分を奮い立たせていますか?


糸井:木村くんは何て言うの? 奮い立たせる方法を語るの?

木村:いや、「それでも人生一度きりなので」っていう<なな>ちゃんが、羨ましいなって、今このメールを読んで一番最初に思いました。
何にしても覚悟ですよね、国内、海外問わず、覚悟の持ち方次第というか、考え方次第。「自分を成長させたい」と、18歳が思っているんですよ。

糸井:海外に行けるお金はどうするんだろうね?

木村:リアル〜(笑)。

糸井:親だからさ(笑)。

木村:その頭も必要ですよね。

糸井:バイトするのか、親に出してもらうのか、借りるとか、方法は分からないけど、それをものにできるっていうのはすごく幸せなことですよね。

木村:前提としてね。

糸井:お金がなくて決意した人がいたら、もっと大変ですよね。助走に時間がかかりますよね。
助走を端折れちゃう分だけ、決意が鈍るんじゃないのかね。

木村:なるほど、その代わり負荷がかかると思うんですよ、急に飛び出さないといけないから。
だからGのかかり方はハンパないと思います。

糸井:いっぱい宝物を取って来ようって鬼ヶ島に行くのって大変じゃない?

木村:鬼ヶ島って、宝物目当てだったんですか? 鬼退治なんじゃないですか?(笑)

糸井:鬼退治だね。だから、宝物も欲しいって思ったら、もっと戦いも負ける可能性もあったんじゃないかなと思って(笑)。
つまり欲を出すと、さっき「後悔をしたくない」って言ったけど、俺は後悔したことないのよ。
たぶん、もともとそんなにしたい事じゃなかったからだと思うんだよ。

木村:うんうん。

糸井:“バトンが回ってきたから受け止めて走った”みたいな感じだったので、目標とか、獲物の大きさみたいなのを考えたことないので後悔ないんですよ。
この子も小さい決意っていうか、小さい目標をちゃんと果たそうと思ったら、すごく良いんじゃないかな。
例えば、行った先で必ず友達一人は作ろうとかさ、そんな小さいのがけっこう後で広がるじゃない?

木村:友達一人は大きいと思いますよ。

糸井:やればできることじゃない? 自分が何かを得ようじゃなくて、誰かのためにちょっとなれたらいいな、ぐらいに。
そういうことを考えると、総合的に友達一人分ぐらいのことを望んで行ったら必ず良い事だったと思うんじゃないかな。
そのぐらいの年齢だったら、間違っても大したことないしね。

木村:行けるんだったら、出た方がいいんじゃないかと?

糸井:行くことを反対するつもりは全然ないので、行ってみて風に当たって分かる事みたいなのは、今考えてることよりもずっと大きいから。

木村:もっとリアルだと思いますね。

糸井:“行けるんだったら、行けば”っていうことかな。

M1. The Times They Are A-Changin’ / Bob Dylan

2019年07月14日Flow 第五十回目「拓哉キャプテン × 糸井重里」Part2

今月は、糸井重里さんをゲストにお迎えしています!

今週は、コピーライターというお仕事の道に進んだきっかけについて伺いました。


木村:「糸井重里さんはどんな仕事をしているんですか?」と、リスナーのみんなに伝えると、やっぱりコピーライターじゃないですか?

糸井:もうコピーライターの仕事はしてない、人から頼まれた仕事はしてないよ。

木村:そうなんですか?

糸井:「ほぼ日刊イトイ新聞」のためにやることだけで、コピーライター的な仕事をしても自分のところのもの。
「久しぶりに一本どうですか?」みたいに言われても、何年かに一本、知り合いから「ちょっと頼む!」みたいな事があったときに「だったらタダでやるよ」って言うと「それは困るんだ」みたいな話で、映画のコピーとかは…。

木村:それはスタジオジブリですか?

糸井:やってましたね。

木村:いつも、どういう選択をするんですか?

糸井:言葉を選択しているんじゃなくて、何を感じるかがまず先で。
その次は、感じたことから何かを思うわけだよね? “思う”になって、“それでいいのかな?”っていうので、今度は自分の引き出しの中の様々な考えとか、言葉をぶつけてみて“考える”になるわけですよ。
向こう側から見たときに、どう見えるかなっていうのが最終的な形で、俺は気持ちとしてはポスターにその言葉を書いて貼ってみるわけ、それは観念だけどね。
そうすると、頭の中にいる通行人がそれを見て「いいね」と言ったり、無視したり、しばらく頭の中に張り紙を置いておいて“受けたみたいだな”となったら、答えになるわけ。
だから、仕事でやるっていうのはそういう順序を踏んでいるから。

木村:うんうん。

糸井:例えば、「木村拓哉でコピー書いてください」というのも、お金をもらって仕事になった時は仲人みたいな気持ちになるんですよ。
“相手の人によく伝わりますように”とか、決済する人が「いいですね」と言ってくれるかどうかとか、いろんな要素が加わるんですよ。自分としては、それがつまんなくなってきたんですよ。
全部ストレートのパンチを出さなくても、ジャブ3個の方が面白いんだよ、倒れる時があるので。そこで自由にやってる分には「木村君のことでいいこと思いついた」となったら、ただ書けばいいわけだよね。その方が僕は本当に思ったことだから。

木村:はい。

糸井:でも、「木村拓哉のこのポスターで一つ!」みたいになったら、やっぱりプロの仕事になっちゃうから。
「そういうの、もうやめたから」みたいな(笑)。

木村:すごくないですか? 自分の仕事を自分の中で、「もう、そういうのやってないんで」っていう、今現在(笑)。
今年で71歳の先輩なんですけど、そんな先輩が、以前西武百貨店のお仕事としてやられていた言葉で「不思議、大好き。」とか、僕もすごい覚えているんですけど。
井上陽水さんが“バン!”と現れて、「くうねるあそぶ」っていう、“なんだこれ?”って思うんだけど、そう思った分、自分の中に言葉が残ってるんですよね。
そういうのすごい覚えていますね。

糸井:ありがとね。

木村:スタジオジブリさんの作品に関しては、だいたい糸井さんですよね?

糸井:そうですよね。

木村:「ハウルの動く城」も「ふたりが暮らした。」っていう。
今、現在まで続けられている「ほぼ日刊イトイ新聞」。これをやろうと思ったきっかけは何だったんですか?

糸井:やっぱり釣りが影響してますよ。木村君のおかげなんだよっていうのも、ご本人は分からないかもしれないけど。
木村くんが当時から偉かったのは、一から自分でやるんですよ。例えば、一緒に釣りに行った時に“雨降ってきました”って時に、あなたはみんなの分までカッパを買いに行ったんだよ。四の五の言ってないで、コンビニ行ったんだよ。
で、“この子は武道館を6回まわしてるけど、こういうところいいな”って思ったし。うちに遊びに来る時も、ハンバーガーいっぱい買ってきたりとかさ。その歳の普通の男の子がやることを下駄履かずに生きていたんですよ。
たぶん、今もそういうところが残っているんじゃないかと思うんだけど「俺、行ってくるよ」みたいな。
あれ見てるのと、釣りやるのが一緒のことだったんだけど。トーナメントとか出ると、田舎の大会でも朝早くから受け付け並んで、ゼッケンもらって、1分でも遅れたら失格ですよね。

木村:そうですね(笑)。

糸井:大会に出るようになって、ボートをダメになったら自分で直さなきゃならないし、釣り方も何も全部教わる人いないし。学生さん達と一緒に順番待って、ゼッケンもらって、それをちゃんとやったんですよ。
考えようによっては40半ばで、場所によっては先生とか呼ぶ人もいるし、「ハイヤー迎えに行かせます」みたいなこともあるし、生意気に生きていればそれが出来ちゃうんだけど。それがイヤだったんですよね。

木村:はい。

糸井:でも、一人で全部やるっていうのはした事がなかったので。早起きして釣りの大会に出ることとか、ただのおっさんだったり、若い人だったりする経験をちゃんとしたんですよね。
俺、120人ぐらい出るトーナメントで8位になったことあるんだよね、その時に涙出たんだよ(笑)。

木村:ハハハハ(笑)。

糸井:それ経験してから、オリンピックとかで6位とか、そういう人に対して偉そうなこと絶対言えなくなったのよ。
そういう経験をしたことと、インターネットって合ってたのよ。
インターネットと同じで、今から何かやろうと思ったら、材料もお金もなしで“ヨーイドン!”で始められるわけだよ。

木村:なるほど。

糸井:その道、面白いなと思って。先生と呼ばれもしないし、今日始めたって事においては3年前に始めた人と、3年しか開きがないんだから、何でも“よーいドン!”でやれるんだなと思って。
僕は今までの広告の世界で、それなりのベテランみたいになってるところからパシリになろうと思ったの。それで、「ほぼ日刊イトイ新聞」を始めたの。

木村:その中では、今は何をやっているんですか?

糸井:社長さん(笑)。

木村:パシリじゃないじゃないですか(笑)。

糸井:いや、パシリの心を持った社長さんにはなれますからね(笑)。
同じですよ、ゼロからですよ。
“若い子がどういうものなのか?”っていうのを、避けないで、顔突っ込んでいけるのは木村くんと付き合ったからだよ。

M1. Free / Donavon Frankenreiter

2019年07月07日Flow 第四十九回目「拓哉キャプテン × 糸井重里」Part1

今週は、糸井重里さんをゲストにお迎えしました!

木村:いつぶりですかね?

糸井:いつぶりだろうね(笑)。

木村:さっき考えていたんですけど、1年ぶり、2年ぶりとか、そういう次元じゃないんですよね。
お会いして話すっていうことが15年以上ぶりですよね。

糸井:偶然っていうのもないからね、昔だとテレビ局の廊下とか、そういうところにいたりしたけど。
僕、テレビ行かなくなったから。

木村:「ほぼ日」を始めてから、出ないですよね。

糸井:そうだね(笑)、出る理由がある時は出ますけどね。

木村:ゲストにお迎えするということで、改めてプロフィールに目を落とした時に「1948年生まれ」っていうの目が留まり
「1948年生まれということは……え、待てよ!?」っていう(笑)。

糸井:「親父と同い年ですよ!」っていうね(笑)。

木村:そういう話を表参道でさせていただいたのも、すごく覚えているんですよ。

糸井:よく会ってたよね。

木村:きっと、俺がよく行ってたんじゃないですかね(笑)。

糸井:釣りとかはしていたけどね。

木村:そうですね。僕が先輩のことを連れ出して、当時、糸井さんに「木村くん、すごい好きらしいけど何が面白いの?」って聞かれて、
「説明は難しいですね、一度来てもらっていいですか?」って言って、糸井さんを無理やり連れ出してやらせたっていうのが実際のところでしたね(笑)。

糸井:俺は喜んでやっていたんだよ、“年とったら釣りやろう”っていうのは心には決めていたから。
あのとき、僕は40半ばくらいだったと思うね。19、20歳ぐらいの男の子がすごく夢中になって釣りをしている、なんかものすごく面白そうに思えたのよ。
その前まで稽古してて、夜の2時ぐらいに仕事が終わって準備して朝出かける話とか聞いて、そんなに夢中になれるものってやっぱり羨ましいのよ。
言ってる男の子自体がめちゃくちゃおかしかったんだけど(笑)、“こいつ何なんだ?”と思っていたんだけど、俺は“今だ!”と思って釣りを始めたんだよね。

木村:軽くおさらうっていう形ではなく、けっこうどっぷりいってくれましたよね(笑)。

糸井:そうだね、僕の方がやったね(笑)。
忙しさの種類が違うし、僕が多分、ちょっと行き詰ってた時なんですよ。

木村:そうなんですか?

糸井:木村くんからどう見えたか知らないけど、僕は“このまま何するんだろう?”っていうところで、ちょっと偉そうにしてるおじいさんになっちゃうのが嫌で。
ちょうどその時に会った木村君がめちゃくちゃに負けず嫌いで、何に対しても競争しているのがよく分かったわけよ。
で、“こういう気分やってみたいな”って思うんけど、40いくつじゃできないんだけど(笑)。

木村:いやいや、そんなことないと思いますよ。

糸井:だって木村くんと歩いていた時にさ、ガラスに向かって踊りの練習してる若い男の子がいたら、木村君が立ち止まってじっと怖い顔して見てるんだよ。
「何見てるの?」って言ったら、「どのくらいやれるかと思って」って(笑)。
「お前さ、プロだろう? なんで街の兄ちゃんが練習してるのをガン飛ばしてるんだよ」って(笑)。

木村:ガン飛ばしてはいないんですよ、街でストリートダンスをしている子たちのスタイルはスタイルで、やっぱり僕から見たら凄い格好良かったんですよ。
かっこいいものに対して自分も敏感になっていたというか、自分たちがやっていることはひとつやってるんですけど。
ストリートで、振り付けの先生とか、ダンスのレッスンの先生がいるわけでもなしに、自分達だけでガラスに向かってみんなで踊ってる、彼らだけでクリエイトしているっていうのが、非常にカッコよく見えて真剣に見ちゃいましたね。

糸井:その説明もしてくれたのよ、「俺にとって、あれはやっぱり見たいものなんだ」って言って。
“こいつすげーな!”って思ったのよ、そういう心が。ありとあらゆるものを自分が取り入れたいとかさ、触れたい、見たいと思ってるから。
そういう例はいっぱいあったよ。

木村:それこそ糸井さんの家にお邪魔してる時に、糸井さんが某ビール会社のCMの企画中で、ちょうどシンキングタイムに入ってた時に「木村君だったらどうする?」っていう振りを急にされて。
「俺だったらどうすかねー、球場の売り子になりますね」みたいな話をして、その時に糸井さんに鉛筆投げられたのよ「それだよ!」とか言われて(笑)。
それで、あーでもない、こーでもないっていう、僕もそういう経験なかったですし、コマーシャルの中身を自分たちの頭の中で想像する…CMを考えるごっこ、みたいなのを糸井さんと色々させてもらって。

糸井:俺はけっこう感心してたんだよ。人前に晒されてる人の発想っていうのは並じゃないんだよ、普通に企画で入った子とかよりも、木村くんが考えるものが面白いというのは言ったはずで。のちに“2年ぐらい休めばいいのに”って、本気でいつも思っていたのは、そこを育てればいいのにと思っていたの(笑)。

木村:要所要所で糸井さんが「ちょっと休めば」って言ってくれるんですよ。
その時はバリバリくるくる回ってた時代だったので、「いま休んだら、相当色んな所に迷惑かけると思うんですけど」って言ったら、「そうなんだ、迷惑かけるのは良くないね」って言って、わりと続けたんですけど(笑)。


M1. パパの歌 / 忌野清志郎


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