木村拓哉 Flow supported by Spotify - TOKYO FM 80.0MHz - 木村拓哉

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2019年07月14日Flow 第五十回目「拓哉キャプテン × 糸井重里」Part2

今月は、糸井重里さんをゲストにお迎えしています!

今週は、コピーライターというお仕事の道に進んだきっかけについて伺いました。


木村:「糸井重里さんはどんな仕事をしているんですか?」と、リスナーのみんなに伝えると、やっぱりコピーライターじゃないですか?

糸井:もうコピーライターの仕事はしてない、人から頼まれた仕事はしてないよ。

木村:そうなんですか?

糸井:「ほぼ日刊イトイ新聞」のためにやることだけで、コピーライター的な仕事をしても自分のところのもの。
「久しぶりに一本どうですか?」みたいに言われても、何年かに一本、知り合いから「ちょっと頼む!」みたいな事があったときに「だったらタダでやるよ」って言うと「それは困るんだ」みたいな話で、映画のコピーとかは…。

木村:それはスタジオジブリですか?

糸井:やってましたね。

木村:いつも、どういう選択をするんですか?

糸井:言葉を選択しているんじゃなくて、何を感じるかがまず先で。
その次は、感じたことから何かを思うわけだよね? “思う”になって、“それでいいのかな?”っていうので、今度は自分の引き出しの中の様々な考えとか、言葉をぶつけてみて“考える”になるわけですよ。
向こう側から見たときに、どう見えるかなっていうのが最終的な形で、俺は気持ちとしてはポスターにその言葉を書いて貼ってみるわけ、それは観念だけどね。
そうすると、頭の中にいる通行人がそれを見て「いいね」と言ったり、無視したり、しばらく頭の中に張り紙を置いておいて“受けたみたいだな”となったら、答えになるわけ。
だから、仕事でやるっていうのはそういう順序を踏んでいるから。

木村:うんうん。

糸井:例えば、「木村拓哉でコピー書いてください」というのも、お金をもらって仕事になった時は仲人みたいな気持ちになるんですよ。
“相手の人によく伝わりますように”とか、決済する人が「いいですね」と言ってくれるかどうかとか、いろんな要素が加わるんですよ。自分としては、それがつまんなくなってきたんですよ。
全部ストレートのパンチを出さなくても、ジャブ3個の方が面白いんだよ、倒れる時があるので。そこで自由にやってる分には「木村君のことでいいこと思いついた」となったら、ただ書けばいいわけだよね。その方が僕は本当に思ったことだから。

木村:はい。

糸井:でも、「木村拓哉のこのポスターで一つ!」みたいになったら、やっぱりプロの仕事になっちゃうから。
「そういうの、もうやめたから」みたいな(笑)。

木村:すごくないですか? 自分の仕事を自分の中で、「もう、そういうのやってないんで」っていう、今現在(笑)。
今年で71歳の先輩なんですけど、そんな先輩が、以前西武百貨店のお仕事としてやられていた言葉で「不思議、大好き。」とか、僕もすごい覚えているんですけど。
井上陽水さんが“バン!”と現れて、「くうねるあそぶ」っていう、“なんだこれ?”って思うんだけど、そう思った分、自分の中に言葉が残ってるんですよね。
そういうのすごい覚えていますね。

糸井:ありがとね。

木村:スタジオジブリさんの作品に関しては、だいたい糸井さんですよね?

糸井:そうですよね。

木村:「ハウルの動く城」も「ふたりが暮らした。」っていう。
今、現在まで続けられている「ほぼ日刊イトイ新聞」。これをやろうと思ったきっかけは何だったんですか?

糸井:やっぱり釣りが影響してますよ。木村君のおかげなんだよっていうのも、ご本人は分からないかもしれないけど。
木村くんが当時から偉かったのは、一から自分でやるんですよ。例えば、一緒に釣りに行った時に“雨降ってきました”って時に、あなたはみんなの分までカッパを買いに行ったんだよ。四の五の言ってないで、コンビニ行ったんだよ。
で、“この子は武道館を6回まわしてるけど、こういうところいいな”って思ったし。うちに遊びに来る時も、ハンバーガーいっぱい買ってきたりとかさ。その歳の普通の男の子がやることを下駄履かずに生きていたんですよ。
たぶん、今もそういうところが残っているんじゃないかと思うんだけど「俺、行ってくるよ」みたいな。
あれ見てるのと、釣りやるのが一緒のことだったんだけど。トーナメントとか出ると、田舎の大会でも朝早くから受け付け並んで、ゼッケンもらって、1分でも遅れたら失格ですよね。

木村:そうですね(笑)。

糸井:大会に出るようになって、ボートをダメになったら自分で直さなきゃならないし、釣り方も何も全部教わる人いないし。学生さん達と一緒に順番待って、ゼッケンもらって、それをちゃんとやったんですよ。
考えようによっては40半ばで、場所によっては先生とか呼ぶ人もいるし、「ハイヤー迎えに行かせます」みたいなこともあるし、生意気に生きていればそれが出来ちゃうんだけど。それがイヤだったんですよね。

木村:はい。

糸井:でも、一人で全部やるっていうのはした事がなかったので。早起きして釣りの大会に出ることとか、ただのおっさんだったり、若い人だったりする経験をちゃんとしたんですよね。
俺、120人ぐらい出るトーナメントで8位になったことあるんだよね、その時に涙出たんだよ(笑)。

木村:ハハハハ(笑)。

糸井:それ経験してから、オリンピックとかで6位とか、そういう人に対して偉そうなこと絶対言えなくなったのよ。
そういう経験をしたことと、インターネットって合ってたのよ。
インターネットと同じで、今から何かやろうと思ったら、材料もお金もなしで“ヨーイドン!”で始められるわけだよ。

木村:なるほど。

糸井:その道、面白いなと思って。先生と呼ばれもしないし、今日始めたって事においては3年前に始めた人と、3年しか開きがないんだから、何でも“よーいドン!”でやれるんだなと思って。
僕は今までの広告の世界で、それなりのベテランみたいになってるところからパシリになろうと思ったの。それで、「ほぼ日刊イトイ新聞」を始めたの。

木村:その中では、今は何をやっているんですか?

糸井:社長さん(笑)。

木村:パシリじゃないじゃないですか(笑)。

糸井:いや、パシリの心を持った社長さんにはなれますからね(笑)。
同じですよ、ゼロからですよ。
“若い子がどういうものなのか?”っていうのを、避けないで、顔突っ込んでいけるのは木村くんと付き合ったからだよ。

M1. Free / Donavon Frankenreiter

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