木村拓哉 Flow supported by Spotify - TOKYO FM 80.0MHz - 木村拓哉

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2021年05月16日Flow 第百四十六回目「拓哉キャプテン × LiLiCo」Part2

今月5月のゲストは、映画コメンテーターのLiLiCoさん。
今回は一体どんなトークになるのか。最後までお付き合いよろしくお願いします。


木村:日本語がわからない状態で来て、日本語をどうやって覚えたの?

LiLiCo:テレビを観て覚えました。最初、お弁当屋さんで働いてたんです。お弁当屋さんでは言葉はいらないので。

木村:多少いるでしょ?

LiLiCo:「おはようございます」ぐらいは。「肉団子右上の角に入れて下さい」って言われたらあとはもうずーっと肉団子を右上の角に入れたりとか、あと高野豆腐絞ったりとか、そういうのが最初の仕事でした。

木村:じゃあ、日本語の先生はテレビ?

LiLiCo:そう!

木村:マジで?

LiLiCo:あとは葛飾のおばあちゃん。

木村:すげえ。

LiLiCo:みんなが笑ってる時に「あっ、これが何か面白いことだったんだな」っていう(笑)。

木村:でも、日本のテレビの中で、お笑いだったりバラエティーだったりあるけど、やっぱり海外の方が“面白い”と思うポイントと、日本人が“面白い”と思う…ボケやツッコミがあっておかしくて笑う、みたいなポイントって、そこも国によってちょっと違ったりするじゃないですか?

LiLiCo:スウェーデンは言葉がとかが多いけど、日本はやっぱり顔が面白い。表情だったりメイクをしたりとか。例えば志村けんさんがバカ殿で出てきたりとか、変なおじさんで出てきたりしたのを見ると、どんな国の人でも笑えると思うのね。
私はお昼休みにおばあちゃんの家に戻ってランチを食べながら、『笑っていいとも!』とか、当時は『ごきげんよう』の前身の番組で『いただきます』だったんですけど、その2つを観て(日本語を)覚えてたんですね。

木村:『笑っていいとも!』と『ごきげんよう』で日本語を覚えたの? すごい!

LiLiCo:そうなんですよ。だからもうテレフォンショッキングに出られたのが嬉しくて、号泣しましたもん(笑)。

木村:それはビックリだな。

LiLiCo:それから、生きるための文章。「お腹空いた」「喉乾いた」みたいなものを覚えて。いまだに日本語学校に行ったことがないので、私の日本語、すんごい間違えてると思うよ。NHKのナレーションとか3本ぐらい持ってたんですけど…。

木村:その時は原稿があるから、それを読めば良いんでしょ?

LiLiCo:でもイントネーションとかがあるから、最初の頃は一行ずつ「違う違う!」って言って直されました。ナレーションなので個性というよりも正しくないといけないので、それですごく覚えましたね。

木村:俺、今日こうやってじっくりお話しするまで、なんかこう、もうちょっと楽しいお姉さんなのかなって思ってたんだけど、けっこうディープだね。

LiLiCo:ディープ(笑)。

木村:すごいね。

LiLiCo:いやいや(笑)。

木村:情熱がないとそこまでできないよね。

LiLiCo:そう。別にお父さんとお母さんが「日本に来て」って言ったとかじゃなくて、私が“日本に行きたい!”“あの雑誌に載ってた人達と同じになりたい”っていう風に思って自分で言ったから、“これはもうやるしかない!”っていう。だから、8年ぐらいスウェーデンには帰らなかったんですよ。もう少し仕事が入るまで、売れるまで帰れないと思っていて、もちろん8年でなんか売れなかったですけど、その時、ちょっとした仕事がスウェーデンであったので戻りました。

木村:だから、スウェーデンから「日本に来たい!」と思わせた火種が、相当な火力だったんだね。

LiLiCo:やっぱり日本のテレビとか“電波もの”ですよね。スウェーデンって、芸能界がすごく狭いんですよ。あのABBAとかセリーヌ・ディオンとかが出た『Eurovision Song Contest』っていうヨーロッパの国々がやる歌のコンテストがあるんですね。それに出るぐらい(しか芸能界に入る方法が)なくて。でも、それに出るのがもうめちゃくちゃ難しい。なかなか新人は出られないので、当時で言う「デモテープ」を送り続けるっていう。「そんなの無理じゃん!」っていう中で、日本にはタレント学校とかオーディションがいっぱいあるっていうのを聞いて、(日本に来て)そこから入ったんです。(タレント学校の)クラスは30人ぐらいいましたけど、発声練習をしても誰も私のことを聞いてくれないから、“どうやったらみんなが私を見てくれるか、聞いてくれるか?”って自分で考えて、マンツーマンで先生についてもらって。当時の先生から22年経って聞いたんですけど、“この人はレッスンじゃなくて場数だな”と思ったらしくて、それですぐビアガーデンでデビューしようっていう話になって、それでもう浜松に行っちゃったんですね。そこは演歌の事務所だったので、演歌歌手の付き人をやりながらその前歌をやらせていただいてたんですよ。

木村:前座みたいな感じ?

LiLiCo:はい。それで2、3曲歌って、そこからは着物の着付けと、終わったら畳んで荷物を持って…まあ、お世話係ですよね。

木村:その時間があった後に、ヒッピー生活を経験したんだよね。

LiLiCo:そうです(笑)。

木村:そのヒッピー生活を抜け出すきっかけを与えてくれたのが、中川翔子ちゃんのお母さん…っていうのは何なの?

LiLiCo:中川翔子ちゃんのお母さん本人は高級会員制クラブって言ってるんですけど(笑)、ショーパブをやってたんですよ。そこを友達が「この人住む所ないんだよ」って言って紹介してくれて、それでも日払いで現金でもらって、それを貯めて、やっとひとり暮らしできるようになったんです。

木村:そうなんだ!

LiLiCo:それですぐ辞めちゃうのも良くないので、そこで5年働いてました。だから翔子ちゃんは10歳ぐらいの時から知っています(笑)。すごく才能を持ってたんで、タレントになるなっていうのはわかりました。

木村:それで2001年に『王様のブランチ』(TBS系)の映画コーナーのレギュラーに抜擢されて、そこからずっと。

LiLiCo:そうです。そこから20年になりました。

木村:レギュラーに抜擢されたのはどういう流れだったの?

LiLiCo:『サウスパーク』っていうアニメ知ってます?

木村:知ってる知ってる! ちょっとブラックユーモア満載の。

LiLiCo:子供4人が主人公で、そのうちの一人のエリック・カートマンの声を声優としてやってたんですね。それで、雑誌に「今週の声優の紹介」みたいなのコラムがあって選ばれて、そのコラムの決まりが、「その声優が好きな映画を3本あげる」ということだったんですね。“これ、なんかあるな”と思って、好きな映画というよりも、幅広く「なんかこの人映画わかってるな」って感じで映画をあげた方が面白いんじゃないかなと思ったんです。まず1本が、その『サウスパーク』の映画。だからアニメですよね。でもう1本がサンドラ・ブロック主演の映画『デンジャラス・ビューティー』。ちょっとおふざけのコメディだったんですよ。3本目が『太陽の誘い』。官能的なヨーロッパのラブストーリーだったんですけど、『王様のブランチ』の放送作家さんが、その(好きな映画としてあげた)3本を見て、「この人、映画のことわかってるんじゃない?」って言って電話が来て、決まったんです。

木村:じゃあ、その映画のチョイスが、ちょっと間違ってたらなかったかもね。

LiLiCo:なかったですね。

木村:もともと映画は好きだったの?

LiLiCo:私の中で映画は現実逃避でした。私、弟が病気でずっと面倒見てたんですね。お父さんが出ていったから、母はずっと働いてて、たまに「どこか行っていいよ」って言われた時に行くのが必ず映画だったんですよね。だから、いつも自分のいる場所が映画のスクリーンの中だったんですよね。

木村:映画の観方も、客観視ではなく、映画を観てるうちにその映画の世界の中にLiLiCoが入ってる…っていう感じだ。

LiLiCo:入っていました。だから、いろんな人になれるんですよ。

木村:タイムスリップして、中世の世界観だったり、未来だったり、現実だったり。

LiLiCo:男性にもなれる。

木村:“映画を観る”ってなると、傍観者というか、チケットを買って客席に座って観てるから、なんかどこか冷静にその作品を観ちゃってる時もあるけど、その世界の中に入って行けるっていうのは一番豊かな映画の観方ですよね。

LiLiCo:そうですね。だから、スウェーデンの映画が多かったですけど、若い時に観ていた作品とかはずっと心に残っていますし。日本に来て映画コメンテーターをやるにあたって、日本の映画が全くスウェーデンに入って来なかったので、本当に勉強しましたね。もちろん全部は観られないんですけれども。

木村:いろんな方とお会いしてインタビューもしてますよね。“この人はやばかったな”っていうのはあります?

LiLiCo:えっと、どっちのやばかった?

木村:両方。

LiLiCo:やっぱり(クエンティン・)タランティーノは面白いなって思って。俳優もいいけれど、やっぱり監督やったり脚本とか書いた時って、ものすごい思いがめちゃくちゃ入ってるじゃないですか。メイキングとかを見ても、何回もやり直したい人なのよね。「なぜならば私たちは映画作りが好きなんだぜ!」みたい感じのことをずっと言ってるんだけど。あと、飲みに行った時に…。

木村:えっ、飲みに行ったの?

LiLiCo:はい。

木村:タランティーノと?

LiLiCo:私、バーカウンターで「フラッシュダンス(ホワット・ア・フィーリン)」を歌ったんですよ。せっかくなら『フラッシュダンス』と同じことやりたいじゃないですか(笑)。

木村:やったの?

LiLiCo:その時、水をかけたのはタランティーノだったのよ。私、真冬にデニムがビチョビチョになって、タクシー乗るのが大変で。座席に座っちゃうと次の人が濡れちゃうから、次の人も可哀想だしタクシーも可哀想だから、床のゴムの所に座って家に帰った記憶がありますね(笑)。

木村:それ、どういう思いやりだよ(笑)。タランティーノと飲みに行ったっていうところを広げてくれるのかなと思ったら、“デニムがビチャビチャでタクシーの床に座って帰ったのよ、アハハハ”って(笑)。

LiLiCo:(笑)そうなのよ。やっぱり映画と同じで、“エンドロールが終わった後にまだ映画が続いてる”っていう感じなので。私の中でのタラちゃんは…。

木村:タラちゃん!?

LiLiCo:私「タラちゃん」って呼んでるんですよ。メールでいつも「タラちゃん」って送ってます。本人もわかってますよ。けっこう何人かは「タラちゃん」って呼んでるみたいなので。

木村:へぇ。

LiLiCo:英語が話せるので、向こうも楽っていうか、けっこう飲みに行くんですよ。ジェラルド・バトラーとか、あとトビー・マグワイアとも『スパイダーマン』の時に一緒に行きました。「あの人とご飯行きたいです」って言われて、ご飯に行きました。

木村:そういう時って、なんかちょっと“イケイケメイク”してってるでしょ? いつもよりちょっとライン太めとかにしてない?

LiLiCo:まあちょっと…あわよくば(笑)。もちろんスタッフもいっぱいいますので。でも楽しかったですよ。わりと友達を連れて来てくれるので、イーサン・スプリーがいたりとか、いろんな人にプラスで会えます。

木村:プラスで会えるって言うか、まさかタランティーノを「タラちゃん」と呼んでるとは思わなかったなぁ。じっくり話したことはないんですけど、カンヌ映画祭とかでタランティーノさんが審査員やってる時もあったし、“ホテルのロビーでカンゴールの帽子かぶった人がなんかすげぇ大声出しているなぁ、誰だあれ!?”…と思ったらタランティーノだったってうのはありますけど、飲みに行ってタランティーノに水をかけられるっていうのはないです!

M1.Flashdance... What A Feeling/Irene Cara

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