2021年06月13日Flow 第百五十回目「拓哉キャプテン × ミキ」Part2
今月6月のゲストは、兄・昴生、弟・亜生の兄弟お笑いコンビ・ミキのお2人。
今回も兄弟喧嘩が起きるのか!? 最後までお付き合いよろしくお願いします。
木村:で、「お兄ちゃん、(芸人を)やるよ」って言い出す前の亜生は、ヘルパーさんの…。
亜生:そうです。僕、介護士。
木村:仕事やってたんでしょ?
亜生:そうなんですよ。僕はもともと、イルカの調教師になりたくて。
木村:あれ? イルカの調教師?
亜生:もう、動物が好きで。海も好きなんで、イルカの調教師になりたいと思って、専門学校に行きたかったんですよ。で、専門学校に入るってなったんですけど、お母さんが「いや、大学は出てほしい」って言って、「でも僕勉強してない、どうしたらいいの?」って言ったら、「じゃあ私が見つけるわ」って言って。で、お母さんが大学とかバーっと見つけてくれて。「ここの大学やったらイルカの調教師になれる。この学部に入りなさい」って言って入った学部が、「海洋科学科」っていう、イルカとは全く違う、微生物を勉強する学科に間違えて入ってしまいまして。
木村:(笑)。プランクトンとか?
亜生:はい。僕は4年間プランクトンを勉強して、その先にヘルパーを見出し…。
木村:自分が入る所をなんでお母さんに探させるの?
亜生:(笑)。
昴生:そもそもそうなんですよ。今だにずっとそうなんです。何でもかんでも「お母さんが」って。
亜生:お母さんが僕を可愛がってくれてるので。
木村:それは可愛がってるだろうけど、自分が入るぞっていう、今から4年間学ぼうとしてる所への扉は、普通自分で確認しなくね?
亜生:でも、お母さんが言ってることが絶対やったので。もうお母さんに「絶対にここでイルカの調教師になれるよ」って言われたら…。
木村:でも、あれでしょ? 「海洋」っていう言葉が付いてただけで、亜生の中で“あ、イルカいけんじゃん”っていう。
亜生:はい。「海洋」って付いてたら、もうそれは“絶対イルカにいけんねや”って。
昴生:ダメなんです。もう、亜生君は親の過保護でできた子なんで。
木村:(笑)。で、間違えて。
亜生:間違えて、4年間ちゃんと学びまして。でもまあここで、ちょっとやっぱり接客業の方がいいかなと思って、僕はヘルパーのお仕事をさせていただいたと。
木村:急に接客業がいいなと思ったら、ヘルパーになったの?
亜生:何て言うんですか…密に接することができる職業って何かなと思って。本当は僕、お笑い芸人やりたかったんですけども、死ぬほど反対されてるのを見てますし。
木村:お兄ちゃんがね。
亜生:はい。親、泣いてますし。
昴生:兄弟2人で。僕ら2人兄弟なんですよ。やっぱり2人とも芸人になるっていうのはさすがに、三木家、ちょっと崩壊の一途を辿るなと思ったんで。
亜生:お兄ちゃんがもう先に(芸人に)なってるから、僕は我慢して。
木村:それで、人と密に接することができる仕事は何かなと思って、ヘルパー。
亜生:介護の会社に就職いたしまして、で、1年で退社いたしまして。
昴生:1年働いて、電話かかってきたんですよ。亜生から、泣きながら。
亜生:(笑)。僕はちょっと、ことあるごとに泣くんですけども、はい。
昴生:それで「お笑いをやりたい」みたいなことで電話がかかってきて、まあわかるけど、その時は(亜生は)もちろん会社にも勤めてたし、その当時付き合ってた彼女がいんですよ。その子との結婚の方が幸せなんちゃうかと思ったんですよ。芸能の道に入っても成功するかどうかわからないじゃないですか。だから「ちゃんと考えた方がいいから、ちょっと時間あげるから考えろ」て言ったんです。そしたらこいつ、半年考えてたんですよ。“ちょっと長ないか?”と思って。半年長くないですか?
木村:(笑)。まあでも、すごい究極の選択だからね。
昴生:そうかもしれないですけど、だって半年ですよ? だってFacebookとか見たら、コイツ、奄美大島にその彼女と旅行行ってたりするんですよ。その半年の間で。
木村:いやだから、奄美大島に行って、“この子が自分の奥さんになるかもなあ”とか、いろんな想像を巡らせたんじゃないの?
亜生:さすがです、師匠。その通りです。
昴生:師匠のその過保護がまたコイツをダメにするんですよ。親とやってること一緒ですよ。
木村:その半年の間に、あとは?
亜生:ディズニーランドに2泊3日で行かしていただきました。
木村:それは普通の旅行だよね。
昴生:で、僕の引越しとか手伝ったりとかもしてたんですよ。その半年の間に。
木村:でもそれは助かったでしょ?
昴生:…はい。
木村・亜生:(笑)。
昴生:助かりましたけど、そうですけど、僕も言えないじゃないですか。「あの件どうなったんかな〜」とか、自分で促すの恥ずかしいじゃないですか。
木村:でも、自分で振ってるじゃん。「よく考えな」って。
亜生:そうなんですよ!
昴生:ちょ、ちょっと、師匠! また亜生の方についてる? それをやめてって僕言うてるやん!
木村:違う、ついてない! そうじゃなくて、だって振ったのは自分でしょ?
亜生:「よく考えろ」ってお兄ちゃんが言いました!
木村:「よく考えろよ」って言った本人だから、「もうそろそろまとまった?」とか聞けるじゃん。
昴生:いや、なんか自分から言うの、ちゃうくないですか? そんななんか催促するの、ちょっとちゃうくないですか?
木村:それはね、僕の流派ではちゃうくない。
昴生:あの当時は僕も違う方に行ってたんで。今はちゃうくないと思います。
木村:(笑)。
昴生:今は(木村さんと)流派一緒なんで、今はそうです。でも、あの当時はっていう話です。
木村:で、半年間待って。待ったら(亜生から)泣いて電話がかかってきて「(芸人を)やりたい」と。
昴生:「じゃあそのまま荷物まとめておいで」って言って、僕が今の嫁と付き合ってる時に大阪で6畳とかの部屋に住んでたんですけど、そこに亜生が転がり込んできて、3人の生活がそこから始まるという。
亜生:本当にウソップが家出する時ぐらいの、めっちゃでっかいリュック背負って僕行ったんですよ。
昴生:そうなんですよ。今でも光景を覚えてます。ピンポンって鳴ってドア開けたらでっかいリュック持って。笑うてもうて。“うわ、こいつほんまに来よった”と思って。で、そこから嫁と3人の生活が始まって、そこからミキのスタートですね。
木村:でも、(昴生の)彼女と生活してたんでしょ? すごいね。逆に、亜生のことを迎えてくれた昴生と昴生の彼女、半端ないよね。
亜生:これ、そうなんです。
昴生:嫁が準備してたんです。ロフトがあったんですけど、いつでも(亜生が)来れるようにって言って、ロフトを片付けてて。
亜生:「そこで寝ろ」って言って。
木村:めちゃくちゃいい人じゃん。
昴生:いやもう、嫁には感謝ですよね。
亜生:その人が(昴生の)今の奥さんなんですけど、奥さんに言われたんですよ。「昴生待ってんで」って、一言だけ。
昴生:嫁はその当時から、師匠の流派やったんです。
亜生:一言「昴生待ってんで」だけ言われて、僕そこで“やばい、はよ言わなあかん”と思って。
木村:そうなんだ。じゃあ本当に背中を“ちょん”って突いてくれたのが、彼女さんなんだ。
亜生:今の(昴生の)奥さんです。
昴生:ありがたいです、ほんと。
木村:「ミキ」を始めてみて、“これ来たな”っていう風に思えるようになったのって、いつぐらいですか?
昴生:ターニングポイントは…ターニングポイントというか、2人で「絶対この年だな」っていうのがあるんですよ。2016年が確実にターニングポイントの年。2016年が、僕が30歳になる年やったんですよ。30歳で、僕、この年でバイト辞めようと思ってたんです。
木村:バイトは何をやってたの?
昴生:アルバイトはもういっぱいやってましたよ。駐車場の管理人みたいのとか、夜行バスの受付とか。色々やってたんですけど、それも全部辞めて、もう芸1本に絞ろうと思って、辞めたんですよ。2016年の頭ぐらい、2月3月ぐらいで。で、辞めた月の吉本の給料が8万円やったんです。
木村:月の?
昴生:月のです。ほぼほぼ毎日働いて月の給料8万円で“ヤバ!”ってなった時に、初めてNHKの上方漫才コンテストの決勝進出が決まって、“絶対ここ優勝せな、生活がピンチや”ってなって、そこで優勝できて、そこから仕事がドンって増えたって感じですね。あの年で一気に変わりましたね。
木村:俳優さんとかは「あの作品にあの役で出てたなんとかです」っていいう感じで、徐々に徐々にいろんな作品に参加させてもらえるようになったりするじゃないですか。自分もバラエティとかお笑いが好きだから観てると、それこそM-1とか、いわゆる何かのコンテストで頭取った人間の急速な上昇気流って、半端ないですよね。
亜生:半端ないです。
昴生:一気に変わりますよね。
木村:その上昇気流でブワーって上げられるんだけど、上げられた後はちゃんと自分たちで飛んでないと、飛行能力がないと、どんどん高度が落ちてくるっていう。
昴生:上手いこと言いはりますね〜(笑)。
亜生:ホンマに、でもそうなんです。
木村:だからブワーっていう上昇気流で上に上げられて、“あれ? 俺、飛び方知らないんだけど”っていうような人は、変な話、1ヶ月2ヶ月ぐらいで“あの人、今何やってるんだ?”っていう。
昴生:飛び方、ホント難しいですね。この世界。
木村:2人はどういう飛び方だったんですか?
昴生:その年にそのNHK(上方漫才コンテスト)をバッと取って、夏ぐらいにフジテレビの24時間テレビで、その年だけショーレースみたいなやつをやってたんですよ。「KYO-ICHI」っていう、“今日一番面白い奴を決める”みたいな。そこで無名の僕らを抜擢してくれはったんですよ。で、そこで優勝したんです。そしたら東京の仕事がバッて増えて、年末のM-1で、決勝には行けなかったんですけど敗者復活で2位で、それでまたそこで知名度上がって…みたいな。
木村:「ミキ」は苗字でしょ? これはコンビ名は速攻決まったの?
亜生:いや、なかなか決まらないまま、ずっとぐじぐじ…。
昴生:基本的にコンビ名みたいのを考えてなかったんですよ。最初に吉本のオーディションを受けに行くんですけど、それが朝の8時ぐらいからエントリーで、劇場の前に並ぶんですよ。で、その時僕が並んでたんですけど、そこにエントリー用紙が配られるんです。その紙にコンビ名を書かなダメなんですけど、そこで気付いたんですよ。“あ、これ決めとかないとあかんかったわ”って。で、すぐに亜生に電話して、「どうする?」って言うて。亜生も「いや、候補とか色々言ってたけど決まってないな」みたいになって。「じゃあ、とりあえず今回はカタカナで“ミキ”で出しとくな」って言って、そこからずっと今まで。だから良いのが全く見つかってないんですよ。
亜生:しっくりしてないです。
木村:いやいや、しっくりしろよ。自分の苗字だろ(笑)。
昴生:苗字なんですけど、「ミキ」ってなんか女の子の名前みたいじゃないですか。下の名前の女の子の方が多いじゃないですか。
木村:確かに多いけど、でも自分の名前だからいいんじゃない?
昴生:いや〜なんかもっと…。
亜生:オシャレなな〜。
昴生:ホンマ色々考えたんですけどね。
木村:いいじゃん。
昴生:今やからええかなと思うんですけど、その当時はちょっと恥ずかしくてですね。病院とか困ります。
亜生:そうですね。「ミキ(三木)さーん、ミキの亜生さーん」って言われたら、もうコンビ名も全部言われてるんです。
昴生:そう。これみよがしに言う時ありますけど。何か、“隠すんやったら隠して”みたいな時めっちゃあるんですよ。最初の方は隠して呼ばれて、先生の所に行ったら、先生が「いやでもね、お兄ちゃんね…」って。“お兄ちゃん? 俺長男なんて一言も言ってへんのに「お兄ちゃん」言うてるやん”って。
木村・亜生:(笑)。
亜生:けっこうそれでバレますよね。
木村:でも、別にバレても全然悪いことしてるわけじゃないから、いいんじゃないですか?
昴生:確かにそうなんですけど。そりゃ師匠はもう色々大変じゃないですか。生活する上で「木村拓哉」っていう名前は…もうだって、日本でこんな有名な名前はないじゃないですか。
木村:でも、逆に何も考えてないですね。
ミキ:えぇ!?
木村:うん。
M1.Mickey/Toni Basil