今週は12月5日に、行われた森の長城プロジェクトの「ポッド苗育苗講習会」のレポートです。
AIU損害保険株式会社などの協力により 全国へ広がる森の長城プロジェクト、植樹、どんぐり拾い、さらに苗木づくりもボランティアの力で行われています。
今回行われた講習会の会場は千葉県君津市にある内山緑地建設の育苗施設です。研究者の方による苗木の育て方の座学や、育苗を体験する実地演習が行われました。


というわけで午前中に行われた座学の模様です。
教えてくださったのは、森の長城プロジェクトの副理事長、日本の森づくりの第一人者、宮脇昭さんの2人のお弟子さん。
まずは東京農業大学短期大学部教授 鈴木伸一さんのお話です。

◆潜在自然植生の重要性
樹林をつくっていくにあたって、どんな樹種を選定していけばいいのか。それのひとつのポイントとしては地域性のもの、その土地のものです。要するにその土地に潜在的に存在する自然っていうことなんですけれども、その土地の気候条件、立地条件だったら、どういう自然林が成り立つのかっていうのが潜在自然植生ですね。その土地にすごく適した植物なので、それを植えておけば失敗することが少ないということですね。植栽後の失敗が少ない。そして、その土地に合ってますので、密植をするとすごく成長が早いんですね。我々が考えているよりも比較的短い年月で樹林ができます。20年経つと、10mを超えるような樹林ができていくというような実例があります。
特に最近では遺伝子の問題があります。その土地の植物はそこでずっと暮らしてきて、遺伝的に他地域とは違う遺伝子を持っている。そこに他地域から苗木なりを生物を持ち込むと遺伝子の撹乱に繋がっていきます。最近では保全生物学、あるいは保全生態学っていうのがありますが、そういった中では、遺伝子かく乱というものを非常に厳しく批判をしている。そういった部分でも、その土地の植物を選んで植えていけば遺伝子撹乱も防げます。
そして必ずこういった潜在自然植生に基づいた植栽をするときには現地の調査をします。石巻の女川原発の周辺ですけれども、この黒く見えるところはみんなタブの木です。タブの木がたくさんあります。南の方、宮城までくるとシロダモなんかも段々出てきます。三陸海岸の南側というのは、多くの常緑樹の北限になっているなっていうことがわかります。ですから我々が植樹を行っている地域は落葉広葉樹林の地域ではないんだということがお分かりいただけるかなと思います。それをもとに、植栽適正種の一覧表を作っていきます。
で、これに基づいて苗木を作っていくということになるわけですね。昔は10種類程度しか植えなかったんですけど今はいろんな苗木が作られるようになって、非常に多くの苗木を植えています。30〜40種くらい植えています。


その土地に本来根付くべき植物・潜在自然植生!という言葉はもうおなじみですね。鈴木さんによれば、神社仏閣・昔から残っている民家の庭先などの古い大木などは、潜在自然植生の可能性が高いのだそうです。また、明治大正時代に薪や炭を取るためにアカマツなどが植えられた雑木林が、長い年月をかけて現在はタブの木やシイの木の森になっていることもあるそうなんです。これを「遷移(せんい)」といいます。年月をかけてその土地本来の自然が復元された・・・と言えるわけです。
ではもう一人の宮脇チルドレンのお話です。宮脇式の森づくりに37年にわたって協力、苗木づくりを続けているグリーンエルム代表で植生管理士の、西野浩行さん。西野さんは「ポット苗」と呼ばれる、小さなポットによる苗木づくりの極意を教えてくださいました。


◆森づくりを成功させる秘訣
ポット苗を使った森づくりを成功させるためには、マウンドの形状、形質、敷き藁、それからポット苗。この3つがいい状態にあって、それなりの植え方をしていただければ、ほぼ90%以上の確率で成功します。こういう風に根が充満した状態の苗木であれば、未経験者でもうまくいきます。
それと宮脇先生がよく言うのはランダムに植えなさいということ。最近、イオンさんの森づくりですと、1現場で50〜70種ぐらいの種類を植えるわけですが、たくさんの種類を植えると生存競争になるわけなんですが、実は環境圧を分散させる効果もあって、競争しながら助け合ってるよという話なんです。我々は1平方メートルに3本ぐらい植えるんですが、なぜかというと、植物はこのように成長する段階で葉と葉が触れ合うようになるわけです。そうすると、そのままではもう一方は日陰になって光合成ができなくなって死んでしまうので、木が一気に伸びます。そうすると今度はまた別の木が、それに負けじと伸びるわけですね。競争しながら共存をしていく。これは宮脇先生がよく言う話なんですが、嫌なやつでも共存しなさいというのはそういうことなんです。このメカニズムは植物の持ってる生きようとする戦略ですね。それを上手く利用して森をつくるんです。
最後は、私の30年の集大成なんですが、水やりのとき、十分に水をやって、今度は早く乾かします。なるべく早く乾くような場所においてください。で、乾いたらまた水をやる。これを繰り返すことで植物の根が発根します。水が欲しいから根が動くんです。水が常にあると根を出す必要がない。だからいい根を作るためにはこのメカニズムを繰り返すんです。
そのあたりを気を付けてやってくれればいい苗ができると思いますのでよろしくお願いします。今度はぜひ植樹祭の現場で苗木を持ってきてみんなで植えましょう。


うーん、なるほど。森づくりには「ポット苗」「マウンド」「稲わら」という3つのポイントがあるんですね。ポット苗は、ポット内に根っこがみっちり充満するので成長が良いんだそうです。また、ポット苗になっていると、扱いが簡単なんですね。
そして盛り土のマウンド。水はけが良く酸素が入ったマウンドを作ると、雨が降っても水が下へ流れる。水はけが良い。乾きやすいんだそうです。
稲わらは、枯れ葉の代わりの役割を果たすもので、乾燥を防ぎ保湿効果があるんだそう。雑草も抑えるし、微生物を活性化して、稲わらを土にしてくれるそうです。
長年かけて蓄積されたノウハウ。勉強になりますね。
来週はこの講習会の続きです。どんぐりから苗にするまでの育て方ついてお届けします。
どうぞお楽しみに!

【今週の番組内でのオンエア曲】
・I Will / The Beatles
・タイム・トラベル / スピッツ

パーソナリティ

高橋万里恵
高橋万里恵

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