今週も引き続き、科学界のインディ・ジョーンズ、辺境生物学者・長沼毅さんのインタビューをお届けします。
砂漠、深海の海底火山、南極、北極など、生命が「生きにくい場所」…辺境を冒険する研究者・長沼毅さん。
生命の生きられる限界、生命のルーツを探るこの方は「日本の森」について、どんな考えを持っているのでしょうか。
私たち日本人が、森と共存するために必要なことは何か、お話を伺いました。

◆森を維持するためには
日本に限って言えば原生林はほとんど残ってないですよね。我々が自然の森だとおもっているものはほとんどが二次林で人間の手が入ってる森です。その人間の手が入った森、里山でもいいんですけども、この森はやはり人間の手が入り続けないと荒れていく。放っておけば、何百年後にはまた元に戻るんですけども、やはりそうも言ってられないから我々が森と共存するためには、適切に手を入れ続けることが大事ですが、まあ実際には難しいですよ。
だって日本人の多くは都会に住んでるわけですし、森のそばには少数の人しか住んでない。しかも高齢者の方々ばかりという中で、どうやって里山を維持するんだということです。だから里山に人の手が入る仕組みを考えた方が良いです。
やはりボランティアじゃ長続きしないんで、里山に手を入れることによってある程度利益が上がってきて、活動が維持できるような仕組み、これをやらなきゃならない。そうすると林業の復興が一番いいと思ってます。
海外から安い木材が入ってきて、国産の高い木材なんか誰が買うんだっていうかもしれないけども、またそういったものを補助金で安くすると国際的になんか違反だって言われちゃうんですね。でも、そういったところは何とか知恵を絞って補助金や税金を投入してでもいいから、我々の国産材を使っていくことによって林業を復興する。それしか森の維持はできないと思います。
私自身も東北で、チェーンソー持って山に木を伐りに入ってますけども、それで感じた事は、これは本当に大変な作業だということ。いま、私は岡山県の限界集落を維持するために、チェーンソーで伐採作業をやらせてもらってますけども、ああいうところが日本中に千数百か所あるんだそうです。もうちょっとやそっとのボランティアじゃ守り切れないんですよ。だから利益が上がって活動を維持できる仕組み、林業の再興はその辺が重要だと思います。


この番組でも以前、「東京チェーンソーズ」という林業をカッコいい職業にしようと取り組む集団を紹介していますが、長沼さんも、自らチェーンソーを手に取り、その魅力に気づいたといいます。

◆チェーンソーを使えてこそ一人前の男
私はそれまでチェーンソーを扱った経験は無かったですけども、そのボランティアをやらせてもらって、初めて教わって使えるようになりました。チェーンソーは普通にホームセンターで売ってて、特に何の教習もなくて使えちゃうんですよ、法律的には。それは危険を伴うということも知りました。ですから、しっかりと研修を受けて安全に使えるようにしましたけども、狙った方向に木を倒す。これはね、なんていうんだろう、「やった」感ありますね。チェーンソーを使えて初めて一人前の男!と言う気がしましたね。
でも狙ったところに高さ20メートルの木の先端が30センチと違わずピタッと落ちる快感もあったけども、その次の日は180度違う方向に倒れたので、いやー怖いですね。
多くの人はできないかもしれないけれども是非、伐採を体験してほしいし、その体験によって自分自身が成長することによってまた山が守られるっていうことなんですね。
そういった意味で一石二鳥という言葉は軽すぎるけれども、ぜひそういったことで伐倒体験、自分の成長と森の維持管理、そういったものが全部まとまってできたらいいなと思います。


先々週から長沼産に色んなお話を伺ってきましたが、最後にこんな質問をぶつけてみました。
宇宙の、どこか別の星にも、“森”はあるのでしょうか?

◆宇宙にある森
まあ宇宙のどこかには地球のような星がある。これはほぼ間違いないでしょう。地球のような星があったら、そこにもやっぱり生命が発生して、まあ陸地があればおそらく森はできるでしょう。ただし地球っぽい星だからと言って、すべて陸地があるかっていうとこれは疑問です。地球みたいに表面の三割が陸というのは、どちらかというと珍しいケースかもしれません。よくありがちなのは全部海っていう海惑星ですね。
海惑星に森はないのかというと、おそらく海中の森があると思う。海中の森というと、ワカメとか昆布のようなものを想像するかもしれませんが、もしかしたら地球のガシッとした森林のようなものが海中に立ってるかもしれませんね。いまのところ、太陽系には、表面に水がむき出しの海は地球にしかないんですけども、氷が表面を覆ってる星がある。その氷の下に海があるっていう星がね十何個か想定されてるんですよ。そのなかで一番有力候補は木星の第二衛星「エウロパ」です。
エウロパは表面は氷で覆われていますがその下には海があると言われています。でもこの海の中に太陽光線は入っていかないんですよ。だから普通の植物的な森はない。だけども海底火山があるので、海底火山から供給されるエネルギーで生命が存在し得て、その生命体が森のようなものを作ってる可能性はあります。つまり太陽の光に養われている森林が地球であれば、エウロパの森林はエウロパ内部のエネルギー、火山エネルギーによって支えられている氷の下の森という、なんともエキゾチックな森があるかもしれません。


科学界のインディ・ジョーンズ、長沼毅さんのお話いかがだったでしょうか。
今回のお話はポッドキャストでも詳しくご紹介しています。こちらもぜひお聞きください!

【今週の番組内でのオンエア曲】
・Better When I`m Dancin` / Meghan Trainor
・白波トップウォーター / サカナクション

パーソナリティ

高橋万里恵
高橋万里恵

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