今週も東京の真ん中にある森、明治神宮で行われたイベント「アースデイ いのちの森」のレポートです。

このイベントは、東京の真ん中で森と向き合い自然とともに生きることを考える場づくりとして 毎年行われているもの。今日はその中から、明治神宮の森で50年ぶりに行われた生物調査の座長を務めた、東京農業大学の元学長で、福井県立大学の学長、進士 五十八さんによるトークセッションの模様をお届けします。
進士さんは、ランドスケープ…日本では「造園」と呼びますが、この分野の学問において、リーダーのような存在。そして明治神宮の森の「いま」を最もよく知る方でもあるんです!

 明治神宮にみなさんお参りになってわかるでしょうけど、本当にすごいでしょ?あれは生き物の力ですよ。これだけの森があるとね、いろんなドラマが展開するっていうその一例でしょうね。ただこの森は特別の森ではないんですよ本当は。みんな特別だと思いすぎるけどね。森はみんな同じですよ。いろんな命がたくさんあってね。ただ東京にないから希少価値があるんですね、特別のね。
 神宮の中の表参道のところにちょっと橋があったでしょう。あの下を流れてる川が渋谷川の源流ですね。渋谷の駅の方行くとね飲み屋街があって、あの後ろをずっと流れてるわけね。あれが外苑の国立競技場の脇を通ってるわけですね。今は埋めてあるけどね、掘っくり返せば川が下にある。そういう風に繋がってるわけ。だから川をまずちゃんと復活させて、川の側へ木を植えれば水と緑の血管が街の中へ入る。人間は血管と神経が体の隅々まで通ってないと健康が保てない。だから街もね、東京の健康は水の血管と緑の血管が隅々まで行くべき。昔の川とかは全部そうなってた。もう今コンクリートにしちゃって、使えるところを全部道路にするからダメなんですよ。だからこれから東京はもうちょっと小さくなった方が良いね。
 私の仕事はランドスケープっていうんですけど、元々はニューヨークのセントラルパークが始まりなんですよ。僕らの専門が生まれたのはね。それはね、やっぱり都市化が進んで工業化が進むと、人間おかしくなる。都会に人が集まって暮すとみんなおかしくなるっていうのを気がついた人がいて、それでセントラルパークを造った。人口60万の時に320ヘクタール造ったんだから。ここの3倍。だから日本はいくら頑張ってるって言ったってまだまだだめなんですよね。そのくらい緑が必要で、でもそういうのモデルにして、内苑と外苑の間をずっといちょう並木でつないだでしょ?緑と水は繋ぐのが基本なんですよ。繋がないとだめ。ひとつずつポンポンってあっただけじゃ生き物が移動できない。魚でも小動物でも、緑が続いてればずっと繋がるでしょ。すごく行動範囲が広くなると健康になる。人間もそうでしょ?小さな部屋にじっといたらみんな病気になっちゃうでしょ?鳥もそう。巣だけあったってだめ。えさがあって広い行動範囲が必要。そこをみんな忘れてるの。だから今の都市は便利にだけしてコンパクトになってりゃいいと思ってる。じっとしてたら生き物じゃないです。もちろん静かで安心できる場所も必要。だけど日中は行動的じゃなきゃいけない。それで健康が維持されてるんだから。本当の都市ってそういうもんですよ。
 ちょっとひとつおもしろい話をしますね。明治神宮の外苑の表参道は銀杏並木です。あれはこの明治神宮の全体の技師がいました。折下吉延という人なんですけどね。我々の大先輩です。それでね、当時はみんな苗木は自分で作った。植木屋に売ってないから。その時に銀杏も3000〜4000種を蒔いたそう。それで良い苗木はみんな他へ持っていっちゃったらしい。残り物のどうしようもない苗が300本あってそれが外苑の銀杏並木です。
つまり何が言いたいかっていうとね、見捨てられたやつだって頑張れれば頑張ってるっていう話です。自然のものっていうのはそういうことがいっぱいあるんですよ。都市型の社会っていうのは競争社会でね、エリートだけが行くっていう風にみんな思ってるわけ。落ちこぼれからもっとちゃんとしたものになっていくっていうことはいっぱいあるってことです。普通の街路樹8メーター間隔なんだけど、外苑の表参道もっとゆったり植えて、将来を見てね。するとあれだけ立派な銀杏並木ができるんですよ。僕が言いたいのはね、森から何か学べることがあるんですよ。人の生き方としてね。
 だから何もないところだって森は作れるし、いろんな種類を混ぜておくと、時間が本物の森に育ててくれる。大家族制ってそういうこと。僕はそういうことを学んでほしいですね。
 もう明治神宮の森は実は100年経ってます。100年が2020年って言ってるのはね鎮座からで、工事はその前からずっとやってるわけ。だから既に100年経ってるんですね。当時の人は150年先まで予測したけど、それは当たるかどうかわからないでやってた。でもその予測が当たり過ぎちゃって、今は150年先の予測に近い状態になっちゃったわけです。これも日本の自然の凄さってこと。条件が良ければどんどん育って、だから明治神宮はもう既に30〜40m近い木が育ってるわけです。条件が良くて、まわり中、森でしょ。森の中にいる木は安心ですよ。都会のいやらしさとか排気ガスに晒されてるのはそうはいかない。やっぱこれだけまとまるとね。
 だからこれを植物社会といいます。植物にも社会がある。人間はみんな人間社会と思ってるけど、植物も植物社会ですよ。だからいろんな木がいろんな種類が助け合って上手く生きてる。でも原理は簡単で、いろんな種類を集めておけばいい。生物多様性ということです。


今回のお話いかがだったでしょうか。このトークセッションの模様はポッドキャストでも詳しくご紹介しています。こちらもぜひお聞きください!

【今週の番組内でのオンエア曲】
・Can’t Stop The Feeling! / Justin Timberlake
・TOKYO feat. SEKAI NO OWARI / OWL CITY

オープニングトークで万里恵さんが話していた、うにと衝撃のほやたまご!

パーソナリティ

高橋万里恵
高橋万里恵

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