前回に引き続き、宮城県南三陸から、林業のいまをお伝えします。
町のおよそ7割が森林で構成されている南三陸は、古くから、良質な杉材が取れる地域として知られてきました。
そしていま、若き林業家の方が、町の財産・杉をブランド化して発信していこうとしています。
環境に配慮して、適切に管理された森だけに与えられる国際認証「FSC」は、ドイツに本部のある森林管理協議会が、森林を評価する制度です。FSCの認証を取った森は、世界的な「お墨付き」を得たということになります。
南三陸では現在、地域の森の一部がこの「FSC」を取得。この森で取った木材で家具などを作ると、FSCのロゴをつけることができ、良質な製品であるとPR出来るようになっています。
国際的なお墨付きを得るほどの南三陸の杉。実際、どんなところが優れているのでしょうか。
この地域で代々続く林業家で、南三陸森林管理協議会の佐藤太一さんに伺いました。

◆南三陸杉の魅力
南三陸杉の優れている点はいっぱいあります。まずは樹高が高いということ。高く成長するんですけど、太くは育たないんですね。逆に言うとキュッって締まった、年輪が詰まった木になるんです。そうすると強度が増すんですね。曲がりの強度がすごく高くなるというのが南三陸の特徴の一つ。
あと何といっても、綺麗ということです。木って板にした場合、白太と赤身っていう、白い部分と中心の赤い部分があるんです。その赤身が淡いピンク色のきれいな優しい色合いなんですよね。その白と赤のコントラストっていうのがとても綺麗ですね。
強度は堅いんですけど、手触り肌触りはとても柔らかいんですよ。さらにその良さを生かす製材屋さんが地元にあって、低温乾燥にこだわった木の本当の力を活かす、引き立てるっていうところにこだわった製材屋さんなんです。そこで製材して乾燥させた木っていうのは、触るとむしろこっちの手がすべすべになるくらい、非常に良い板を作るんですね。
色合いも、より淡いピンク色が見えてですね。昔からここの地域では美人杉っていわれているんです。木って普通、上に行くと細くなっていくんですけど、ここの杉っていうのはスラッと、ほとんど上と下があんまり変わらない状態で立っていく。そんな立ち姿もまさにそうだし、板にしたときの色合いもまさに美人なんです。
「源平」っていう、白太と赤身を同時に引く取り方があるんですけど、江戸時代、政宗公の頃から源平の板を取るんであれば、この地の杉が良いって言われていた、隠れた名産なんです。ただ今まで名前が付いてなかったんですね。そこをちゃんと「南三陸杉」という名前を付けて、発信しているところです。


南三陸の山に降った雨は、川を伝い南三陸の海へ。その海のミネラルを含んだ水が霧になり、「やませ」と呼ばれる風に乗って山に戻る。年間の降雨量はそれほど多くないのですが、この「やませ」で山に運ばれるミネラルが、南三陸杉を美人に育てているのだそうなんです。
そして、この南三陸杉の魅力を全国に発信しようとする佐藤太一さんは、佐久という代々続く林業会社の跡継ぎです。実はまだ30代前半なんですが、林業を継ぐことを決めたのは30歳になってから。そのきっかけは東日本大震災でした。

◆木の良さを子どもたちに伝えていきたい
僕は以前から山は好きなんです。元々物理の研究をやっていて、自然科学をフィールドにして、そのドクター2年生の時に震災があって、翌年学位が取れる、卒業できるっていう感じだったんですけど、本当は震災がなければ研究そのまま続けようと思ってたんですよ。でも震災でこっちの家も全部流されましたし、昔からずっとやってる林業をちゃんとやっていこうっていう気持ちになって帰ってきた感じですね。
リアス式海岸の形成の過程を考えてみると、ここの土地って、何回も津波でいっぱい削ってるんです。残ったところが山になってるんです。だからそう考えると恐らく南三陸町にとっても、うちにとっても将来ずっと確実に残っていく財産って何なんだろうって思ったら、やっぱり山だと思うんです。
山で儲かるようになれば、これってずっとやっていけるんだろうと思うんです。ですから、将来どういう環境になっても木材を供給できる山設計をしていかないといけないと思っていますし、今10ヶ月の子供がいるんですけど、その子が山マニアになるように育ててく。やっぱりこれが重要だと思いますね。うちの子もなんだけど、やっぱり地域の子どもたち、特に都会の方とかだと山との関わりってあまりありません。「木ってどこから来てるの?」って聞いたときにわからない子ってたまにいるんですよ。ですから、「林業っていうのがあってね、山でこういう風に育ててる職業もあるんです」っていうところから教えていく。ちっちゃい子どもたちとかに山の楽しさを教えたり、間伐体験なんかで山にいろんな人を呼ぶのが好きですね。枝をただ磨くだけのプログラムなんていうのもあります。ピカピカの枝になるんですよ。それが面白い。結構みんな夢中になりますよ。でもこれって昔は床柱とかに使われる磨き丸太っていうのがあるんですよ。それもきれいなやっぱスベスベな丸太で好まれてたんだけど、それの枝バージョンってことですね。
仙台の東口にスターバックスの店舗ができたんですが、そこに装飾としてうちの磨き枝が使われてるんで、今度はそれの延長線上で手彫りのスプーンとか、そういうのも今ちょっと作ってます。最初はうちの子供用に小さいの作ったっんですが、やっぱり子供にいいですよね。そういう肌触りが良いっていうのはね。だからそういう木の良さみたいなものを伝ええる商品を作っていきたいなと思います。


今回のお話いかがだったでしょうか。
佐藤太一さんのお話しはポッドキャストでも詳しくご紹介していますので、こちらもぜひお聞きください!

【今週の番組内でのオンエア曲】
・Cake By The Ocean / Dnce
・Love Me Like You / Little Mix

パーソナリティ

高橋万里恵
高橋万里恵

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