北国ではこれから桜が花開くという地域も多いはずです。
そこで今週・来週は、お花見しながらぜひ楽しんでほしい、桜という植物の「ふしぎ」に迫るお話です。今回伺ったのは、東京の西側、八王子市にある森林総合研究所 多摩森林科学園です。

こちらは、国がかかわる木材や林業の研究機関なんですが、山の斜面を利用した「保存林」というのがあって、そこには、全国各地の桜が植えられているんです。つまり、桜のスーパーヒーロー大集合みたいな状態になっています!


というわけでその「桜の保存林」を多摩森林科学園で桜の研究に携わる、農学博士の勝木俊雄さんに案内していただきました。桜のことならなんでも知っている先生です。

◆多摩森林科学園
桜保存林ということで、だいたい6haくらいに桜が1300本植えられています。ここは通称「多摩森林科学園」といいますが、正式には「森林総合研究所多摩森林科学園」です。いまは独立行政法人ということで、直接国の機関というわけではないのですが、元々は国がやっていた林業試験場の後釜の団体でして、やはりそういった形森林、林業に関する研究をやっています。
だいたいいまから50年位前に、当時、公害の問題や開発の問題などもあって、自然のものがどんどん死んでいっているという状況がありました。そのなかで桜についてもこのまま放っておいたら危機的な状況になるのではないかということで、それで国がある程度責任をもって管理していくようなところをつくろうという話が持ち上がりました。そのときにこの桜保存林ができあがったということになります。


多摩森林科学園にある1300本の桜は、全国各地の様々な桜の芽や枝を採取して、接木などをして元の木と同じ遺伝子を持つ、いわばクローンを作り、山に植えたものです。桜を後世まで伝えることを目的としています。
さて、保存林に入って緩やかな坂道を歩いていくと、さっそく、ソメイヨシノに比べて小さいんですが、綺麗な花をつけた桜に出会いました。エドヒガンです。

◆エドヒガン
生き物を数える単位で「種」、スピシーズという単位があるんですが、桜は世界に100種くらいあるといわれています。そのうち日本には10種あります。そのうちのひとつがエドヒガンです。ちょうどお彼岸の頃に毎年咲くので、むかしから彼岸桜といわれています。他の桜とくらべて咲くのがちょっと早いので、ここでも、今花をつけているのはだいたいエドヒガンの系統です。
エドヒガンはソメイヨシノの片親ということで、現在の研究ではこのエドヒガンが母親、オオシマザクラ、これは伊豆大島に多いのでオオシマザクラというんですが、これが父親だということがDNAの研究なんかでも確認されています。エドヒガンは、花の大きさはソメイヨシノと比べると随分小さいのですが、木の大きさをみると、これは本当に大きくなります。ここにある木は植えて50年位ですから、まあ10mくらいなんですが、中には30m、40mを超えるような大木になるものもあります。桜の中で巨木であるとか、老大木であるとかで、天然記念物に指定されているような木というのが全国に結構あるんですが、そういった老大木の木の多くはこのエドヒガンになります。
エドヒガンは”エド”という名前がついているんですが、勘違いもあってつけられた名称でして、本当の分布は、北は青森、南は鹿児島まで、北海道と沖縄を除くほぼ日本全国にあります。ただ、分布域自体は広いんですが、これはどこにでもある木ではなく、崖のようなところなどにあります。他の植物と競争するとちょっと弱いんで、どちらかというと辺鄙なところに追いやられて生きているという、そういう生き方をしています。


さて、日本に桜は「10種類」あってエドヒガンはその一つだというお話でしたが、でも、もっといろいろと種類があるような気がしませんか?
実は、生物学的な「種」とは別に、細かく分けることができます。例えば「シダレザクラ」という桜がありますよね。あれって、シダレザクラ・・・という「種」があるわけではないんです。


◆枝垂桜はエドヒガン
シダレザクラも生物の種としてみた場合はエドヒガンです。エドヒガンという種のなかに樹形が上に立ち上がるような樹形のものと枝垂れる樹形のものがあります。それで枝垂れる方だけをシダレザクラといいます。種という単位で見ると枝垂れようが、立ちあがっていようがエドヒガンということになります。ただ、野生ではシダレザクラって見つかっていないんです。これは想像なんですが、このシダレザクラは結構歴史が古くて、平安時代にはもう文献に出ています。現在でも樹齢数百年というシダレザクラが神社などにありますから、やはり平安時代以降、綿々と栽培されていたものだと思います。それ以前は偶然どこかにあったのを見つけてきて、「あ、これ綺麗じゃないか」ということで栽培したのが始まりじゃないかと想像していますね。


犬や猫やサルや人間といった分け方・・・生物の「種」としての日本の桜は、あくまで10種類。でも、同じ種類でも個性があって、さらに植木職人さんたちが、桜をかけ合わせて作ったものもあります。そこに、それぞれの地域で名前が付いたため、細かい名前の分け方が存在します。これが「栽培品種」というもので、いわば「桜のブランド名」のようなものです。この栽培品種はいまでも増えているんだそうです。

では、エドヒガンをはじめ、日本に存在する10種類の桜というのは、一体、どの桜のことを指すのでしょうか。


◆10種類の桜
10種類の桜というのは、ヤマザクラ、オオヤマザクラ、カスミザクラ、オオシマザクラ、マメザクラ、タカネザクラ、チョウジザクラ、エドヒガン、ミヤマザクラ、カンヒザクラです。
街なかで生活している人は、野生の桜を見る機会はないと思います。たいてい人が育てている栽培品種を中心に植えるので、あんまり目にません。
野生種でカスミザクラというものがあるんですが、個人的にはこれが好きです。咲く時期が遅くて、どちらかというとひっそり咲いているような感じなんですよ。観賞用に植えられることもないので、そういった、ひっそりした佇まいが個人的には好きですね。


最後に勝木さんが好きだとおっしゃっていたカスミザクラですが、これはソメイヨシノよりも遅く、4月の末頃に咲くそうです。
ちなみにこちらの桜保存林では、まだまだこれから満開を迎える桜もあります。しかも食べ物の持ち込みO.K.ということで、アルコールはダメなんだそうですが、ベンチでお弁当を食べたりするのもいいかもしれません。

桜保存林からのレポートは、さらに来週に続きます!

勝木さんのお話はポッドキャストでも詳しくご紹介しています。
こちらもぜひお聞きください!

【今週の番組内でのオンエア曲】
・初花凛々 / singer songer
・You're Beautiful / James Blunt

パーソナリティ

高橋万里恵
高橋万里恵

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