今週も、日本全国スギダラケ倶楽部の中心人物、若杉浩一さんのインタビューをお届けします。
若杉さんは、株式会社内田洋行の関連会社のデザイナー。あくまで週末のクラブ活動のノリで、全国の杉の産地を 手弁当で訪問し、そこで出会った人たちと、杉を活用した様々なことに取り組んでいます。
スギダラケ倶楽部の活動が始まって、10年。いまでは、その活動が、各地で実を結び始めています。

◆地域の木を利用しようという空気は広かってきている
僕らの仲間の南雲さんがやったプロジェクトに、秋田の駅前のバスシェルターがあります。地元の秋田杉でできているんですが、本当に素晴らしい、美しいバスシェルターなんですけども、あれが出来上がるまでになんだかんだで10年ぐらいかかってます。形に残っていくまでには随分時間がかかりますよね。バスシェルターをつくるには行政も絡んできますし、バス会社も絡んできますし、設計する人たちもいますし、デザインする人もいるというようなことで、関わるメンバーのモチベーションも必要ですし、お金も集まらないと何もできませんからね。
ですが、公共建築物をできるだけ木を使って建てようとか、内装を木質化していこうというような運動は林野庁もしてくれていますし、法律の整備も進んできていますよね。ですから、追い風は吹いてると思うんですよね。だけどこの先一番重要なのは私たちがそういったものを使っていけるかどうか、使おうと思うかどうか。あるいは、企業とか社会の人たちがもっと使おうじゃないかっていう風になるかどうかが肝だなと思っています。
そういった意味では、今までスギダラクラブと一緒になって活動していた色々な地域の人たちが製品を生み出してきたり、地域の施設を自分たちの地域の木材で作っていこうじゃないかっていう運動を各地域で起こしてきてるので、そういう空気が、いま広がってきてるような気がします。
たとえば、栃木県の鹿沼でも6年くらい活動をやってるんですけれども、鹿沼っていう町は日光東照宮の職人さんたちが移り住んできた町で、日光杉があってその材料を使ってたくさんの木製品をつくってきた木工の町なんです。住宅構造材もつくっていますし、ドアなどの建具、あるいは様々な枡とか桶とかそういう製品をたくさん作ってきました。しかし、そういう製品なかなか見なくなったじゃないですか。だから段々廃れてきたんですけれども、そこの町でもう一度木の暮らしを再生させるために、新しい製品をみんなで作って世の中に打ち出そうじゃないかと、日用の小物をつくりました。しかもお祭りで売れるような、スギのお面やスギのカップ、子供たちが遊ぶおもちゃなどを、比較的値段も安く、日常で使えるようなたくさんのスギの製品を作ってきました。

それを毎年お祭りで売ったり、色々なイベント会場に持っていって売ったりとかしてるんですが、なかなか好評です。おもしろいところでいうと、ヒノキを金魚型に切って、天然の素材で色をつけて、たらいでぐるぐるぐるぐる泳がせましてね、それを金魚すくいのポイですくうんですよ。

そういう形で日常の生活の中でさまざまなシーンを思い浮かべて、商品をたくさん作ってきたんですけども、毎年そのお店が広がっていって、今や鹿沼市の風物詩になりつつあります。
そんな活動をやってきたんですけども、今年農林水産大臣から感謝状を頂きました。活動が色んな人にも認められているというようなことで、地域の人たちも段々自信になってきています。
自分たちが木を使っていく生活、木を愛してそれを使っていくっていう生活が増えてくると、今度はそれが広がってくるので、これが最近ちょっと嬉しかったことですね。



そして、鹿沼に代々伝わった技術の一つが「組子」です。家の障子などに使われる細かい細工の「模様」のことですね。これは職人さんたちが技を競い合い、どんどん複雑になっていったんだそうです。また、東照宮にあるような細かい木の彫刻も伝統的な技術ですが、いずれも、生活スタイルが変わる中で、一時は廃れてしまいました。
でもそれが今、スギダラケ倶楽部と地域の方々の力で、町の資源として新たな価値を生み出しているんです。

◆続けていくことが大事
この地域は技術もあるし熱いハートの人たちがいたのでもう、団体中心じゃなく人ですよね。この地域を豊かにしたいんだ、もう一度再生させたいんだっていう強い思いと思いの繋がりなんですよね。これが企業や団体になるといろいろ面倒なことがあるじゃないですか。ですが、スギダラケ倶楽部はもう単純なんですよ。「やりたい」「やろう」「おー!」ということで、動きも速いし何でもできる。何も束縛されてませんからね。ないとすればお金だけですよ。
木工の人たちは作ることができて、僕たちはデザインすることができる。だからそれを結びあえば何か起こるんじゃないのっていう繋がりから始まってるんですよね。ですから最初はお金にならないかもしれませんが、それをずっと5年、あるいは10年続けていったときには、みんなから愛され、親しまれ、自分たちの喜びであり誇りになる。そういう風に変わっていった瞬間に、それは経済に変わってくるんですよね。
だから最初から経済があるわけではなくて、価値を再生させるっていうプロセスそのものだと思います。



今回のお話はポッドキャストでも詳しくご紹介しています。
こちらもぜひお聞きください!

来週は、日本全国スギダラケ倶楽部の年に一度の全国大会についてお届けします。
お楽しみに!

【今週の番組内でのオンエア曲】
•ふがいないや / YUKI
•Chasing Cars / Snow Patrol

パーソナリティ

高橋万里恵
高橋万里恵

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