今週は、伊勢神宮とその鎮守の森を中心に森と人間の共存をテーマにしたドキュメンタリー映画「うみやまあひだ」の話題です。

実はこの映画、ビートたけしさん、建築家・隈健吾さんも出演。さらにこの番組でもおなじみの「森の賢人」の方々も 数多く登場していて、それぞれが様々な視点で、森と人間の関係を語っているんです。
この映画の監督は宮澤正明さん。ファッション・広告、女優・ミュージシャンの写真集を中心とした写真家です。2004年からは伊勢神宮の式年遷宮の記録を撮影する、奉納写真家として活動していました。
そんな宮澤さんが、静止画・写真ではなく、映画として発表する作品が「うみやまあひだ」。様々な角度から、日本人と森の関係を探ったドキュメンタリーです。
まず、映画制作のきっかけを伺いました。

◆伊勢神宮の森
伊勢神宮には二千年もの間培ってきた森との共存共栄という文化がありますよね。その後に千三百年続いている、二十年に一回の神様のお引越し、社殿を新しく作り変えるという式年遷宮があります。そのためには木が必要だし、木を植えなきゃいけないですから、森との再生とか、森とのコミュニケーションというのがそこにあったと思うんですよ。そういう部分は都会の生活をしていると忘れがちです。でも本当は日本人のDNAのように、点と点で結ぶものがあるんじゃないかなということから、人間と森との距離感、共存というのをテーマにした映画です。宮大工の方や植林をしている植物学者の方とか、いろんな方にお話しを聞いています。
熊野三山は自然崇拝のような宗教観があったんで、森を歩いていると怖さのようなものを感じますが、伊勢はどちらかというと森と共存するという感じを受けます。式年遷宮という、二十年に一回社殿を建て替えるために森を育成していく必要があって、循環再生型の森と共存していくシステムを伊勢神宮はもっています。ですから、植える木は桧ですが、その周りにも色々な木を植えるわけで、そういう意味ではすごくバランスがとれた森がつくられています。
むかしから日本国中には鎮守の森というものがあります。日本人は生活で木を切ったかわりに必ずその森を再生してきたという歴史がありますよね。そういう部分が伊勢神宮の森に通じるものがあって、すごく面白いなと思いましたね。



奉納写真家として、そして映画監督としてカメラを手に何度も伊勢神宮の神宮宮域林に足を運んだという宮澤監督。
そこで、どんなことを感じたのでしょうか。

◆肌で感じる森
伊勢神宮の森は夜に行っても、暗闇の中は多少怖さは感じますけれども、川の流れにしても木のせせらぎにしてもすごく神秘的というか、汚れない、清められた闇なんじゃないかなと思って、熊野で感じたような怖さはなかったですね。
「うみやまあひだ」にも出演している、脳科学者で作曲家の大橋力先生は伊勢の森で音をよく録られるそうですが、伊勢の森にはハイパーソニックサウンド、人間の耳では聞こえない、肌でしか感じられないサウンドがあるんだといいます。それはすごく心地がいい音で、先生の表現では、森が発する素晴らしいオーケストラがいるというんですね。我々の耳では聞こえないけれども、肌では感じる。それは心地いいということでしか表現できないんですが、アマゾンなんかでしか感じ得ないものであって、普通の森ではなかなかないものだそうです。しかし伊勢の森でそれを測ると、すごくハイパーソニックサウンドが非常に多いということに驚かれて、それを我々にいろいろ教えてくれました。
確かに参道を歩いているとみなさんおわかりになると思うんですが、すごく神々しいという以上にすごく気持ちが良いですよね。すごくホッとするというか、心が和らぐというか。
伊勢神宮を撮ったとき、ある神官の方が「宮澤さん、神様は無条件に空気さえも与えてくれているんだよ」っておっしゃいました。なるほどなと思いました。そういうことを気づかせてくれる森なんだなっていうのが、大橋先生の、ある種肌で感じる森というのにつながるのかなという感じがしますね。



このハイパーソニックサウンドというのは、高い周波数のため人間の耳では聴くことができないけど、でも存在する音のこと。お話に合ったように、耳では聞こえないけど、肌で感じ取り、人間の脳に良い影響を与えている、ということが分かってきているそうなんです。
そんな不思議な力を全身で感じながら、宮澤監督は森の中でゆっくり時間をかけて撮影を続けたと話します。


◆森と一体化する
光というのはすごく大切にしています。森の中は、光が通じなさそうですが、実は結構きれいに光が入ってきています。朝もやとか川の流れによって見え方が違ったりとか、雨が降っているときなんかは潤沢な潤いのなかで森がしっとりしていて、ぼくにとってはすごくいろんな表情をたくさん見せてくれるのが森です。その生きている感じとか、息吹などは、映画ではすごくよく撮れていると思いますね。
森に入って何日もそこで過ごすように歩いて、朝から晩までそこにいないと気づかないものがあります。東京にいて急に森に入ったところで、ああ気持ちいいな、清々しいなとは思うけれども、完全に自分と森とが一体化するには多少時間がかかります。大橋先生もおっしゃっていますが、やっぱり自分が森から感じる音というのはお酒を飲んでアルコールが効いてくるように浸透してくる。だから、森のなかで佇んで森を感じて、じっくり気配や風、木と木のこすれあいとか、小川のせせらぎとか、遠くから聞こえる小動物の声とか、そういういろんなことが感じれるようになってはじめてその森と一体化できる。そうなったときにゆっくりシャッターでも押してみようかなって思いますね。



宮澤正明さんのお話しいかがだったでしょうか。
「うみやまあひだ」は1月31日より、三重県明和109シネマズを皮切りに、全国劇場公開がスタートします。
詳しくは『うみやまあひだ』の公式ホームページをご覧ください。

来週も引き続き宮澤正明さんのお話しをお届けします。
お楽しみに!


【今週の番組でのオンエア曲】
・Jamaica Song / ハナレグミ
・Tokyo Sunrise / Lp

パーソナリティ

高橋万里恵
高橋万里恵

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