今週は、ドキュメンタリー映画「うみやまあひだ」の宮澤正明監督のインタビュー最終回です。
伊勢神宮の式年遷宮をきっかけに日本人と鎮守の森、森と人との共存について描いたこの映画では、日本の森・自然を語るうえで欠かせないキーパーソンがたくさん登場しています。
例えば、長年、森を守る活動を続け、国連から「フォレストヒーローズ」として表彰された、この方も、映画のインタビューに答えているんです。

◆森は海の恋人
畠山重篤さんは気仙沼の牡蠣の養殖の漁師の方なんですけども、この方はすごく有名な方です。畠山さんは漁師ですが植林をします。上流で植林をすることで、森が再生されて、さらに牡蠣の養殖を再生させたという方なんです。
30年くらい前に、ダムを作ったことにより森が荒れ、海も荒れたらしいんですよね。それで、これはどうしたらいいんだろうってことで、フランスのリアス式海岸があるとこまでわざわざ勉強しに行ったり、海洋生物の研究をまずされて、「だからこそ森が大切なんだ。」と気づいたそうです。畠山さんの言葉で心に残ったのは、「海の中にも森があるんだ」っていうこと。そういう考え方を持てば、近隣の人たちはもっと森を大切にするだろうということなんですね。
伊勢神宮もそうですけど、やっぱりきれいな山があって美しい森があったら、きれいな栄養分を持った川が流れて田畑を作り、そのミネラル豊富な水が川を流れていけばすごく豊かな漁場が生まれる。
そういう循環再生というのを実践されている方です。陰陽のように山の森と海の森っていうのはいつも表裏一体なんだよってことを東北でやっていらっしゃったんですよね。
だからそういう部分が日本人のDNAにあるんだなっていうのが、すごく嬉しかったし驚きましたよね。
漁師の方が大漁旗を山の上に立てて植林をするんですよ。そういうことを24年も積み重ね、それをまた全国に広げる運動をされているので、すごい立派だなって思いますね。
畠山さんがおっしゃったように、日本って新幹線とか道路で横の繋がりはできても、山や川を通じた縦の繋がりは寸断されちゃってるんで、そういうものを見つめ直す日本の社会がこれから大切なんじゃないかなっていうことをおっしゃってましたね。


NPO法人「森は海の恋人」の理事長・畠山重篤さんが、映画で語った言葉、「海にも、鎮守の海がある」。とても印象的ですね。
そして映画では、建築家・隈健吾さんと並んで、世界で活躍する、この方も森について語っています。

◆北野武さん
北野武さんは、元々伊勢神宮にはすごい精通されていて、他の方々とはまた違う捉え方をしています。伊勢神宮をもうちょっと宇宙的な感覚とか概念という部分で、例えば伊勢神宮はなんであそこの場所にあるんだと考えたときに、あの森がもう既に伊勢神宮が鎮座するようにデザインされてたっておっしゃってるんですよ。人と自然と神と宇宙みたいな話をされてたのですごく楽しかったですね。量子力学と神って意外と近いんじゃないかとかね。北野さん独特の考え方とか感じ方があったんですけども、それは非常に興味がありましたね。


北野武さんって、量子力学とか、物理学とか、宇宙論もすごく勉強している方です。「我々は宇宙の一部であって、もし死んでしまっても、意識はどこかに残るかも知れないし、波動で残るのかもわかんない」なんて独特の宇宙観・生命観のお話をしていました。

宮澤正明さん、本業はカメラマンです。この映画を撮影する前は、伊勢神宮の式年遷宮を写真に収め奉納する、奉納写真家として活動していました。
もちろん、普段は人が立ち入れない、伊勢神宮の深い森の中にも、何度も足を踏み入れています。
そんな宮澤さんに、写真家として、伊勢の鎮守の森で見た忘れられない景色を教えていただきました。

◆生命を育む森からのメッセージ
伊勢の森の奥、一番頂上に剣岳っていう峠がありまして、そこから見る森と朝日の関係がものすごいきれいですね。深い森の中、東の方から太陽が昇ってくるときがすごいきれいでしたね。剣岳って剣みたいな岩場があるんですよ。そこに登って撮るんですけれども、伊勢の森の全貌が見えるんです。
朝、こぼれるように森から太陽がバーッと来ます。光が溢れるっていう感じですね。ミスト状態みたいな感じです。
やっぱり伊勢神宮があれだけ広い森を後ろに持っているっていうのは、そこに森とか自然、太陽が出てくる位置なんかもすごくバランスよくデザインされていて、その導かれたっていうのかな、そういう感じはすごくしますよね。人間と自然と森とが生きていくというバランスと、自然に共存してるっていうんですかね、伊勢はね。
ひとつひとつがものすごく時間がかかることではあるけれども、でもその一瞬一瞬をきちんと大切にしなきゃいけない。
伊勢神宮で何を僕はこの10年感じたのかなっていうのをよく最近考えてるんですけども、写真の上では10年間、今でも変わらない現代に生きる神話っていうのをテーマに撮ってきたんですけども、それだけではない、なにか森からのメッセージというんですかね、生命を育む森からのメッセージというものを何か表現したかったのかな。
写真では表現しきれなった思いが表現できたことが非常にありがたかったし、恵まれてたなっていうふうに思いますね。


3回にわたってお届けした宮澤正明さんのお話いかがだったでしょうか。
映画『うみやまあひだ』は1月31日より、三重県明和109シネマズを皮切りに、全国劇場公開がスタートです。
詳しくは『うみやまあひだ』の公式ホームページをご覧ください。

パーソナリティ

高橋万里恵
高橋万里恵

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