今週もプラントハンター西畠清順さんのインタビューをお届けします。
今回は耳慣れない植物のお話しです。
その植物の名前は「パラボラッチョ」。日本語では「ビール腹のおじさん」という意味です。
西畠さんはこの木をもとめて、南米アルゼンチンを旅したそうなんですが、そこで見たもの、感じたことを語ってくれています。

-この番組で先日奄美大島に行ったんですが、そこにあった大きなガジュマルの木を見てとても神聖な感じがしました。そういった畏怖の念みたいなものを木に感じることはありますか?
 それはね、こっちの気分次第で見え方って変わってくるから、同じ木をもう一回見に行っても、その時がハッピーか、もしくはすごい心が痛んでるかということでも違ってくるんですよ。それは音楽と似てて、同じ曲でも悲しい気分の時に聞く時と、楽しくてイケイケの時に聞く時と違うじゃないですか。木も一緒です。
 去年にアルゼンチンに、南米のパラボラッチョっていう、南米版バオバブみたいなユニークな巨木を取りに行ったんです。三日間ずっと森を歩き続けて、「これだ!」っていう木を決めて、現地の人にも手伝ってもらって、なんとか日本に持って帰って来たんです。

こうやって話してしまえばあっという間なんですが、実際はものすごい大変な作業だったんですよ。内陸から運び出して、飛行機に積んで。
 にも関わらず現地の農家のひとが、「来週はここの700ヘクタール全部伐採して畑にするんだ」と言っている。自分では何ヘクタールでも広大な土地という感覚なのに、何千ヘクタールという単位で森をブツっと切るわけですよ。
 なんかそれがすごいギャップだなと思ったんです。つまりそこには何千本も美しいパラボラッチョがある。自分はは一本でも気絶するくらいかわいいわけですよ。それが向こうの人には関係なく、重機でどんどん切ってしまうわけですよね。それを見た時になんか、自分のやってることのちっちゃさと、『あ、でも木を運ぶことっていろんなこと伝えられるな』っていう可能性も感じて、自然に対するその怖さっていうよりも、人間のやってることの怖さで畏怖を感じたことはありますね。
 別にアルゼンチンの農家を悪者にして、一本一本大切に木を運んでる自分をいいと言いたいわけじゃなくて、それが現実だっていうこと。普段我々が使ってる高速道路とか線路、道路、マンションだったり商業施設とか、全部そうやって元々あった木が切り倒されて、掘り取られて、土を盛られてその上に成り立ってる。それを否定するとかそういうのではないし、説教臭く自分が言える立場でも全くない。ただそういうことを知るというのはいい機会だし、いいことだと思うし、アルゼンチンがそれを顕著に示していると感じたんです。
 ボリビアとの国境近いドライフォレストだったんですけど、別に美しい森ではないんですよ。そんなきれいな花が咲いてるわけでもないし、殺伐としてる森なんですけど、パラボラッチョだけが異常に可愛いっていう。まあ僕の好みなんですけどね。


-そんなふうに珍しい植物を探しに世界の森に出かけている西畠さんですが、好きな日本の森ってありますか?
 僕は出身が兵庫県の川西市っていうとこなんですよ。川西市には、日本一の里山といわれている黒川地区という場所があります。里山というのは、人と自然が交差する場所なわけですが、そこがすごい大好きなんです。日本の森は、誰にも負けないくらいありとあらゆる場所に行きましたが、黒川地区の里山の、何かまあまあな感じがいいな、って思います。舗装された道路もあるし、バスも停まるし、自然も人も無理なく共存している感じがいいですね。

-海外からきた木にとって、日本の土地は馴染める場所なんでしょうか。
 それは運ぶ人の器量によりますね。もちろんそれぞれの植物は、その自生地にあるのがいいというのは一般的にはあるんですけど、たとえばじゃがいもの原産地は南米のちっちゃい島だったはずなんですよ。でもそれがいまでは、じゃがいもの産地といえば、北海道や北米や、世界中いろんなところにありますよね。もちろんそれは元々、原産地にあったものなんだけれども、よそに来たらもっと居心地がいいと思って根付いていくものとかっていうのもたくさんあるわけです。悪い例でいうと帰化植物。つまり誰かが持ち込んだら異常に増えてしまったというもの。
 だから必ずしも原産地がその植物にとって天国というわけではないんです。もちろん原産地はそのひとつではあるんですが、コロンブスの時代から、ありとあらゆる植物が海を越えて行き来してるんですよ。だからその中で場所、国を変えても全然そっちのほうが向いてるという場合もあれば、そうでない時ももちろんある。逆に根付いちゃいけないものがそこに根付いちゃって、元々あった自然が破壊されてしまうということもあるわけです。
 日本は公園の花壇を見ても、木を見ても、花屋さん行ってもどこ行っても海外の植物ばっかりになってしまった。食べてる野菜だって9割は外来種じゃないですか。でもやっぱり色んな国の色んな貴重な自然を守ろうと思ったら、自然に立ち入らない、手を加えないというのもありますが、外来種の植物を持ち込まないことの方がその環境を守れたりするというのはよくある話ですね。


プラントハンター西畠清順さんのインタビュー、4回にわたってお届けしましたがいかがだったでしょうか。
西畠さんが世界を旅して手に入れた珍しい植物を見ることができるイベントがあります。
東京・銀座のポーラ ミュージアム アネックスにて7/3〜8/16まで「ウルトラ植物博覧会 西畠清順と愉快な植物たち」が開催されています。詳しくはポーラ ミュージアム アネックスのサイトをご覧ください。


【今週の番組内でのオンエア曲】
・Everything Has Changed(featuring ed sheeran) / Taylor Swift
・呼びにきたよ / 地球三兄弟

パーソナリティ

高橋万里恵
高橋万里恵

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