プロジェクト概要

太古の昔より、森は動物や植物などたくさんの命を育み、田畑や海、川にたくさんのミネラルをもたらし、地域と暮らしを守ってきました。 東日本震災では津波でコンクリート堤防や松林がことごとく破壊される中、その森や、昔からその地方に根差す、深く地面深くに根を張った潜在自然植生の木々たちは、津波の勢いを和らげました。 関東大震災や阪神大震災では、大火により建物が燃える被害を食い止め、防災林として大きな役割を果たしました。 この「鎮守の森」をモデルとした森をできるだけ多くつくることは、災害の多いこの国に生きていく私たちが、後世に伝え残さなくてはならない貴重な知恵であり、自然と共生していく教訓でもあります。 番組「いのちの森〜voice of forest~」では、「鎮守の森のプロジェクト」が行う活動をはじめ、日本のみならず世界各地の森を守る活動を行う人や団体にスポットをあて、森の大切さについて考えていきます。


先週に引き続き、東京からはるか1000キロ南、小笠原諸島・父島在住の写真家で映像作家、MANA野元学さんのインタビューをお届けします。
「東洋のガラパゴス」とも言われ、独自の進化を遂げた生物・生態系をもち、世界自然遺産にも指定されている小笠原諸島。
ただ、人が生活をする中で持ち込んだ、本来は島にいないはずの生き物によって、その固有種の存在が脅かされてきた現実もある・・・
先週はそんなお話を伺いました。
その一方、小笠原では、こうした固有種を守るため、様々なルールを作ることで、島の固有種を守ろうとしています。

 やはり、意図しないところでも外来種を運んでしまうことがありますよね。例えば靴の底についた泥と一緒に紛れている植物の種や、他の生き物といったものが入ってしまう可能性もあります。ですので、できるだけ自然にインパクトを与えない、そして、小笠原の固有種を大切にする、将来残していく色んな取り組みがされています。
 小笠原に行くには、東京からおがさわら丸に乗るんですが、船のタラップに、海水を染み込ませたり足拭きマットのようなものもあります。そこで少しでも靴に付着した植物の種ですとか、泥などの他の生物が入る可能性があるものを取ろうということです。定期船が父島に着いた時にも、やはり同じように海水を染み込ませたマットと、泥落としマットを歩いてから上陸します。他の所でも、たとえば山の中に行く時も、いろんなことがあります。靴の底に付いている泥の中にプラナリアという生き物が潜んでいる可能性があるんです。ミミズのような、細長いヒルのような生き物なんですが、これがカタツムリを食べてしまう。小笠原を世界自然遺産に導いた立役者のカタツムリたちを食べてしまうんです。でもこのプラナリアは、海水に弱いので、海水の染み込んだマットで防ぎます。また、靴底に酢のスプレーを吹きかけるとプラナリアは死んでしまうので、そうやってブロックをします。


〜ちゃんと人間がルールを作って守ろうとしているんですね。小笠原の海の色を”ボニンブルー”と呼ぶそうですね。
 ボニンブルーとは小笠原の独特の青い海の色のことです。ハワイや沖縄の浅くて、きれいな青色のことをボニンブルーだと思ってらっしゃるかもしませんが、ボニンブルーは濃くて深くて青い海の色のこと。”ボニン”は小笠原の英語名で”ボニンアイランド”からきています。本当にきれいなコバルトブルー。暖かい潮が運んでくるので冬の間はあまり見られないんです。夏の間の温かい潮だときれいな青色になります。海に入ると映画グランブルーのような感じですね。青い色に染まる。イルカたちが泳いでいて、ドルフィンスイミング、イルカと泳ぐツアーもたくさんあります。

〜ホエールウォッチング発祥の地が小笠原、いろんなルール作りも元祖だと聞きました。
 小笠原は日本で初めて商業的なホエールウォッチングが始まった場所です。その時にウォッチングの自主ルールも作られました。小笠原はたくさんの鯨類がいますが、その代表がザトウクジラ、マッコウクジラ、ミナミハンドウイルカ、ハシナガイルカ。イルカとクジラは同じ生き物で大きさによってイルカと呼んだりクジラと呼んだりします。4メートルより大きければクジラで、それ以下がイルカ。その4種類が小笠原で見られる代表的なものです。例えば冬の間に出産や子育てのためにやってくるザトウクジラを見るためにウォッチングしている船は、クジラとの距離が300メートルになったら船を減速させます。ザトウクジラの場合は、クジラとの距離が100メートルになったら、エンジンを止めて船を動かさない。マッコウクジラの場合は50メートルです。また、クジラの進行方向には船は侵入しないというルールもあります。ある時、船にどんどん近づいてくる子鯨がいました。クジラから100メートル以内になったら船は動かさないよという自主ルールがありましたけれども、クジラの方から船に寄ってくる分には、関係ないんです。何度も何度も近づいてくるんですよ。そのたびに母鯨が来て「だめですよこんな所にきちゃ」と言っているかどうかはわからないけれども、子鯨が現れると母鯨があらわれて連れて行く、また子鯨が母親の目を盗んで近づいてくる。そのうちに、ウォッチングをしている船の横に来て、ゴロンと横になったんですよ。そして、大きな目玉でじーっとこっちを見ているんですね。クジラは人間みたいに目が前についていませんから、ゴロンと横になってホエールウォッチングをしている僕たちを見るんですよ。僕たちがホエールウォッチングをしていると思っていたら、実は鯨がヒューマンウォッチングをしているんですね。
 また、親鯨も大接近してくることがあります。こちらは大きいんですよ12〜14メートルくらいあります。そんな大きい鯨が船の真横でいきなり、浮上してきて潮を吹くんですね。もうびっくりです。


MANA野元学さんのインタビュー、いかがだったでしょうか。来週も続きをお届けします!
【今週の番組内でのオンエア曲】
・Calling me / EGO-WRAPPIN'
・Big Sur / Jack Johnson
先週に引き続き、東京からはるか1000キロ南、小笠原諸島・父島在住の写真家・映像作家、MANA野元学さんのインタビューです。
「東洋のガラパゴス」とも言われ、独自の進化を遂げた生物・生態系をもち、世界自然遺産にも指定されている小笠原諸島。
きょうは、この島で暮らす生き物たちのお話、いろいろ伺っていきます!


〜小笠原でしか見られない固有種はどれくらいいるのですか?
 小笠原の固有種は昆虫で全体の28%、植物で36%、鳥類は100%なんですね。鳥は8種類しかいません。哺乳類も1種類しかいませんが、それも固有種です。陸産貝類・かたつむりは94%が固有種です。
 小笠原の凄いところは生活圏の中にも固有種がたくさん見られることなんです。僕が好きなのはアカガシラカラスバトという固有種です。森に住んでいるハトの仲間で、公園にいるハトよりもひとまわりかふたまわり大きくて、黒い色をしたハトです。光によっては頭から首筋まで虹色に輝くんですね。アカガシラカラスバトという名の通り、頭が赤いワインレッドの色をしています。小笠原の固有種で国の天然記念物でもあるんです。島では”赤ぽっぽ”という可愛らしいニックネームが付いていて、みんなに親しまれています。
 以前は幻の鳥と呼ばれて、数が非常に少なかったんです。2008年から本格的な保護保全事業が始まったんですが、その当時は地球上で40〜60羽しかいないといわれていました。固有種だから小笠原にしかいない。ということは地球上で小笠原にしか見られない。それが40から60しかいないといわれていました。それを絶滅させないために2008年に行政、研究者、環境NPO NGO、地元の人たちが一堂に会してアカガシラカラスバト保全国際ワークショップを開きました。そこである1つの結論に達しまして、それを実行したことによって少しずつですがアカガシラカラスバトの数が回復してきたんです。それは野猫と呼ばれる野良猫、野生化した猫を島から捕獲をしてなくそうという事だったんですね。というのは、アカガシラカラスバトはちょっと変わった鳥で、地面を歩いて餌を探す時間がものすごく長い。もともと天敵は小笠原の生態系の頂点にいる猛禽類のオガサワラノスリだったのですが、それも天然記念物で小笠原諸島の固有種でこちらも絶滅危惧種です。その鳥が唯一アカガシラカラスバトの天敵で、猫はもともと島にはいませんでした。猫は人間が持ち込んだんです。通常、アカガシラカラスバトが森の中を歩いて餌を食べているぶんにはは、天敵であるノスリに見つかる確率が非常に少ない。上を木が被っているからです。ですので、警戒心なく無防備に餌を食べているところを猫に襲われてしまうんです。僕は写真をずっと撮り続けているんですが、山の中でじっとしているとその鳥が現れてエサを食べます。時々僕の目の前を通っていくときもあります。ある時なんか、餌を探して食べるのに僕の足の上をトコトコ歩いて行ったこともあります。それぐらい無警戒なので猫がいると簡単に捕まってしまうんですね。ということで数百の猫を捕獲しました。そうするとハトの数が少しずつ回復してきました。10年後の今は400とか500羽ぐらいいるんじゃないかと推定されています。10倍増えてすごいと思うかもしれませんが、それでも自然界ではいつ絶滅してもおかしくない数字です。とりあえず猫が野生化したものを100%排除して、東京の獣医師の先生のところに連れて行くために船会社の協力があったり、いろんな方の協力で猫を最終的に里親のところに引き渡します。そして猫たちは、また幸せな第二の人生を送るということをやっています。


〜猫以外にも問題になっているものはありますか?
 特定外来生物に指定されているグリーンアノールというトカゲの仲間です。カメレオンのように色が変わって、茶色だったり緑だったりします。それが小笠原の昆虫をパクパクと食べてしまうんです。食欲が旺盛で繁殖力がものすごい。そのために絶滅してしまった昆虫もいます。オガサワラシジミと言う蝶々の仲間がいたんだが、以前は父島でも少数ですが、見られていましたが、グリーンアノールに食べられてしまって父島では見られなくなってしまいました。グリーンアノールは外国から来る貨物船に紛れて入ってきたようです。今はグリーンアノールがこれ以上奥に入り込まないように柵を設置したり、トラップを仕掛けたりいろんなことをやっています。

MANA野元学さんのインタビュー、いかがだったでしょうか。来週も続きをお届けします。

【今週の番組内でのオンエア曲】
・Don't Lie / Black Eyed Peas
・大空で抱きしめて / 宇多田ヒカル
«Prev || 1 | 2 | 3 |...| 176 | 177 | 178 || Next»

パーソナリティ

高橋万里恵
高橋万里恵

あなたからのメッセージ・ご意見をお待ちしております

各放送局の放送時間

  • JFNヒューマンコンシャス募金は鎮守の森のプロジェクトを応援しています。

ポッドキャスト

  • ポッドキャスト RSS
  • ※iTunesなどのPodcastingアプリケーションにドラッグ&ドロップしてください。
  • 鎮守の森のプロジェクト
  • EARTH & HUMAN CONSCIOUS
  • LOVE&HOPE〜ヒューマン・ケア・プロジェクト〜
  • AIG損保 ACTIVE CARE

PAGE TOP