高橋:森林総合研究所・島嶼性鳥類担当チーム長で
鳥類学者の川上和人さんのインタビューをお届けします。

海底火山の噴火が、もともとあった島を飲み込み、
全く新しい島になってしまった小笠原諸島・西之島。
川上さんはその調査チームの一員として、なんども島を調べています。
そして去年の調査では、噴火の影響で陸上の生き物が全くいなくなった島に、
なんとカツオドリという鳥だけが戻ってきて、
びっくりするほどの大繁殖していた!というのがいまの西之島。

そしてこの「鳥」。
離島に生態系が生まれるには、ものすごく重要な存在かもしれない・・・。
鳥の専門家・川上さんはそう考えています。




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川上:調査して改めて西之島の凄さは
変化への鳥の適応力がすごい
。カツオドリは噴火前から草の上に巣を作っていた。
巣材にも使うし。しかも断熱材になるんだと思う。
地面から直接熱が伝わらないので
草のあるところを好んで椅子を作っていた。
が、噴火で草がなくなってしまった。
巣作りを止める、他の島へ行く選択肢もあるが、
巣材を使わずに小石をたくさん集めて
巣を作るカツオドリがいたり、漂流物・海に浮いている物を拾ってきて、
人が捨てたプラスティックなどで巣を作ってなんとか頑張っている。
場合によっては一切巣の材料を使わず
直接卵を産んで子育てしているのもいる。
ここまで行動を変えられるんだなとびっくりした。


高橋:新たな進化の過程を見ているような?

川上:生物によってはどうしても
決まった行動しかできないものもいるが、鳥は自由自在な部分がある。
好みもあるのでこれが一番!というのもあるが、
それがダメならこれでどうだ、という感じで別の行動をしている。
西島の変化があったからこそ見ることができた。
鳥たち本人には申し訳ないが、
そういう変化で彼らは大変でも研究者にとってはチャンス。
これを自然の実験と呼ぶ。我々が島を焼き尽くしたり
埋めてしまったら怒られるのでそういう実験はできないが、
自然にそれが起きた時にどういう変化をするのか
きちんとモニタリングして記録することで新しいことがわかってくる。
カツオドリは実はこんな行動ができる、
というのがわかってきた。


高橋:でも鳥がいるなら糞が出て新しい生き物が・・・鳥以外の生き物は?

川上:実はいまはほとんどいない。
いたのが海鳥なのが面白い。
普通の陸上の生物は陸上で食べ物を食べたりしなきゃいけない。
そうすると他に生物がいないと生きていけない。
例えば植物が定着するには肥料になる養分、
淡水の水がないといけないが、
実は海鳥は食べ物は海で魚などを食べている。
陸上に生物がいなくてもそこに巣を作ってしまえばいいだけなので
生きていくことができる。
そうすると全く他の生物がいない不毛の地に
彼らは最初に住み始めることができる。
例えば偶然そこに蜘蛛がやってくることもあるだろうが、
蜘蛛はほかの小さい昆虫を食べるのでそれがいないと生きていけない。
植物を食べるカメムシの仲間も植物がないと生きていけない。
ハエなども動物の死体がないと生きていけない。
他の陸上の生物に依存している。
ところが海鳥は陸上の生物に依存せず陸上で生きていける珍しい生物。
だから海鳥がいることで生物のいる環境が出来上がり、
鳥の糞によって養分が持ち込まれる。
彼ら自身が死んだ体自体が有機物で分解されて
島の土の中に養分を持ち込む。
海鳥は移動性が強いので体に種をくっつけて
他の島からやってくることがある。
そうすると植物を運んでくることもできるので、
いろんな形で鳥がきっかけになって
西島に生物が住み始めるのではないかと考えている。


高橋:それを見ていけるのはすごいですね

川上:そうですね。
このプロセスはいままで世界の誰も見たことがないような
プロセスだったと思う。


高橋:そんななか西島でハエが見つかったと伺いました。

川上:調査後の発表でしたが、実はこのハエはシラミバエ。
これは鳥に寄生するハエ。
ふつうハエはバナナ置きっぱなしにするとよってくる印象があるが、
そうじゃなく鳥の体の上に住んでいる。
さきほどの植物の種子と同じで、
これも海鳥がいたから見つかったと言える。


高橋:自の生態系ができるなら、ガラパゴスとの比較は?

川上:ガラパゴスはいろんな生物が進化したことで有名。
象亀やイグアナ。それらが一体どうやって進化してきたか、
定着したかはよくわかっていない。何しろ誰も見ていない。
推測はできる。DNAを調べれば近縁種が南米にいるから
おそらくそこからきたと推測はできても、
それをちゃんと見た人はいない。
でも西之島は本当に新しい島ができたばかりなので、
ここで何が起こるのかを見ることができる場所。
例えばある種類がそこにいたということを見た時に、
それがいたことはわかっても途中で他の種類が
やってきて絶滅していなくなったということがあっても、
それはあとに残らない。
島という狭い環境でどうやって生物がどういう順番でやってきて、
なにが定着できて、なにが定着できずにいなくなったか、
どういう種類がいたから次のことが起きたかなどは、
途中の段階を見なければわからない。
その結果が見られるのがガラパゴス。
結果に至るプロセスを見られるのが西之島。
ここでこれから何が起こるのかみんなワクワクしている。



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高橋:川上さん、鳥に関する面白い本の日本語版を監修されたばかり。
タイトルは『鳥になるのはどんな感じ?見るだけでは物足りないあなたのための鳥類学入門』「鳥の生活や行動などをイラストでわかりやすく解説した本です。

一般の人にも楽しめる内容になっているので、ぜひ多くの方に
ご覧いただけると嬉しいです。」とのことです。羊土社から出ています。
鳥のすごさをさらに知りたい人、ぜひお手に取ってみて。



【今週の番組内でのオンエア曲】
・バラの花/くるり
・gone feat.曽我部恵一/あらかじめ決められた恋人たちへ

高橋:さて、今週は、いま世界中の生物学者が注目しているという
日本のある島をめぐるお話です。
ゲストは、鳥類学者・川上和人さん。
海底火山の噴火によってどんどん面積を広げるあの島、小笠原諸島・西之島の
調査チームの一員として知られています。
西之島がなぜ世界から注目されているのか。島でいま起きているコトとは。
いろいろ伺いたいと思います。




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高橋:今日は、本州からはるか南の海の彼方で、
私たちの想像も及ばないスゴイことが起きている「あの島」のお話です。
スタジオにお越しいただいたのは森林総合研究所・島嶼性(とうしょせい)鳥類担当チーム長で鳥類学者の川上和人さんです。よろしくお願いします〜。


川上:島嶼性とは、簡単に言うと
「島の」という意味だと思っていただければと思います。
僕は生物学者ですが生物学の中で島の生物を研究するというのは
一大分野になっているんですね。


高橋:島といえば川上さんは鳥類学者としてあの島にも何度もアクセスしていらっしゃいます。小笠原諸島の西之島。その調査チームのメンバーでいらっしゃいます。まず西島の現在に至るまでの経緯を把握しておきたいんですが?

川上:2013年に噴火したのが有名なんですが
その前にもいちど噴火をしていまして1973年に噴火をしています。
偶然僕が生まれた年なんですが、
それまではとても小さくて7ヘクタールしかない
小さい小さい島だったんですね。
ところが73年の噴火で、近くで海底火山が噴火して
海底火山とつながる形で面積が大きくなって、
大体30ヘクタール弱くらいの大きさになりました。
それから40年ほどは特に噴火はなかったんですけれども、
2013年から大きな噴火がまた起こりまして、
その結果島のほとんどの部分が溶岩と火山灰に
埋まってしまったんですね。
それで2015年くらいまで一旦大きな噴火終わったんですが
2019年からまた新たな噴火が起こってしまいまして、
2020年6月、7月くらいまで続きました。
この時にものすごい量の溶岩と火山灰が出てしまって、
完全に過去の島は全て埋まってしまって、
全く新しい島が出来上がったというのが西之島の、
僕ら生物学者にとって興味深いところになります。


高橋:このぐらいのスピードで島が、海底火山が大きくなっていくのは珍しいですか?

川上:なかなか珍しいことですね。
世界的に見るとアイスランドにスルツェイという島があって、
これが1963年ごろにやはり火山の噴火で新しくできた島なんですね。
あと有名なのが1883年くらいからの噴火でできた
インドネシアのクラカタウ島というところにある小さい島が
新しくできたりしたんですが、
実はそういう島は他の島からすぐ近くだったり、
大陸からすぐ近くにある島でした。
隣の島まで5キロとか10キロくらいしかないそういう島だったんですね。
ところが西之島の場合は本当に孤立していて
、例えば本州から1000キロくらい。
隣の島まで130キロもあるという環境なんですね。
これほど孤立したところで新しい島が出来上がったのは、
実は人類史上初めてです。その点では日本だけでの
イベントと言うよりも、これは世界的に見てすごいことだと
考えてもらえればと思います。


高橋:そんな凄いことが東京から1000キロくらいのところで・・・東京都ですよね。。。

川上:東京です。だから首都・東京でそんなことが
起きていることも実感して欲しいなと思います。



川上:最近も海上保安庁が定期的に観測に行っているんですが、
10月、11月の観測の記録なんかも発表されていて、
そこで見るとまだまだ噴煙をたくさんあげていて
もくもくと上がっていて、まだまだ活発な場所なんだなと
思いますね。我々人間にとっては1回の噴火が
1年続くと長いと思うんですけれども、
地質学的な年月を考えると1年なんて一瞬ですし、
1回の噴火のまとまりが5年から10年続くのは
それほど珍しくないのではないかと思います。
いまが直径2キロくらいの、
ほぼ円だと思ってもらえれば良いと思います。


高橋:結構立派な島になっているんですね。

川上:そうですね。
私も噴火の前から環境省の調査で2019年の後半に
西之島には調査に行っていたんですけれども、
噴火の前は本当にとても小さい低い島だったんですね。
標高が20メートルから30メートルしかない平らな島だったんです。
それが噴火が起こってから行ってみると、
標高はたぶん200メートルを超えているなという状況で、
火山灰がものすごい量出てしまったんですね。
そのためにすべての地形が火山灰で覆われてしまっていて、
溶岩で前はゴツゴツしていたんですが、
そのゴツゴツが全てが火山灰で埋め尽くされて平らになっていたんですね。
雪が降った後って全てが雪に包まれて平らになりますよね。
あれと同じような状況が火山灰で
出来上がってしまったと考えてもらえれば良いと思います。


高橋:色としては茶色?

川上:どちらかというと灰色ですね。何しろ火山灰というくらいなので。まさに灰の色なんですよ。

高橋:上陸はできるんですか?

川上:それが去年の調査では残念ながら
上陸調査は難しくてですね。
まだ噴火が終わったところでしかも噴火も
断続的に時々噴火をする状況だったので、
上陸は危険だと言うことでまだできない状態でした。
そのため、去年の7月も9月も環境省の調査で行ったんですけれども、
船で行ってその船からドローンを飛ばして陸上の調査をしたりとか、
後は島の周りの海洋生物、海の中の生物調査なんかも行っています。


高橋:ドローンで見ると生き物がいたりするんですか?

川上:2019年の調査の時にも
実は昔の島がちょっとだけ残っていたんですね。
そのためにそこには植物も生えていましたし
昆虫なんかも生き残っていたんです。
ところがその島の部分も全部埋まってしまって、
何もいないのかなと思って言ったんですけれども、
やっぱり植物はもうどこにも見ることができなかったですし、
ただ、鳥だけはものすごい数が生き残っていました。
これは海鳥なんですけれども、カツオ鳥という名前の鳥とか、
アジサシの仲間などそういう鳥があちこちで繁殖をしていて。
これはびっくりしたんですけれども、
噴火があったのがそれこそ2020年の6月、7月くらいまで。
そこからわずか1年しか経っていないのに、
その時にはちゃんと巣を作って卵を抱いて繁殖をしている
姿を確認することができました。


高橋:じゃあ鳥たちはそこが良いと思ってそこに巣を作っているんですもんね

川上:不思議な話ですよね。
我々人間が考えるとそれだけ噴火で環境が変わってしまって
全てがいちど溶岩で焼き尽くされて、
その上火山灰ですべてを追われてしまって
全く違う環境になってしまったわけですよね。
にもかかわらずその鳥たちはその島で繁殖を、
何もなかったように続けているんですよね。


高橋:だって周りに行けば小笠原諸島ですからいろいろ草木も豊富な島もあるのにと思っちゃいますもんね

川上:隣の島まで130キロといっても
鳥にとってはすぐなんですよね。
1時間2時間飛べば行けるはずなのに、
他の島に行かずに西之島に居続けたというのが
すごいなと思ったんですけれども。


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高橋:このインタビューは、トンガ沖の海底火山噴火の前に行ったものです。
いずれにせよ海底火山によって地球は今も変化を続けている、ということを改めて感じさせられるお話でした。



【今週の番組内でのオンエア曲】
・I NEED YOU/ジョン・バティステ
・Bolero/Def Tech

高橋:東京・町田市、神奈川県・川崎市/横浜市を流れ、東京湾にそそぐ「鶴見川」。 この川が、いま国を挙げて進む「流域治水」のお手本になっていると言います。
なぜか。この鶴見川流域は、40年前から流域治水に取り組んできた先駆者だから。

市民活動として、
鶴見川の流域治水や、流域という考え方の啓発を続けてきた
慶應大学名誉教授・岸由二さんのお話です


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高橋:鶴見川が40年前から治水をやっているのは、土手を作ったりということですか

岸:日本の法律。低い場所の大水害を抑えるために
河川法というのを作って川を管理するんだけど、
川に入ってきた水をコントロールして水害にならないようにしよう。
それから下水道というのがある。
街に降った雨を川にもっていくまでは下水。
河川という帯の水の流れの首、下水道という人間の作った管、
この2つをうまくやって氾濫を抑えるうのが日本の治水の基本なんです。
従来のやり方。でももうこれがだめなわけだ。
鶴見川の場合はあまりにすごい勢いで都市化しちゃったから、
これからいくらお金を使って川を深くして幅を広げて
下水道を整備してももう間に合わないとわかっちゃったから
40年前に、河川法でも下水道法でもないことを本気でやった。
ひとつが緑を守る。
でかい森があれば降った雨の水は森が吸収するでしょう。
保水。だから森を守ることが治水をすることだと
町田の源流に1300ヘクタールくらいのなんで
こんなにでかい森があるんだというのが残されている。
熊と鹿以外、猪も来れば猿も来る。


岸:もう一つは、
急いで街にしない地域が都市計画上決まっていて
そこはなるべく開発しないようにしよう
というのが治水上の要請でお願いしてきた。
だから緑を一生懸命守ってきた。
それでも田んぼや畑や小さい森は街にしちゃうよね。
その時に保水力が落ちる。
街にしちゃうとコンクリートやアスファルトにしちゃうから
水が出てきちゃう。出てきちゃう水のある比率で
分量を池にして貯めてとお願いする。
だから鶴見川の開発はその後も進んでいるんだけれども、
例えば1ヘクタール開発したら500トン、
500立方メートルの水をためてとお願いをする。
まちづくりの指針やその他でお願いをして、
いま鶴見川にはそういう池が5000。
鶴見川って池だらけなんです。町田にはでっかい池がある。
横浜や川崎は大きなビルの下に地下貯留槽と言う池がある。
その5000で300万立米の水を溜める。
河川の整備で川をしっかり大きくして川を広げて池を作ったりもする、
下水道では地下にでかいトンネルを作って
降った水をトンネルに溜めちゃうということをやっている。
ものすごい金を使っているけどそれが従来の治水。
そうじゃなくて流域でやるというのは河川法でも下水道法でもない、
緑はなるべく残して田んぼを埋めないで、
街を作ったら保水力が減る分くらい池で溜めてください
というのをやって41年。
これから流域治水は日本中でいろんな形で始めるということ。


高橋:今そうやって治水を続けてきた鶴見川流域の氾濫は?

岸:戦後の神奈川台風が20,000件、
1966年に19500と言われているがほぼ20,000。
その後たいした雨でもないのに1000件、3000件、2000件と
続いちゃったので1980年に総合治水を始めて、
1982年、総合治水を始めて2年後に数千件規模の私の実家は戦前から
全部水没してるんだけれどもその時もしました。
それが最後で以後かなり大きな雨が降っても
鶴見川流域では川が氾濫すると言う事は無いんです。
あえて数量で言うと50年に一度降るくらいの雨でも
鶴見川は普通の降り方をしてくれれば大氾濫しないと思います。
じゃあ100年に1度の雨は? 氾濫します。
でも国土交通省は1000年に1度の豪雨を降らせたらどうなるか
と言う浸水ハザードマップを公表していて、
その図によると鶴見川の僕の育ったあたりは
5メートルから10メートルくらい水没する。
どうしますか。打つ手はない。


岸:これを流域対策だけで、流域治水だけでできるかわからない。
そして日本中の川はそこまで到底行っていない。
50年に1度の雨の大丈夫な状態になっているのはぜいたくな川。
10年に1度で溢れちゃうとかそういう川が
大半じゃないかなと思います。
鶴見川はそんなにお金を使って領域で治水をやってきても、
まだ50年に1度の雨のくらいしか耐えられない。
100年に1度の雨が来たら打つ手はない。
温暖化では本当にそういう雨が来るなら
もっととんでもないことを考えなきゃダメ。
流域で考えなきゃダメという状態です。
それで日本全国ここ10年ぐらい九州でも関西でも東北でも
北海道でも大きな河川が大氾濫しているでしょう。
これ流域治水でどこまでうまくやれるか、
本気でやらなければいけないところに来ている。
やってもすぐに100年に1度の雨に耐えられるようになるか
というとならないから、本当に冗談ではなくて
50年、100年、200年かかる仕事だと思います。
極端なことを言えば水没しそうな街はどこかに移動する
ということも新しい治水の視野に入っているから。
もうしょうがない。
東京の低地帯の住宅地は基本的には武蔵野台地に
引っ越しましょうと言うのも冗談じゃない時代になるかもしれない。


高橋:流域の話を変わってきましたが、
たどって楽しむ歴史散策、自然散策が面白そうですが岸先生お勧めの流域ってありますか?


岸:ぜひ遊んでほしいとお勧めすると小網代と鶴見川しかない。

高橋:鶴見川だったらどういうところがオススメですか?

岸:面白い仕掛けがいっぱいあって
流域水マスタープランという変なことを始めた。
治水は流域でやるのはもちろん。汚染問題も流域でやろう。
自然保護も全部流域でやっちゃえ。
地震対応もできる事は流域でやろう。
ついでにやる子どもたちを育てるときに横浜の子ども、
カワサキの子供、町田の子供じゃなくて鶴見川の子供で育ったら
もっと面白いじゃんと。子
育て地域文化づくりも流域でやりましょうという5本柱で、
鶴見川流域・水マスタープランと言うのをやっているんです。
それを始めて17年。そのための広報センターが
小机と言うところにあります。
鶴見川流域インフォメーションセンター。
流域センターというのがある。
治水のことから自然の事から歴史の事から下水の事から
全部勉強できるようないろんなツールがあって、
鶴見川に暮らしているお魚が水族館で
市民団体の応援で何十種類か泳いでいる。
ぜひその施設に行くと良いだけではなくて、
川沿いに歩こうと言うのを励ましているから、
実は鶴見川河口から源流まで基本的には
500メートルに一本ずつ距離杭が入っているんです。
ここは河口から何キロで源流から何キロと。
横浜市鶴見区鶴見駅で駅を降りて鶴見川のところまで歩いて
10分ぐらいまで行けるから、オススメですよ。
所々こんなすごい絶景があるのかと言う、
甘く見ていると鶴見川すごいと言うところがあります。
小網代はもっとちっちゃいから。
支流が合流すると水が増えるから土が増えて台が広がる。
また合流すると土が増えて、
合わせて生態系そこに植わっている植物がどんどん変わっていて、
海に行って谷が全部集めたドロで干潟があるねと言うことも全部わかる。


高橋:小網代で流域体験できますよね

岸:30分で体験できちゃう!

高橋:これからの季節はどんな景色ですか?


岸:寒いです。
寒いけども、寒い方が流域の構造はよくわかるよね。
緑が邪魔をしないから。ここで合わさって川になっている。
小網代って源流から海に行くまで5回に合流して海に行くんです。
手に取るように流域ってこうなっていてわかるんです。
冬はオススメ。防寒対応をちゃんとしていただいて。
三浦半島先端でも海風が入ってくるから非常に寒いです。


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◆岸由二さんの最新刊「生きのびるための流域思考」は、ちくまプリマ―新書から発売です。

【今週の番組内でのオンエア曲】
・THE FIRST TAKE/milet×Aimer×幾田りら - おもかげ (produced by Vaundy)
・Skylight/Gabrielle Aplin

 高橋:今週も引き続き「生きのびるための流域思考」の著者で、
慶應大学名誉教授の岸由二さんのお話です。
雨の水を集めて川にする地形・・・「流域」。
実はこの考え方が、水害対策にも有効だということが分かっています。
神奈川にお住まいの方ならわかると思いますが、「鶴見川」という川が
そのお手本になるということなんですが・・・どういうことか、岸さんに伺います。




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高橋:山に降った雨の水が集まり、いくつもの川の流れを作り、低い土地へ流れていき、そして海へそそぐ。その雨水を川の流れに変える地形=流域。 日本はこの「流域」がいくつもパズルのように組み合わさって国土を作っています。 そしてこの流域をベースに考えることが、災害への備えとして重要と伺ったんですが、メジャー流域みたいなのはありますか?

岸:例えば港区役所なんていうのは渋谷川と言う川があって、
青山や渋谷は渋谷川の上流の方で、
渋谷区から港区に変わると古川と名前が変わっちゃうんですが同じ川。
渋谷川の流域なんだが重要で凄まじい雨が関東地方に振ると、
利根川や江戸川、荒川が全部一緒の川になって
すごい洪水になって降りてきて、
多分港区役所の玄関の先ぐらいまで来るんです。
だから大雨が降ってとんでもない大雨が降ったときの港区役所は
利根川流域かもしれない。


高橋:流域が広がる?

岸:流域は固定されるものでは無いから、
国土交通省の地図で見ると、ここは鶴見川の流域ですと言う町があるが、
大雨が降ると
「多摩川の水が3メートル、鶴見川の水で1メートル」と書いてある。
これは何かと言うと大雨が降ると多摩川からすごい水がきちゃうから、
多摩川の方が水没する。普段は鶴見川の流域なんだけれども
大雨の時は繋がっちゃう。
ちょっとややこしいんだけれども
、日本列島にいる限りは本当に特殊な場所を除いては
必ずどこかの流域の中にいます。


高橋:だとすると流域を自分たちでどう意識するのか、良い方法はありますか?

岸:2つあります。
1つは自分の住所がなんという川の流域にあるか調べようとすると
河川管理者は洪水に対応するために必ず流域地図を持っているから、
大きい川であれ小さい川であれ、
それが公表されていて検索可能だったらわかります。


高橋:わからないかもしれない?

岸:公表されてなければわからない。
もう一つは、公表されているされていないにかかわらず
自分で作る手がある。
自分で作る一番良い方法はいま住んでいる場所に降った雨が
どこに行くか雨水にくっついていく。


高橋:ちょっと面白そうです

岸:僕は慶応のゼミのような授業で、
雨が降ったら分水界探検隊と言って、
雨の日は教室ではなく雨水を追いかけて
慶応のキャンパスに降った雨がどこに行くか、
傘をさしてみんなで歩く。
追いかけられます。普通の傾斜がある土地だったら、
東京だったらどこでもできるんじゃないかな。
自分の家に降った雨がどこの川に入るかたどっていけるんですよ。
行ったら結構大きな川だったら必ず名前がある。
神田川だとわかったら、
自分は神田川に雨が流れていくところに住んでいるんだと。
それで神田川流域の中にいるんだから、
流域の形を決めるにはどうしたらいいかというと
その場所から川が流れてくる方向へ上がれば源流にでちゃうでしょう。
神田川だったら井の頭公園に行っちゃうじゃないですか。
支流の水をたどったり自分で探検ができる。


岸:自分はどこの川とくっついている人なのかを
リバーネームと言うことにして、
これは何かと言うと、クリスチャンの人のセカンドネームってあるでしょ。
そこに川の名前を入れる。
うちは、降った雨が鶴見川に行くから岸鶴見川ゆうじ。
生まれた場所でつけたい人は、
僕は目黒川のほとりで生まれたから岸目黒川ゆうじ。
生まれて育って今もずっと生まれて育って今もずっと鶴見だから、
岸目黒川鶴見川ゆうじ。
僕は仏教神道系なので三途の川を渡るかもしれないので、
わたると言う事は絶対にさんずの川の流域に行くわけだよね。
であれば、岸目黒川鶴見川三途川ゆうじになったら安らかじゃないですか。
そういう形で自分の領域を見つけることができるよと
アイスブレーキングでたくさんの人が集まって、
顔見知りじゃないでしょ、リバーネームを書いてくださいと。


高橋:ゼッケンみたいにして?

岸:岸北上川ゆうじとかなるわけですよ。
2、3分しゃべって良いと言うだけで打ち解けちゃう。
その時に、普通の自己紹介をすると僕は何々大学の何年生とか、
なんとかと言う会社で課長をやっていると言うつまんない話になるでしょう。
でも川で自己紹介をするんだから、
魚取りをしたとかしないとか洪水に遭ってひどい目にあったとか
面白い話になるでしょう。
これはとってもうまく使えるんです。


高橋:リバーネーム、自分はこの流域の人間だと、そうすると災害の時にどう役立ちますか?

岸:そこから流域探検が始まって自分のいる場所は
流域のどういう場所か、例えば流域というのは雨の水を集めて、
集水と言うんですが、集水されたものが流水になる。
侵食と運搬と堆積という作用を押しながら海に排水されていきます。
だから集水流水排水と言うのをするんだけど、
その途中で保水、降った水が川に行かないで池に止まったり。
遊水と言って溢れて田んぼに止まったり、
氾濫したり、それで海に行く。これは必ず川はやるんです。
川の必然だから。川の機能なんです。


岸:僕が今住んでいるところは
鶴見川の源流の標高125メートルの台地にいるから、
ここは降った雨が集水されるけど氾濫しないんです絶対。
今私が事務所を持っているところは横浜市の綱島と言うところだから、
大きな支流がいくつも合流するところなので大氾濫するんです。
だからどこに住んでいるかで、
川の下だったら海の水が来るかもしれない、津波も来る。
大雨が降るとすごい洪水が来る。


高橋:その流域をベースを考えるお手本が鶴見川なんですね。横浜市だったり川崎市だったり、町田市を通っている川ですね。:


岸:源流が町田市で川崎や横浜を貫いて東京に注いでいる。
それは何故かと言うと鶴見川と言う川だけ、
都市化が激しかったから日本の一級水系の中でも
度はずれに水害が多かったんです。
2万軒くらい水没する大氾濫が戦前と戦後にあって、
それがあるので鶴見川だけ、1980年、40年前に流域治水、
流域で治水をやると国が決めたんです。
そこで僕はずっと育って氾濫が減ってくるのも体験していて、
しかも総合治水と言う領域で治水をする
応援団の市民組織をお世話しているわけ。
だから国交省と連携して自治体と連携して企業も巻き込んで
流域で治水をする。
でも治水だけじゃもったいないから自然環境の保全とか
汚染の問題とかそれも流域でやっちゃおう
と言うのをみんなでやっています。
日本の一級水系108がこれからやることを
もう40年前からやっている。
その川の経験、流域で治水をするとどういう良いことがあるか、
過去、現在、いっぱい課題があってまだまだ本当に温暖化も
本当だったらとんでもなく起こるよということを書いたのが
「生き延びるための流域思考」。


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高橋:この流域というものについてさらに詳しく知りたい方は
◆岸由二さんの最新刊「生きのびるための流域思考」が、ちくまプリマ―新書から出ています。




【今週の番組内でのオンエア曲】
・琥珀色の街、上海蟹の朝/くるり
・Rainbow/G Love&Jack Johnson

高橋:今週は、山と谷、森と川、平野と海といった自然を
大きくとらえる考え方、「流域」にスポットを当てていきます。
お話を伺うのは、慶應大学名誉教授の岸由二さん。
実はこの流域という概念、生物多様性はもちろん、
ここ数年、相次ぐ水害を考えるうえでも、とても重要なもの。
ぜひ、知って頂きたいと思います。


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高橋:慶應大学 名誉教授の岸由二さんです。
岸さんとは、2016年にお会いして以来で、
場所は、神奈川県・三浦半島にある「小網代(こあじろ)の森」。)源流から海までというとすごい距離を歩いたような気がするけど、1200メートルしかない小さい流域なんですね。
いろんな生き物を見ながら流域を歩いたのを覚えていますが、まずは流域という考え方について。一緒に行った小網代という場所がすごく象徴的な場所なんですよね。


岸:あそこは緑一面の窪地、70ヘクタールくらいが
保全されているんです。どういう理由で保全されているかというと、
あの緑一面に降った雨が浦の川という小さい川を作る。
その小川が源流から流れて上流、中流と行って干潟を作る。
雨の水を川に変える地形を流域というんです。
別の言い方をすると川に雨の水が集まる地形と言ってもいいんだけれども、
そう言っちゃうと川が見えないところは流域じゃない気がするでしょう。
普段は川がなくてもいいんです。雨が降りました、
降ったらその雨が集まって川になっちゃった。
そういう水の集め方をする地形を流域というんです。


高橋:てっきり川の近くが流域だと?

岸:日本の有名な国語辞典のいくつかが、
川の周りで大雨の時に川幅が広がって流れるでしょ、
それを流域と呼ぶという間違った定義を間違って書いているんです。
それは氾濫原という。川が大雨の時に幅広く流れる、
それを流域だと今も思っています。でも全然違う。
雨の水を集めて川にする地形のことを流域といいます。
これは国際定義なので誰かが思いついて言っていることではないんですね。


高橋:だからたぶん流域と聞いて自分たちが思っているものよりももっと広い感じですよね。



岸:そうです。
それで困るのが小学校・中学校・高校、大学、
一般社会でも流域は教えないんです。
義務教育で流域について習った人はいないはずなんです。
川の水は流域という地形で集まってくるということを
書いてある教科書はないんです。国語辞典も間違っている。
学校でも教えてない。
でもそれを知らないと大雨に対する対応はできないんだから困っちゃうよね。


高橋:そうですよね。雨が降って急に川になるわけではなく、道があるんですもんね

岸:小網代というのは70ヘクタールという
そんなに大きくないんだけれども、
谷のてっぺんから海まで雨の水を集めて
1本の川になるのをそのまま観察できる。
だから地形が天然記念物なんです。
それがあそこは保全されている最大の理由です。


高橋:でも岸さんの専門は進化生態学ですから、生き物の進化、生態を研究する学問だというのはわかるんですけど、どうして流域と関わるんだろう。

岸:僕は一応大学で助手になって助教授になって
教授になるアカデミックキャリアというのをたどっているんです。
進化生態学と言われてもわからないかもしれないけど、
数学を使って生き物の適応的な変化をあれこれ理論的に分析すると同時に、
生き物の習性とか行動を研究するというのをやっていたんです。
だから僕のアカデミックな関心の中に流域は無いんです。
それで教授にまでなっちゃって。あえて言うと2つあって、
生態学って僕が中心でやっていたような生き物の進化を
考える生態学ばかりではなくて、生態系生態学というんだけど、
地域の自然をどうするか、例えばこの街を汚染のない街にするには
どうしたらいいか、水害にならない街にするにはどうしたらいいか、
地域の自然のことも含めて、雨の動きや森の構造、
自然の作る秩序に基づいて生態系を考えるのが正しいと思いついて
いろんな論文を読んで、地形に雨が集まる水循環という
現象の起こる流域という地形で生態系を考えるのが良いと。
それで小網代は自然保護をするのに流域は絶対にうまくいくはずだ、
それはうまくいったんだけど、それで自分の育った鶴見川という所では、
街全体を災害がなくて自然と共存できるような良い街にするには
流域で考えるのが正しいということで応用してきた。
だから流域は市民活動でやってきた。




岸:もう一つ、人間は言葉をしゃべるでしょう。
言葉という本能を持っている動物なんですよ。
それとおんなじで人間は地図を作る本能を持った動物だと思っているわけ。
中学生から高校生位の頃から、
なんで僕が遊んで育った場所を呼ぶ地図ができないんだろうって
ずっと悩んでいたんです。


高橋:考えたことがないんですけどどういうことですか?

岸:僕が育った街は横浜市鶴見区〇町〇丁目。
でも僕はどこで育ったかというと、
鶴見川の脇で川で遊んで育って、橋で川を渡って向こうの丘に行って、
田んぼとか谷戸という小さな谷で魚取りをしたり
虫取りをして遊んで、採取狩猟民みたいにして育ったんですよ。
体の中にある地図は山とか川とか谷でてきている。
それをなぜ横浜市とか、僕が決めたんではない鶴見区とか、
なぜそうなるの。どうやったら自分の体の中にある、
本当の地図と感じているものを言葉にして
人に伝えられるかと考えていた時に、
全然別の市民運動で使っていた流域が役に立つというのがわかって。
流域って雨の降る大地を隙間なく全部埋め尽くしているんです。
隙間がないんです。日本列島は全部流域で分けられる。
しかもひとつの流域は町や番地みたいに細かく分けることができる。
例えば僕の育ったお家は、
「多摩三浦丘陵区・鶴見川本流流域・下流・潮田の小さい水路脇・南」
とか言うと位置がわかる。
僕のいた慶応大学の研究室なんかもっと面白くて、
「鶴見川流域・矢上川支流の流域・松の川という支支流の流域・
一の谷という支支支流の流域・その北の方にある第二校舎」
といえば、行政地図は何も知らなくても
僕の研究室にこんにちはって来られるでしょう。


高橋:知っていればですよ。流域を知っていれば!

岸:人類は二本足地球の上を暮らしている
400万年ぐらい経っていますが、
その99.9%は最初狩猟民をやっていたんです。
都市なんかないんです。畑なんかないから、
じゃあ今度あの山の向こうでウサギを捕まえようと
仲間を話しとするときに、もし言葉で伝えているとすると、
山とか川とか谷を使って地図を喋ってるんです、絶対に。
それは人類が全部忘れただけだよね。
でも僕はたまたま中学2年生まで
ほとんど採取狩猟民のような暮らしだったから。
でもみんながどこにいたって何かの流域のどこかにいるんだ
というのが母地図として共有されるようになると、
こんな街を作ったら何をどう努力したって
崖崩れは起こるでしょということが
ごく当然のようにわかると思っているんです。
ただそれには200〜300年かかる。


高橋:流域で地図を作れるし理解ができるし、流域という考え方が最近相次いでいる水害とかそういうことを考える上ではめちゃめちゃ重要なんですね。

岸:というか水害というのは流域という地形で起きるから。
その上に生き物の世界が広がった流域という生態系だから。
その上に人間は流域という地形や生態系の必然やロジックを
無視した生活圏を作っちゃったから事故が起こっている。


>>>>>>>>>>>>>>

高橋:慶應大学名誉教授・岸由二さんに、
「流域」という概念について、お伺いしました。
来週もこの続きをお送りします。


◆岸由二さんの最新刊「生きのびるための流域思考」は、筑摩書房から発売中です!



【今週の番組内でのオンエア曲】
・ 君とdrive / YONA YONA WEEKENDERS
・ Same Love / マックルモア&ライアン・ルイス
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高橋万里恵
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