今週の話題は、森でも海でも川でもありません。
自然が作り出したモノ・・・という意味では同じなのですが、どんな自然物よりも、歴史が長くて、ずーーーっと昔からそこにあるもの。

それは「岩」です。巨石ハンター」という肩書で、世界中の巨大な岩を撮影し続けるカメラマン須田郡司さんをゲストにお迎えして、ぜ「巨石」を追いかけるのか、石の魅力についてお話を伺います!


 私は石の声が聞こえるんですね。というとちょっと変かもしれませんけれども(笑)。ただ、なにか石というのは人間に限らず、何かメッセージを発しているような気がするんですね。石というのは無機質といわれていて、植物とか木は生きてるというイメージがありますよね。でも、石はなにか、生きていないようなイメージがあるんですけど、私は人間とか植物と違って、すごいゆっくりしたスパンで呼吸していると感じるんですね。それで、石を見ると思わず触ってみたくなって、石の鼓動というか、石の声を聞きたいという思いでVOICE OF STONEというプロジェクトを立ち上げました。そして日本中、世界中の巨石を撮影に出かけて旅をしています。

〜考えてみれば、すごく大きい石がそこにあったとして、自分より遥かに先輩というか、もう何千年も前からそこにいて、その景色を見ているんですよね。、、
 まさに地球が生まれた当初から石はあると思うんですね。ですから、何億年も前からあって、石から水が生まれたといいますし、それから生物が出てきたということを思うと、やはり石というのはあらゆる生物の源みたいな、そんな印象がありますよね。

〜いままでに巨石はどれくらい撮影されてきたんでしょうか。
 日本ですと1500ヶ所くらいは行っていますし、世界では200ヶ所くらいでしょうか。”ハンター”というのは狩人という意味がありますけれども、あとなにか物事を探求するという意味もあるんですね。私は人と関わる大きな石というものをテーマに撮影していますが、それに加え、そこにどんな文化があったり、どんな信仰があったりするのかということも探求したいなという思いで、”巨石ハンター”というネーミングを付けています。

〜あまり普段意識したことないですけれど、人と石の関わりってあるんですか?
 たとえば、お墓ってだいたい石が多いですよね。そして、古い時代、例えばヨーロッパのドルメンとか、ストーンサークル。これは今から4000年くらい前につくられていた巨石遺構なんですけど、たとえば朝鮮半島、韓国には、コインドルというドルメンがあります。ドルメンというのは、2つ以上の石の上にテーブル状の石をのせているものドルメンといいますが、古代の人はそういう大きな石を使ってお墓をつくる。それが割と世界的にも多い現象だったんですね。ですから、お墓イコール石というのは、もともと世界中に共通した石の最初の利用の仕方だと思うんですね。
 日本で言えば古墳ですよね。古墳の石室もだいたい大きな石を使っています。特に日本の場合は、磐座(いわくら)って聞いたことありますかね?磐座信仰というのは、古事記、日本書紀とかにも出てくる言葉なんですけれども、自然そのものの石を利用したものと人工的なもの、色んなパターンがあるんですけれども、石そのものに信仰の永遠性、普遍性みたいなものを感じたり、たぶんそういうものから石への信仰というものが生まれたんではないかと思うんですね。


〜日本庭園にも石がたくさんあったりしますよね。
 日本庭園も私はすごく興味があります。大事な聖なる石って山にあることが多いんですよ。そういうものを身近に持ってきたのが日本の石庭文化ではないかと感じているんですけどね。

〜巨石ハンターになりたいと思ったきっかけってありますか?
 学生時代に沖縄の大学に行ってまして、沖縄ではウタキと呼ばれている場所がいっぱいあるんです。ウタキの中でも斎場御嶽(せーふぁうたき)という、いま世界遺産にもなっているところがあります。隆起石灰岩が高さ10mくらいの大きな岩があって、ちょうど三角状んになっていまして、そこを超えると神の島、久高島を遥拝できる。かつて琉球王府時代の最も聖なる場所とよばれているウタキがあるんですね。ウタキというのは地元のいろんな方が拝んだりする聖地なんですね。ほとんど石なんですね。石と森。木と石が一体になっている。岡本太郎さんが沖縄に来て、そこを見たときに、なにか目に見えないものがぎっしりあると。そういうことが文章にかいてあるんですね。私もそこに行くとゾクゾクするんです。何かわからないけど、体が変容していく自分がいて、聖地というものに惹かれて、やがて自分のライフワークとして聖地巡礼みたいなことをしていました。で、聖地にいると、なぜか大きな石と出会うんですね。聖地に行けば石と出会うということに気づいて、やはり信仰の元は石だなと。それでだんだん巨石というものに焦点を当てて、巨石ハンターという道を歩くようになったというのが今の私なんですね。

〜島根県の出雲にいったときに、山の奥に大きい岩があって、そこにしめ縄がされていて、地元の方の信仰の場所になっていたんですが、日本ってそういう場所も多いですよね。
 日本は非常に多いと思います。磐座とか石上とかいいますけど、出雲の場合は石上さんという言い方をするんですね。やはりそこに神様が降臨するというか、スサノオノミコトが降臨した岩とか、そういう伝承がたくさん残っているんですよね。私は出身は群馬県なんですけど、出雲に移住して7年なんです。本当に島根県って石上さんだらけなんですよね。そういうものを地域ごとの巨石マップというのをつくってまして、いま3つ作ったんですけど。ことしは隠岐の国のマップを作ろうと今計画しています。

〜隠岐の島にもたくさんあるんですね。
 はい。出雲大社の裏に大きな石があるのを知ってますか?出雲大社の真裏に素鵞社(そがのやしろ)いう小さい社にはお参りされましたか?そこは最近パワースポットとして非常に人気があります。素鵞社といって、スサノオノミコトを祀っている小さい社があるんです。その裏に大きな岩盤があります。実際地元の方はそこにお参りするんですね。で、岩に触ったりもするんですけど、そこは歯が痛い人が来ると歯がなおるとかね、もう全国からパワースポットとして注目されているんです。

〜海外でも同じようなことはありますか?
 たとえばオーストラリアのアボリジニという先住民が、有名なエアーズロック、地元ではウルルといいますが、これもやっぱり信仰の、巨大な岩山です。彼らは岩そのものを信仰の対象にしていますよね。

須田郡司さんのお話、いかがだったでしょうか。来週もインタビューの続きをお届けします。


須田郡司写真集『石の聲を聴け』方丈堂出版

【今週の番組内でのオンエア曲】
・NEW ERA / Nulbarich
・Closer (feat. Halsey) / The Chainsmokers

パーソナリティ

高橋万里恵
高橋万里恵

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