今週も、ガラパゴスだけに生息する不思議な生き物、ガラパゴスバットフィッシュに恋してしまった人、バットフィッシャーアキコさんのインタビューです。

泳がない。
動かない。
とくに何もせず海底で佇んでいる。
とにかく佇んでいる。
たらこくちびるで手足のようなヒレで佇んでいる。

そんな不思議な魚、ガラパゴスバットフィッシュ。

今日は、このお魚の謎の生態と、このお魚に会うためだけにガラパゴス諸島へ向かったアキコさんの人生の転機のお話です。

〜ガラパゴスバットフィッシュを研究してる人はいるんですか?
私もそれが気になったので調べたんですが、世界中のどこにもガラパゴスバッドフィッシュの研究をしている方がいないんですね。論文だったら何か出てくると思って検索をしたがんですが、メインで扱っているものは1つもない。ちょっと言及されているのが1つ2つあるかないかです。でもお膝元のガラパゴス諸島のチャールズダーウィン研究所には何かしらあると思ったので、2回目の大学4年生の時にチャールズダーウィン研究所に足を運んで、海の生態系を扱う部門で話を伺うことができたんですね。「私はガラパゴスバットフィッシュ大好きなんですが、どんな研究が行われているのですか?」とお伺いしたら「扱っていません」と言う結論だったんですね。。。なぜ?と思って深掘りして聞いてみたところ、チャールズダーウィン研究所は世界中の企業や個人の寄付で保全研究が行われている機関なんですが、ドナーとなる寄付をする側は、「ガラパゴスペンギンの保全の研究にお金を使ってください」「ジンベエザメの研究に使ってください」とプロジェクトのリクエストを添えて希望されるパターンがほとんどなんですね。もちろんその他の生き物でも、一刻も早くこの生き物を保護を始めないといけないというものは新たにプロジェクトを立ち上げて研究も行われるんですが、ガラパゴスバットフィッシュに関しては絶滅危惧種でもないんです。保護の必要もとりあえずないだろうという背景があって、扱っていないと説明を受けました。それはちょっとどうなんでしょうかと、拙いスペイン語で異を唱えたんですね。そしたら「そんなに好きならうちに来ればいいじゃん」と言ってくれたんです。想定外だったんですが、「たとえ君がここに加入したとしてもバットフィッシュメインの研究は難しい。だけどジンベエザメの保全の研究で船を出すときに、その帰りにちょっとバットフィッシュの事についてサンプルを取るとか、そういう形なら実現できなくもないよ」と言ってもらえて、こんなことになるとは思わなかったと喜びながら、ウキウキで帰国をして、無事に大学も卒業して、もう一度ガラパゴスに戻ってきたんです。これで私のガラパゴスライフが、バットフィッシュライフが始まるぞ!と思って行ってみたら、「ごめん、いまうち海洋部門に空きの席がないんだよ」と言われたんです。。。それでうろたえていたら、植物部門のリーダーが「うちで預かりますよ」と名乗り出てくださって、なので私は結局チャールズダーウィン研究所においては植物部門の、ガラパゴスヴェルデ2050と言う、植物生態系の保全に関する部署に所属して、平日は倉庫で保全の研究、勤務を行い、休日には個人的に海に潜って勝手に研究をするという生活を送ることになりました。

〜実際にガラパゴスバットフィッシュを研究してみて、なにかわかったことはありますか?
基本的にはたたずんでいる状態なので冷静沈着のようでありながら、実はうろたえがちなんじゃないかと思うことがありました。海の中でガラパゴスバットフィッシュを発見して、私も含めてダイバーが4〜5人で取り囲んだら、彼は普段と同じようにちょっと戸惑って後ずさりをして、いろいろ彼なりに考えたらしいんですね。前には私にいる、右にも左にもダイバーがいる、後はふさがっている。ならば上だ!と思ったらしく突然ジェット噴射するかのように、真上に浮上したんです。そしたら、ちょうどせり出していた岩がそこにあって、頭をぶつけて戻って来ちゃったんです。そのまま意気消沈して着地。そのまま後ずさりをして。あの時の様子からはうろたえているというか、てんぱっているとお見受けしたので、これは発見ですよね!ガラパゴスバットフィッシュはあきらめるんだと!

〜ガラパゴスバットフィッシュは何を食べて生きているんですか?
実のところよくわかっていないんです。私自身も実際にガラパゴスバットフィッシュが何かを食べているシーンを見たことがなくて、他のダイビングガイドにしてもそういったシーンはよく見たことがないそうなんです。カリブ海に生息しているロングノーズバットフィッシュという近縁種は、日本の水族館でも見られます。品川の水族館で会ったことがあるんですけれども、ちょうど飼育員がご飯をあげている時間にぶつかりまして、バットフィッシュがたたずんでいる目の前にエビのようなものを落としてあげたんです。でもエビが落ちてからそれを認識するのに30秒かかったんです。30秒経ってエビの方向に向き直して、そこから前傾姿勢になるのに30秒かかって、食べるまでにまた30秒かかっていたので、海の中でもすごく俊敏にものを食べるというのはちょっと想像しづらいですね。


撮影:バットフィッシャーアキコ

〜写真を拝見すると口が本当に口紅を塗ったように赤いのですが、なにか理由があるんでしょうか?
それも全く研究がされていないので不明な状態なんですけれども、可能性としてはその色で何か調べ物となるものを引き寄せるとか、そういった効果はもしかしたらあるのかもしれないですよね。

ガラパゴスバットフィッシュ愛好家で、NPO法人日本ガラパゴスの会スタッフ、
バットフィッシャー・アキコさんのお話、いかがだったでしょうか。来週もインタビューの続きをお届けします。

【今週の番組内でのオンエア曲】
・Afterglow / Taylor Swift
・この道を行こう / RIP SLYME

パーソナリティ

高橋万里恵
高橋万里恵

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