今週も引き続き、日本の森・里山、そして私たち人間の営みにずっと昔からかかわってきた動物・馬をめぐるお話です。
フリーランスカメラマン・高草操さんが、長年追いかけ続ける、日本各地の「在来馬」。
あらゆるものが機械化される中、その役割はどう変化していったのか。きょうはそんなお話です。


〜日本には新しい人と馬の関わり方が生まれているそうですが、これはどういったものがあるんですか?
例えばお祭りなんかもそうのひとつです。昔からご神事で馬を使っているお祭りも多いですが、お祭りのためだけに馬を飼ってらっしゃるような方も中にはいます。相馬ですとか鹿児島、昔からの馬産地、馬と関わりの深いところは今も祭りのために馬を飼っている方も多いと思うんですね。

〜相馬野馬追は馬が関わっていますし、流鏑馬も全国で見たりしますね。
そうですね。例えば昔のお祭りをわざわざ復活されたところもあって、これは例えば長崎県対馬の初午祭。2頭の馬を子どもの無病息災のために五月の節句の代わりに馬とばせという、馬に子どもを乗せて競走させたという風習がある地区にあったそうなんですね。それは途絶えていたんですが、馬飛ばせというお祭りをもう一回再開して、20回近くになったんじゃないでしょうか。毎年1回秋にそのお祭りを開催して、対馬馬の競馬とか、だいぶ盛大なお祭りが行われているようです。

〜時代とともに馬との関わりも変わってくるのかなという感じもしますね。
そうですね。なかなか昔のように、どう馬を活用していくかというのは、例えば競技馬や乗用馬はそれなりに乗るといこととか使い道があると思うんですが、在来馬に至っては使い道をいろいろ地元が模索しているというのが現状だと思います。

〜子どもたちのアイドルみたいな馬もいると伺ったんですが。
例えば愛媛県の野間馬という在来馬は、昔はみかんを運んでいたので各農家に必ずいたんですけれども、全部機械化されているので、農家で飼っている野間馬は1つもないんです。ただ土地の人たちが馬を大切にしたいということで、大きな野間馬ハイランドというテーマパークを作ったんです。野間馬も在来種の一種なんですが、野間馬ハイランドというのを住宅地の中に作ったんです。そこは観光用というか、地元の小学生や幼稚園の子供たちが遊びに来たり研究材料にしたり、地元の人たちに親しまれているテーマパーク、ホースパークなんです。それは一番成功しているようなところじゃないかなとも思っています。

〜野間馬はポニーみたいですね。
小さいです。ポニーなみに小さいんです。昔、お殿様に命じられて、各農家で馬を生産していたんですが、大きい馬はお殿様に献上して、小さい馬だけは農家で残された。それをみかんの運搬とかに使っていて、そういう掛け合わせが進んで小さい馬になったらしいんです。

〜これはかわいいですね。乗ったりできるんですか?
乗っていますね。幼稚園の子供たちや保育園の子が引率されてきてみんな順番に体験乗馬をしています。

〜子どもたちからしたら、自分たちの地元が昔は農家で馬を飼っていたというのを知らないかもしれないけど、こうやって触れ合うことで歴史というのをみんなちゃんと知ることができますね。
そうですね。あと木曽でも馬を飼っていた人たちが高齢化して手放しているので、1カ所の大きな施設で木曽馬の里というところに今を全部集めて、そこでいろんな活動をされています。木曽馬も新しい活用法をどんどん見つけているんだと思います。

〜例えば東京にはそういう文化がないじゃないですか。でも東京には馬事公苑のようなところで馬のイベントがあるとものすごく人が集まります。私たち人間にとって馬ってすごく魅力的なんですよね。
東京でも馬がいたところがあって、本の中でも1つ物流を支えた馬という項で取材したんですけど、昔江東区や荒川区のほうは馬力運送がすごく盛んで、今のトラックの運送会社の社長さん達は、昔はトラックじゃなくて昔は馬がやっていました。例えば関東大震災とか、第二次大戦のあととか、まだトラックも何も使えない時に馬が運送に貢献したということも、あまり資料が残っていないんですけれども、あります。今は全部トラックになっちゃいましたけど、トラック同盟の方々というのは、戦争の火の海でいろんなものがなくなり、犠牲になった馬たちもたくさんいたので、その遺骨を集めて江東区東陽町に大きな馬頭観音があって、そこに馬たちの遺骨を集めて今でも例大祭をやっているんですね。その幹事をされているのが東京トラック同盟の方々なんです。なぜトラックなのかというと、トラックで仕事をしている方々は昔は、馬で全部仕事をしていた方なんです。だから江東区の辺りは、当時は馬喰さんとか装蹄師さんとか、そういう馬に関係する方がものすごく全国から集まってきてすごい賑わいだったということを、いろいろお話しくださいました。それは非常に感動的な取材でしたが、そういう方々もどんどん高齢化しています。実際に馬を扱っている方、馬のことを生活として知っている方はどんどん減っていて、そういう方々の話をとにかく聞いて、残しておく。写真で残すこともできたところもあるんですけれども、例えばそういった人たちの話をいろいろ聞いて、資料に載っていない馬と人の関わりや、生活の匂いといいますか、そういうのはやっぱり残しておかなきゃいけないなと思います。

フリーランスカメラマンの高草操さんのお話、いかがだったでしょうか。
高草さんの本「人と共に生きる日本の馬」は JRA賞・馬事文化賞受賞した評価の高い本です。里文出版から出ています。是非チェックしてみてください!

『人と共に生きる日本の馬』高草操著 里文出版

今週の番組内でのオンエア曲
・カントリーロード / ジョン・デンバー
・かつて..。 / EGO-WRAPPIN'

パーソナリティ

高橋万里恵
高橋万里恵

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