今回は東京スリバチ学会という、不思議な団体の代表の皆川典久さんにお話を伺います。日本、特に東京には「スリバチ」と呼ばれるものがたくさんあるそうで、そのスリバチをこよなく愛する方です。
今週は、日本の森、自然について、またまたちょっと変わったアプローチで考えます。


〜お越しいただいたのは、東京スリバチ学会・代表の皆川典久さんです。皆川さんは、ブラタモリ、タモリ倶楽部なんかでもお見掛けする方。タモリさんが大好きな「地形」をめぐるお散歩のプロフェッショナルでいらっしゃいます。そしてそんな皆川さんが、長年 ウォッチし続けているのが「スリバチ」。まずは「スリバチ」って何ですか?
スリバチ状の凹地のことなんです。東京は坂が多いことで有名ですが、東京の山手は非常にでこぼこ地形でして、たくさんのスリバチ状のくぼ地があるんです。山あり谷ありではなく、平らな台地とスリバチ状の窪地なんですね。ですからなかなか気がつかない。例えば地名で言うと四谷とか市ヶ谷、千駄ヶ谷、幡ヶ谷など、東京では谷のつく地名が多い。という事は、そういったところには必ず谷間があって、谷間の集落が今の街につながっている。まさに東京は谷に着目すると、いろいろ歴史とか、個性が見えてくるんですね。また、「窪」もですね、例えば大久保という地名がありますけど、あれはもともと凹地のくぼ。その他にも荻窪とか、水に関係する地名も意外多いですよね。下北沢とか池袋とか。そういう風に、実は東京の地形は非常に面白いんですけれども、特にスリバチ状のくぼ地がたくさんあるんです。

〜なんで東京はくぼ地が多いんですか?
これはですね、実ははっきりとわかっていないんですけれども、湧き出る水が作った地形なんですよ。ですから凹地のそこに行くと、今でも水の湧いている場所もあります。枯れちゃったところも多いんですけれども、もともとは、湧水が作ったスリバチ状の地形なんですね。例えば、東京の池のある公園、広尾の有栖川宮公園、六本木ヒルズの中にある毛利庭園、それらはもともと水が湧いて作ったスリバチ状の窪地をうまく生かした公園なんです。

六本木毛利庭園

〜昔は平らだったけど、水が湧いて凹んだんですか?
10万年前とか6万年前、湧き出る水があちこちにあったというイメージを持ってください。そこに火山灰が降ってきたんですね。火山灰はどこから来たかというと富士山や箱根の火山から飛んできたんですけれども、水の湧いているところは火山灰が積もらずに流されますよね。そうすることによって水の湧いているところに火山灰は積もらない。それ以外のところは火山灰が積もるということで、湧水ポイントとか川のところがだんだん谷間に、窪地になって、スリバチ状の地形ができたのがおそらく理由だろうと思います。誰もわからないんですが、湧水のところに火山灰が流されてできた地形というのが、正しいのかなと思いますね。

〜そう聞くと、東京の風景、ちょっと違って見えますね?
と思いますよね。例えば渋谷川の源流、北へ上っていくとどこにたどり着くかというと新宿御苑なんです。新宿御苑には池がいくつかあるじゃないですか。あれらが渋谷川の水源のひとつです。もうちょっと正確に言うと、新宿御苑よりも西側にある天龍寺というお寺、新宿駅の南口の前にお寺があるんですけれども、そこの池が渋谷川の源流だったというのが一応記録はちゃんとされているんですね。そういうふうに見ると東京の武蔵野台地、山手を流れている川って、大体あちこちに源流、水源があるんですよ。それは今でも地上の窪地になっています。神田川ご存知ですよね。神田川の源流は井の頭公園です。井の頭公園って階段を降りて池にたどり着くと周りが緑に覆われているじゃないですか。あれがまさに地形的にはスリバチ状になっていて、スリバチ状の底なんですよ。あの形が湧水が作った地形。井の頭池っていまは湧水が結構枯れちゃっているんですけれども、もともとあちこちで水が湧いて、あれが神田川の源流になっている。スリバチ状の湧水が作った池なんですね。

井の頭公園

〜他にも東京の代表的なスリバチはありますか?
私が好きなのは新宿区四谷荒木町です。ご存知ですか。飲み屋さんがいっぱいある所ですね。

〜あそこには確か池みたいなのありましたよね。
あれがまさにスリバチ状の底にあったと思うんですよ。酔っ払っていてもとにかく坂を下りていけばたどり着けるところですよね。小さな池があって、その傍に祠があって。あそこはもともと大名屋敷だったところですね。それが今のような飲食街になりましたけれども、大名屋敷にあった池は、やはりスリバチ状の場所だし、湧水が作った池。実は荒木町って4方向を囲まれたスリバチ状の場所なんです。自然が作った流れる水が作った谷ですから必ず出口があるはずなんですよ。自然地形ですからね。でも荒木町で出口がないスリバチ。正真正銘の「一級スリバチ」と言っているんですけどね。なんで4方向囲まれちゃったかというと、もともとは谷の出口があったんですけれども、谷の出口におそらく江戸時代にダムを作って、湧き出る水をせき止めて大きな池を作ったんですね。今の池ってかなり小さいんですけれども、もともとはかなり大きな池だったわけですよ。ですから、荒木町の池を下りて、上ったら、実は江戸時代のダムを登って降りたことになっているはずです。そう考えると東京の街の凹凸っていろいろ歴史とか、文化とかを紐解くヒントになるんじゃないのかなと思うんです。ちょっと興味がわいてくる、自然の地形の面白さだけじゃなくて、実はそこに歴史のロマンも潜んでいるというのがスリバチの魅力なんでしょうね。

今週は、東京スリバチ学会・代表の皆川典久さんに、東京のいたるところに存在するスリバチ、スリバチ状の地形をめぐるお話を伺いました。
皆川さん本を出されたばかり。
「東京23区凸凹地図」
「東京スリバチの達人 分水嶺東京北部編」
「東京スリバチの達人 分水嶺東京南部編」
いずれも昭文社から出ていますのでぜひチェックを。

【今週の番組内でのオンエア曲】
・日曜の夜に鳴く鶏 feat.高田漣 / 大橋トリオ
・我が心のピンボール / 大瀧詠一

パーソナリティ

高橋万里恵
高橋万里恵

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