今回は、はるか数千年、数万年、数百万年、数億年前の
この地球の生き物をめぐるお話です。
お越しいただくのは千葉大学教育学部 准教授で
古生物学者の泉賢太郎さんという若き研究者!
具体的には何を研究対象にしているんでしょうか?




古生物学者なので化石を研究しています。
ただ、化石といっても私の場合は生痕化石といって
少し変わった種類の化石を研究しています。
生痕化石は一言で言うと動物の行動の痕跡。
種類があって、巣穴の化石、足跡の化石などいろいろあるんですが
私はその中でもうんちの化石に注目して研究しています。


うんちって化石になるんですか?

なることがあります。
100%全部があるわけでは無いですが、一部のうんちは化石になりまして、
その化石のでき方も大きく分けて
脊椎動物のうんち無脊椎動物のうんちで異なります。
脊椎動物は人間もそうですが、
背骨を持った魚とか両生類爬虫類哺乳類といった動物で、
そういった脊椎動物のうんちはイメージ通りといいますか、
水と有機物の塊なので放って置くとすぐ微生物に分解されちゃうので
周りが「うんちだらけ」ということにならないんですね。
ただし分解を何らかの理由で免れたラッキーなうんち
地層中に保存されると化石になります。




じゃあ、うんちの化石って、自然に還らなかったというか
何らかの理由でラッキーうんち的な感じですか?


まさにそうです!
普通は分解されちゃったりバラバラにされちゃったりするんですけど、
本当に何%かはすごくラッキーな奴が地上に残っててもとに、
うんちの化石だなと。ラッキーうんちたちです。



一番重要なのはそのうんちの主、
うんちをした動物が何を食べていたのかを明らかにするのが
実は重要な研究トピックになっています。
例えば私が重点的に研究しているユムシ
見た目はウィンナーみたいな、うねうね系の海底に住んでいる動物
がいるんですけれども、そのうんち化石を研究しています。
そういったものの中身を見てみるといろんな化石が入っていて、
うんち化石の中に小さなプランクトンの化石なんかが入っています。
なので、この海底に住んでいるユムシというのが実は海の浅い方ですかね、
海の表面のほうにいた植物プランクトンを食べていることがわかるんですね。
ただし、海底からユムシが伸びて海の表面まで体を伸ばすことは不可能なので、
海の表面に住んでいる植物プランクトンがゆっくり時間をかけて沈んできたものを
海底のユムシたちがバクバク食べていると、
そういったリアルな生態系のところまでうんち化石からわかります。


そのユムシのうんちの化石は大体何年前くらいのものなんですか

これもいろいろあって、私が研究した中で一番古いのは大体2億5000万年前
とかそのぐらいのものから、最近といっても数千年前ですかね。
なので地球の歴史が46億年あるので数千年前が最近だなというのが
少し不思議な感覚ですね。


いろんな動物がいて、いろんなうんちの化石があると思うんですが、
なぜ海底にいる名前も知らないウインナーのような
ユムシに注目したんですか?





これはいくつか理由があるんですけど、
やっぱり海の底の方が化石に残りやすいというのがあります。


例えば陸上だと雨とか風の影響でどんどん侵食されて、
ものがなくなっちゃうんですね。
一方そういったものって、巡り巡って海のそこに積もっていくので
海の化石の方が実は残りやすいですね。
その中でも例えば大型のサメですとか、でかくてかっこいい生き物は
魅力的なんですけれども数が少ないのでなかなか、うんちにも巡り会えない。
でもうねうね系というか、名もなき釣り餌になるような、
ああいう生き物たちってものすごい数がいたので、
その分化石の数も実は多いんですね。



採取の方法は、化石なので地層、岩石の中にあります。
なのでハンマーですかね、30センチくらいのハンマーと
ぶっとい釘を打ち込んで泥にまみれながら化石をとっています。



もう少し大きな動物のうんちの化石も研究されますか?

他の研究者の仕事なんですが、たぶん世界で一番有名な
恐竜ティラノサウルスのうんち化石も見つかっています。
サイズ感は幅が15センチくらいですかね。
長さ40センチ以上のかなり超巨大うんちの化石。




いま写真を見ていますが、これは、、、「うんち」ですね。

そうなんです。まさに、形もイメージ通りといいますか。
その研究成果によると、ティラノサウルスのうんちの化石の中には
例えば他の動物の骨のかけらとか筋肉のかけらとか、
そういったものが入っているみたいでティラノサウルスが
肉食恐竜だったと言うことを裏付ける、そういう重要な証拠になっています。
さらに、うんちを舞台にした興味深い生態系の舞台もわかってきていて、
ティラノサウルスのうんちを食べた動物、その化石が残っています。
ティラノサウルスのでっかいうんちの中を食べ進んだ糞虫の巣穴が
ティアラサウルスのうんちの化石の中に残っていると言うこともあるようです。


でも見た目うんちじゃないですか。
それを調べると、なんでこのうんちはティラノサウルスのだってわかるんですか?


それは実はものすごい重要なポイントで、
厳密に言うと100%ティラノサウルスのうんちというのはわからないんですよね。
恐竜が生きていた頃に人類はいませんし、タイムマシンがあるわけでもないので、
いろんな状況証拠から犯人を特定していくような感じで、
大きさサイズ感とかうんち化石の中に入っているもの、
これは肉食なのかなとか、あるいはうんち化石を含んだ地層に入っている
他の恐竜の化石はなんだろう、ティラノサウルスの骨があるぞ
と言ったいろんな状況証拠をひっくるめて、すごく正確に言うと
「ティラノサウルスのものだとみんなが考えているうんち化石」
ということになります。


ワクワクしますね。

そうですね。ロマンがあると思います。


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来週も、泉賢太郎さんにお話をうかがいます。
どうぞお楽しみに。

【今週の番組内でのオンエア曲】
・Say My Name (feat. Zyra)/ ODESZA
・Superstition / Stevie Wonder

パーソナリティ

高橋万里恵
高橋万里恵

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