はるか昔に存在した生き物たちの「うんちの化石」。
これの調査研究を続ける古生物学者・泉賢太郎さんにお話を伺ってきましたが、
きょうでラストとなります。



4月に集英社インターナショナル新書から「うんち化石学入門」
と言う本を出されたばかりです。
うんちの化石を分析したり現代の動物たちのうんちの大きさや重さを測ったりそこから太古の生き物たちの生態やその時代の自然環境を読み解くと言うものですが、うんちの化石を研究していくと実は今私たちが置かれている地球環境というか、温暖化や異常気象といったことを考える上で大切な事がわかるんですか?


今、温暖化が進行してそれに伴い異常気象が増えていると
よく聞きますが、実は地球の長い歴史を見てみると
何度も大規模な温暖化が起こっているんですね。
その地層に入っているうんちの化石を研究すると
昔起きた大規模な温暖化の時に、ひいてはそのうんちの化石の主の動物が
環境変動にどう影響受けた、といったことも分かってきます。
私自身はものすごい昔、
1億8000万年前くらいのジュラ紀と言う時代の地層と、
その中のうんちの化石も研究していて、
ジュラ紀前期にも温暖化が起こったことがわかっていて、
その地層のうんちを丁寧に分析すると温暖化の影響を受けて
サイズが変わっていることも見えてくるので、
昔の温暖化で動物がどういう影響受けたが、
もしかしたら同じ規模の温暖化が、いま或いは将来に
もう一度起きたらこういう種類の生物がこんな感じになるんじゃないか
と言うことが漠然とわかることがあります。



1億何千年前にあっただろう温暖化のときのうんちの化石を調べると具体的にどんなことがわかるんですか

小さくなっていますね。
それはたぶん暖かくなったことそのものの影響ではなくて、
海の地層の中の細いゴカイみたいなうんちの化石を見ているんですが、
そうすると海が温暖化すると海の中に溶けている
酸素の濃度が減ってしまう(貧酸素化)ことが分かっていて、
実はこれは現代の温暖化でも場所によっては
海の酸素が減る現象も既に起きています。
なのでおそらく酸素濃度が減ってしまったことで
代謝、呼吸などの活動が制限されてしまうので
大きな動物で激しい運動をするような動物は
酸素濃度が薄いところだとなかなか生きていけないと言うことで、
大きなサイズのやつはいなくなってしまって小型になってしまったと。
そういうところが見えてきますし、
おそらく今のまま温暖化が続いて酸素濃度が下がって
貧酸素化が進行してくると大型の動物ほど影響を
受けてしまうということが考えられます。




今の時代の戒めじゃないですけど、過去にこうなりましたと言うことを証明してくれて、怖がられる

そうですね。
過去を正しく知ることは将来予測の第一歩だと思います。
もちろん過去と現在、そしていま起こっていることが
100%同じでは無いですし、同じ温暖化でも地球自体の海と陸の配置だとか
いろんな地球の外の環境によっても、同じような温暖化でもこうなると言うのは
一様ではないので、過去は過去なんですけど、
もう少し大きな枠で見ると大体こういう方向に進んでいくだろう
というのがわかります。気象学とか数値シミュレーションとか
そういったものと連携していくことでより
将来がよくわかるのかなと思います。




お話を聞いていると生痕化石の中のうんち化石は過去のこともわかって戒めにもなるというのはわかったんですが、そうすると見てみたいと思います。うんち化石スポットというか、私たちが簡単に見られるところはありますか?

いくつかあると思います。
4月に出した『ウンチ化石学入門』でも詳しく書いたんですが、
例えば神奈川県三浦半島南部の城ヶ島と言う場所や、
高知県の室戸半島の南部には、比較的現場のアクセスも良く、
うんちの化石が見られる場所もあります。
ただ日本全国、鉄道の駅みたいな感じの頻度ではないので、
もう少し手軽にうんちの化石がどこかで見られるところはないかな
と言うと、オススメなのが大理石を使った建造物ですね。
ビルとかショッピングモールとか。
大理石って石材の名前で建築用語なんですけど、
私たちのような地質学の文脈だと
『結晶質石灰岩』と言う名前で呼んでいます。
石灰岩は昔の温かい海の底でできた岩石で、
サンゴとか貝殻とか昔のアンモナイトといった
化石がたくさん含まれているので、
大理石のビルの壁や床を見ると実はアンモナイトの化石が
普通にあったりするんですよね。
なのでそこをさらに見てみると、これはうんちの化石じゃないかなとか、
他にも生痕化石が見つかるかもしれないのでチャンスかもしれないですね。


じゃぁ泉さんは外に行って大理石があると見ちゃいますか?

やっぱり見ちゃいますね。
家族と一緒に出かけていると興味のないフリはしますけれども
ついガッツリ見ちゃいます。これはアンモナイトだなと。
「うんち」ないかなと思ったりもします。


ディズニーランドの隠れミッキーじゃないですけど。隠れうんち化石みたいな?

そんな感じの楽しさはありますよね。
なので都内のうんち化石スポットみたいなのが
まとめられたら面白いなと思っています。


素人でも、これはうんちだなと分かりますか?

注意すればわかるとは思います。
コツは、周りの地層とちょっと様子が違うところを
まず、ひたすら見つけるというのがあって、
例えば色とか、質感ざらざらしてるところに
ちょっとツヤっとしているとか、何か違うなと言うところを
いろいろ見るのがひとつのコツです。
ただし、周りの地層と様子が違うものが100%うんち化石ではなくて、
例えば人工的な割れ目だった、サビだったと言うこともあると思うんですが、
最初はとにかく何か様子が違う場所がないかなと探す。
運がよければそのうちの一部がうんち化石だったり、
巣穴の化石など生痕化石だったりすることがあると思います。


チバニアンに行って取材したときに巣穴や虫がはったあとは分かりやすかったですね

あれは色や構造、縞模様と、
同じような感じでものっぺりとした地層でも何かちょっと色が違う、
模様がちょっとついているかなと言うところがヒントになると思います。


今なかなか外に出るのは難しいですが、ワークショップみたいなのでこれはうんちの化石ですと言うのを地層を見ながら歩くとか、刺さる人には刺さるし、子供も楽しそうですね

子供はある程度素直に表現すると思いますし、
大人も旅のガイドブックとかにもちろん掲載されているわけではないので、
もうちょっとだけ、うんちブームが進んで市民権を得たら、
観光ガイドブックにうんち化石見学場所みたいなのがある面白いなと思ってます。


うんちの化石がすごく魅力的なことがわかりました。
4週に渡り、ありがとうございました



「ウンチ化石学入門」 は、集英社インターナショナルから発売中です。


【今週の番組内でのオンエア曲】
・ My Mind Is For Sale / ジャック・ジョンソン
・魔法のバスに乗って / 曽我部恵一BAND

パーソナリティ

高橋万里恵
高橋万里恵

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