今週は、「猟犬と猟師」がテーマです。
猟師さんと一緒に、山や森に入り、狩猟・ハンティングをする犬¬=猟犬。
実は私たちがペットとして飼っている犬も、猟犬の血を引いてたりします。

でも、実際にこういうワンちゃんが「猟をする姿」を見たことがある人は・・・
どうでしょうか?

じゃあ自分の目で見てみよう!と、取材したのが
ノンフィクション作家・北尾トロさん。
舞台は信州・長野。そこで目の当たりにした猟犬と猟師の不思議な関係、
いろいろ教えてもらいました。



『犬と歩けばワンダフル  密着! 猟犬猟師の春夏秋冬』。
にも書いたのですが、
ここ数年取材しているのが猟師と猟犬、それが船木さん。
とにかく変わっている方で、最初に挨拶したとき犬が四頭いて
多すぎない?と思ったんですが、犬の説明をするときも、
すごい情熱的で犬のことばっかり喋るですよ。
犬が大好きなんです。僕が会ったときは70歳だったのかな。
70年の人生で69年は犬と一緒で、全部猟犬。
お父さんが狩猟をやっていて、本業は一級建築士の立派な社長さんなんだけど、
一切その話はしなくてずっと犬の話。
犬たちも船木さんのことが大好きだというのがひしひしと伝わってきますよ。
僕なんかに目もくれないんです。(笑) 




船木さんが飼育しているのは紀州犬、日本の猟犬。
闘争心があって噛む力が強く、つまり山で鳥とかじゃなく
猪や鹿を捕まえるときに活躍する犬なんですね。
その犬たちを連れて山へ行って自分は銃を持って猟をするんです。
山でリードを離すと、自分たちがなんのために山に来たのか
犬たちは分かっていて、もうワクワクなんです。
「猟をするぞ」と。鹿や猪の匂いを嗅いでその足跡を追っていくのかと思ったら
そんなことは全然せず、空中に鼻をすっと持ち上げるんです。
空気、風から分かるというか。鼻がとにかく良いんです。
空気の中に漂うかすかな猪や鹿の匂いがわかるんですね。
本当に1、2秒クンクンとやって山に入っていくんです。


猟師さんは犬の首に無線機をつけているのでどこにいるのか分かるんです。
そしてこっちに行ったなというんで、なにかいそうだから行ってみようか、
という感じで猟が始まる。
スタートは犬から。ドッグファーストですから、あくまで。
犬の行く気にまかせて、山に入っても匂いが薄くなった、
やっぱりいなかったとなるとすぐに戻ってくるんです。



いよいよ獲物がいましたとなると本気モードに入る、スイッチが入る。
そのときは姿勢をぐっと低くして、
すごい脚力でダダダっとあっという間に見えなくなっちゃうんです。
また猟師さんもスイッチが入るから、70歳超えているのに、
一直線にまっすぐに登っていくんです。
普通は迂回しながら行くじゃないですか。
そうじゃなくまっすぐ登っていくんです。



狩猟スタイルはいくつかあるんですが、
船木さんの場合は犬が獲物を見つけて追いかけ、追い詰めます。
吠えたりして、イノシシがいたら足止めし、そこに船木さんが追いついて、仕留める。
犬がイノシシと戦う、犬が勝つんじゃなく、
犬はあくまでボス・お父ちゃんである船木さんが来るまで足止めさせるんです。
船木さんが仕留めると、船木さんは喜びますよね。
犬たちは、それを見たいんです。ご主人・船木さんを喜ばせたい、
船木さんにホメられたい、それでやるんです。
船木さんも獲物を捕ると犬を褒めちぎるんです。
よくやった!と。



それで船木さんは射撃があんまり上手じゃないんです。
何十年もやっているわりに上手じゃない。
それは上手になる気があんまりないからだとだんだん分かってきて。
つまり、いっぱい捕りたいわけじゃないんです。
ほどほどでいい。ただ、理想的な猟犬との猟をしたい。
理想の猟ができたときは本当に、銃を打つのは獲物から5メートルとか
そういう距離になって外しっこない。銃が上手い下手は関係なくて当たる。
そういう考えみたいなのね。犬と一緒に獲物を追い詰め獲物を仕留め、
喜びを分かち合い肉も分かち合う。完璧な猟ができれば、
射撃が下手でも絶対に当たるところから自分は打つことができる。
だから遠くから撃っている時点で失敗、
理想形じゃないという考え方なんです。



ある日電話がかかってきて、
飼っている犬同士の赤ちゃんができたと嬉しそうに電話をかけてきて、
僕は月1,2度ずつ訪ねていたが、しつけをするんですね。
最初に帰巣本能を身に着けさせる。
最初は母犬がそばにいないと、赤ちゃんは不安でしょうがない。
それを犬小屋から出して2m離すとすぐ戻る。
次の日は3m、次は4m.ある日は犬小屋が見えないところまで持っていく。
そうすると山で鹿を追いかけて遠くに行っちゃっても、
船木さんのもとに帰ってこられる。
帰巣本能がしっかり育っていないと、
迷い犬になってフラフラどこかいっちゃうから、
それの適性を確かめるところ。しつけというより適正を見る。
本にも書いたが一度日が暮れてしまって、4時半くらいでも真っ暗になる。
どんどん暗く足元も見えない。怖くて足がすくんだが、
生後半年の子犬たちがちょろちょろと来て僕を案内してくれた。
それも人間が歩きやすい道を、斜めに斜めに誘導しながら。
3mに一度くらい振り向くんです。「ちゃんと来てる?」みたいな感じで。
犬ってすごいなと。
本当に生まれたときから全然能力が違う。
人間にしか無い能力もあるけど、
山だとぜんぜん犬のほうが上だなと。



★集英社からこの春に発売された北尾トロさんの書籍
『犬と歩けばワンダフル  密着! 猟犬猟師の春夏秋冬』。

今週も、ノンフィクション作家・北尾トロさんがここ数年取材を続けている
信州長野の「猟犬と猟師さん」についてのお話でした。
次回もどうぞお楽しみください。



【今週の番組内でのオンエア曲】
・ミルクとシュガー duet with 上白石萌音/大橋トリオ
・ロアー 〜最強ガール宣言!/ ケイティ・ペリー

パーソナリティ

高橋万里恵
高橋万里恵

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