今週も引き続き、
ノンフィクション作家で、狩猟免許を持つ猟師さんでもある
北尾トロさんのお話です。
長野県で猟犬とともに猟をする「船木さん」のエピソードをいろいろ伺っていますが、
きょうは、北尾さんが数年間、その猟に同行して感じたという
「猟犬の能力のすごさ」のお話です。
実はあなたが飼っているペットのワンちゃんも
猟犬の血を引いていて、すごいポテンシャルを秘めてるかも・・・そんなお話です。



北尾さんの著書『犬と歩けばワンダフル  密着! 猟犬猟師の春夏秋冬』。
では、長野県で猟犬とともに猟を続ける船木さんを数年にわたり取材。
猟犬と猟師の知られざる世界を伝えてくださっていますが、
船木さんが猟犬たちを連れて山へ行くのに
何度も同行されているということですが、猟犬の賢さを感じる時はどんな時ですか?


例えば、狩猟シーズンに山へ行って猟をするのは
当たり前なんですが、それ以外のシーズンも、
ちょくちょく山には行くわけです。
犬をのびのび走らせたいという目的で。
自分たちが管理する山があって、そこだったら平気じゃないですか。
そういうところに連れて行くんですけど、
そういうときには例えば夏も猪はいるわけですよ。
だからイノシシの匂いをかぎつけられるわけじゃないですか。
追いかけたってよさそうなものなのに一切それをしないんですね。


今日は狩猟じゃないというのがわかっている。
なぜなのかと言われると不思議なんだけど、
例えば、船木さんの中から出るエネルギーというか、
やる気みたいなものが出ていないとか、
一番の違いは銃を持っていないということですけど、
それ以外には、例えば船木さんは秋になると
マツタケ狩りに燃えるわけでエネルギーは出ているけど、
そういう時も犬たちはさっさとくっついていくけど
全く船木さんのそばから離れようとしない。不思議でしょ。


不思議ですね。だってリードは外しているんですもんね。



だから銃がないことと、それから無線機がない。
その辺かなとも思うんだけど、本当にいちいち賢いんですよね。
山の奥に行って戻って来いよと呼びますよね。
そうすると戻ってくるんですけど、
その時に、あまり賢くない犬だと自分の匂いをたどって戻ってくる。
だけど賢い猟犬はそうじゃなくて、最短距離で戻ってくる。
だから、僕の目の前から上に上がっていった犬が、
どこにいるかわからない、すると僕の後からヌッと現れたりするんです。


行った時と違う道から出てくるんですか?

そうです。匂いと声のする邦楽とか全てをキャッチして。
耳も良いから。そして無駄なく効率よく戻ってくることができる。
それはすごいよね。


我が家の犬は絶対無理だなと思っちゃいました。

できると思いますがその能力を発揮する機会がないから
使っていないだけで、実はすごいんじゃないですか。


戻ってこないということはないんですね!



船木さんの犬に関してはそうですね。
だから全然心配しないんです。
無線機がキャッチできる範囲って法律で定められているから、
遠くに行っちゃうと地図から消えちゃうんです。
そうすると僕らもおろおろして、どこに行っちゃったんだろうと。
でも船木さんは「遅かれ早かれ戻ってくるから飯でも食うか」
という感じなんです。
だから絶対的な信頼感というか。
ただ、ひとつだけ心配しているのは、
すべての人が猟師に対して理解があるわけでもないし、
犬が好きなわけでもない。
だから、もし何かを追いかけてどこかの集落に獲物が逃げ込んで、
それを追いかけていた時に、リードをつけていないたくましい犬が、
集落をうろつくことになって、
そこにたまたまその家が鶏を飼っていました。
そこでガブっなんてことになったら大事件になる。
そしたら猟師の免許剥奪される!というのかと思ったらそうじゃないんです。
「犬が保健所に連れていかれる」と。
そんなことはできない。だからいつもと違う、
戻ってこない感じでもいろいろ種類あるらしく、
これはいつもと違うと思うと船木さんは必死で探すんです。
集落を。
それで、ここの集落もいない、ここもいないとなるともう安心だと。
車で待ってようか、寝てていいよと。
そうすると戻ってくるんです。車の匂いがわかっているから。
車は移動しても平気です。すごいよね。
でもそんな感じで、犬の賢さには本当に驚かされるというか、
人間の知能とはまた別の生き抜く力とか、備わっていると思います。



猟の成果というのは、、、?

船木さんの場合は年間に5、6頭獲れれば、
まぁいいやという感じなんです。
近年は獲物も減っているんです。
特に猪は、豚熱というウイルス性の病気があって
その影響でちょっと減っているみたい。
だからおかしいな、ここにいないなんてことがよくある。
あと船木さんがあまりガツガツしない猟師なので、
5頭を獲れれば良いかな、という。
イノシシ5頭にシカ1頭。本当にシカって猟師さんは獲りたがらない。
イノシシの方が猟としては高度で面白いんですよ。
シカはひたすら遠くへ遠くへ逃げるんですが、
イノシシは息をひそめたり刃向かったり、相手として手強いわけです。
その手強い相手をいかに追い詰めて、
ということなので猟師はシカを獲ったといっても誰も褒めてくれない。
僕は鹿肉大好きなので、
なんで?シカでいいじゃないですかと言うんだけど、
「シカなんかいつでも獲れる」という感じなんですよね。
それで、実際にシカがいても、船木さんは打ち損じるんですけどね。


「はずしちゃったよ、あはは」って悔しがりもしない。
それと、カモシカって撃っちゃいけないんです。
天然記念物です。でもいまは増えていてちょくちょくいるんです。
でもカモシカかどうか犬はわからないから
カモシカを追いかけて追い詰めちゃったりするんです。
でも撃ってはいけないし万一犬が飛びかかったりしたらダメだから、
「離れ離れろ」と。その辺のことを、
何百メートルも離れた無線機を通して
船木さんが「だめだ!」と言うんです。
船木さんはなぜカモシカだとわかるんですかと聞くと
「犬の鳴き方が違うんだ」と。
「イノシシの時だって相手のサイズによって違うだろ。
俺はオスかメスかも大体わかるよ」と。
それぐらいのアレがあるんですよ、
鳴き声ひとつにも情報があるんです。
うなり方とか、ぐうう〜とうなったり、キャインと鳴いたりしたら
相手が強いから早く行かなくちゃ。
そんな感じて、犬と一緒にいるとだんだんと
僕もわからないなりには察しがつくようになりましたね。
3シーズンぐらいやっていると。
言われてみると、弱々しい声だな、自信なさそうだなとか、
いろんなことが見えてくるんです。




★集英社からこの春に発売された北尾トロさんの書籍
『犬と歩けばワンダフル  密着! 猟犬猟師の春夏秋冬』。
が発売中です。


【今週の番組内でのオンエア曲】
・サマー・ガール / HAIM
・Ordinary Joe / テリー・キャリアー

パーソナリティ

高橋万里恵
高橋万里恵

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