高橋:今週も引き続き「生きのびるための流域思考」の著者で、
慶應大学名誉教授の岸由二さんのお話です。
雨の水を集めて川にする地形・・・「流域」。
実はこの考え方が、水害対策にも有効だということが分かっています。
神奈川にお住まいの方ならわかると思いますが、「鶴見川」という川が
そのお手本になるということなんですが・・・どういうことか、岸さんに伺います。




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高橋:山に降った雨の水が集まり、いくつもの川の流れを作り、低い土地へ流れていき、そして海へそそぐ。その雨水を川の流れに変える地形=流域。 日本はこの「流域」がいくつもパズルのように組み合わさって国土を作っています。 そしてこの流域をベースに考えることが、災害への備えとして重要と伺ったんですが、メジャー流域みたいなのはありますか?

岸:例えば港区役所なんていうのは渋谷川と言う川があって、
青山や渋谷は渋谷川の上流の方で、
渋谷区から港区に変わると古川と名前が変わっちゃうんですが同じ川。
渋谷川の流域なんだが重要で凄まじい雨が関東地方に振ると、
利根川や江戸川、荒川が全部一緒の川になって
すごい洪水になって降りてきて、
多分港区役所の玄関の先ぐらいまで来るんです。
だから大雨が降ってとんでもない大雨が降ったときの港区役所は
利根川流域かもしれない。


高橋:流域が広がる?

岸:流域は固定されるものでは無いから、
国土交通省の地図で見ると、ここは鶴見川の流域ですと言う町があるが、
大雨が降ると
「多摩川の水が3メートル、鶴見川の水で1メートル」と書いてある。
これは何かと言うと大雨が降ると多摩川からすごい水がきちゃうから、
多摩川の方が水没する。普段は鶴見川の流域なんだけれども
大雨の時は繋がっちゃう。
ちょっとややこしいんだけれども
、日本列島にいる限りは本当に特殊な場所を除いては
必ずどこかの流域の中にいます。


高橋:だとすると流域を自分たちでどう意識するのか、良い方法はありますか?

岸:2つあります。
1つは自分の住所がなんという川の流域にあるか調べようとすると
河川管理者は洪水に対応するために必ず流域地図を持っているから、
大きい川であれ小さい川であれ、
それが公表されていて検索可能だったらわかります。


高橋:わからないかもしれない?

岸:公表されてなければわからない。
もう一つは、公表されているされていないにかかわらず
自分で作る手がある。
自分で作る一番良い方法はいま住んでいる場所に降った雨が
どこに行くか雨水にくっついていく。


高橋:ちょっと面白そうです

岸:僕は慶応のゼミのような授業で、
雨が降ったら分水界探検隊と言って、
雨の日は教室ではなく雨水を追いかけて
慶応のキャンパスに降った雨がどこに行くか、
傘をさしてみんなで歩く。
追いかけられます。普通の傾斜がある土地だったら、
東京だったらどこでもできるんじゃないかな。
自分の家に降った雨がどこの川に入るかたどっていけるんですよ。
行ったら結構大きな川だったら必ず名前がある。
神田川だとわかったら、
自分は神田川に雨が流れていくところに住んでいるんだと。
それで神田川流域の中にいるんだから、
流域の形を決めるにはどうしたらいいかというと
その場所から川が流れてくる方向へ上がれば源流にでちゃうでしょう。
神田川だったら井の頭公園に行っちゃうじゃないですか。
支流の水をたどったり自分で探検ができる。


岸:自分はどこの川とくっついている人なのかを
リバーネームと言うことにして、
これは何かと言うと、クリスチャンの人のセカンドネームってあるでしょ。
そこに川の名前を入れる。
うちは、降った雨が鶴見川に行くから岸鶴見川ゆうじ。
生まれた場所でつけたい人は、
僕は目黒川のほとりで生まれたから岸目黒川ゆうじ。
生まれて育って今もずっと生まれて育って今もずっと鶴見だから、
岸目黒川鶴見川ゆうじ。
僕は仏教神道系なので三途の川を渡るかもしれないので、
わたると言う事は絶対にさんずの川の流域に行くわけだよね。
であれば、岸目黒川鶴見川三途川ゆうじになったら安らかじゃないですか。
そういう形で自分の領域を見つけることができるよと
アイスブレーキングでたくさんの人が集まって、
顔見知りじゃないでしょ、リバーネームを書いてくださいと。


高橋:ゼッケンみたいにして?

岸:岸北上川ゆうじとかなるわけですよ。
2、3分しゃべって良いと言うだけで打ち解けちゃう。
その時に、普通の自己紹介をすると僕は何々大学の何年生とか、
なんとかと言う会社で課長をやっていると言うつまんない話になるでしょう。
でも川で自己紹介をするんだから、
魚取りをしたとかしないとか洪水に遭ってひどい目にあったとか
面白い話になるでしょう。
これはとってもうまく使えるんです。


高橋:リバーネーム、自分はこの流域の人間だと、そうすると災害の時にどう役立ちますか?

岸:そこから流域探検が始まって自分のいる場所は
流域のどういう場所か、例えば流域というのは雨の水を集めて、
集水と言うんですが、集水されたものが流水になる。
侵食と運搬と堆積という作用を押しながら海に排水されていきます。
だから集水流水排水と言うのをするんだけど、
その途中で保水、降った水が川に行かないで池に止まったり。
遊水と言って溢れて田んぼに止まったり、
氾濫したり、それで海に行く。これは必ず川はやるんです。
川の必然だから。川の機能なんです。


岸:僕が今住んでいるところは
鶴見川の源流の標高125メートルの台地にいるから、
ここは降った雨が集水されるけど氾濫しないんです絶対。
今私が事務所を持っているところは横浜市の綱島と言うところだから、
大きな支流がいくつも合流するところなので大氾濫するんです。
だからどこに住んでいるかで、
川の下だったら海の水が来るかもしれない、津波も来る。
大雨が降るとすごい洪水が来る。


高橋:その流域をベースを考えるお手本が鶴見川なんですね。横浜市だったり川崎市だったり、町田市を通っている川ですね。:


岸:源流が町田市で川崎や横浜を貫いて東京に注いでいる。
それは何故かと言うと鶴見川と言う川だけ、
都市化が激しかったから日本の一級水系の中でも
度はずれに水害が多かったんです。
2万軒くらい水没する大氾濫が戦前と戦後にあって、
それがあるので鶴見川だけ、1980年、40年前に流域治水、
流域で治水をやると国が決めたんです。
そこで僕はずっと育って氾濫が減ってくるのも体験していて、
しかも総合治水と言う領域で治水をする
応援団の市民組織をお世話しているわけ。
だから国交省と連携して自治体と連携して企業も巻き込んで
流域で治水をする。
でも治水だけじゃもったいないから自然環境の保全とか
汚染の問題とかそれも流域でやっちゃおう
と言うのをみんなでやっています。
日本の一級水系108がこれからやることを
もう40年前からやっている。
その川の経験、流域で治水をするとどういう良いことがあるか、
過去、現在、いっぱい課題があってまだまだ本当に温暖化も
本当だったらとんでもなく起こるよということを書いたのが
「生き延びるための流域思考」。


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高橋:この流域というものについてさらに詳しく知りたい方は
◆岸由二さんの最新刊「生きのびるための流域思考」が、ちくまプリマ―新書から出ています。




【今週の番組内でのオンエア曲】
・琥珀色の街、上海蟹の朝/くるり
・Rainbow/G Love&Jack Johnson

パーソナリティ

高橋万里恵
高橋万里恵

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