高橋:東京・町田市、神奈川県・川崎市/横浜市を流れ、東京湾にそそぐ「鶴見川」。 この川が、いま国を挙げて進む「流域治水」のお手本になっていると言います。
なぜか。この鶴見川流域は、40年前から流域治水に取り組んできた先駆者だから。

市民活動として、
鶴見川の流域治水や、流域という考え方の啓発を続けてきた
慶應大学名誉教授・岸由二さんのお話です


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高橋:鶴見川が40年前から治水をやっているのは、土手を作ったりということですか

岸:日本の法律。低い場所の大水害を抑えるために
河川法というのを作って川を管理するんだけど、
川に入ってきた水をコントロールして水害にならないようにしよう。
それから下水道というのがある。
街に降った雨を川にもっていくまでは下水。
河川という帯の水の流れの首、下水道という人間の作った管、
この2つをうまくやって氾濫を抑えるうのが日本の治水の基本なんです。
従来のやり方。でももうこれがだめなわけだ。
鶴見川の場合はあまりにすごい勢いで都市化しちゃったから、
これからいくらお金を使って川を深くして幅を広げて
下水道を整備してももう間に合わないとわかっちゃったから
40年前に、河川法でも下水道法でもないことを本気でやった。
ひとつが緑を守る。
でかい森があれば降った雨の水は森が吸収するでしょう。
保水。だから森を守ることが治水をすることだと
町田の源流に1300ヘクタールくらいのなんで
こんなにでかい森があるんだというのが残されている。
熊と鹿以外、猪も来れば猿も来る。


岸:もう一つは、
急いで街にしない地域が都市計画上決まっていて
そこはなるべく開発しないようにしよう
というのが治水上の要請でお願いしてきた。
だから緑を一生懸命守ってきた。
それでも田んぼや畑や小さい森は街にしちゃうよね。
その時に保水力が落ちる。
街にしちゃうとコンクリートやアスファルトにしちゃうから
水が出てきちゃう。出てきちゃう水のある比率で
分量を池にして貯めてとお願いする。
だから鶴見川の開発はその後も進んでいるんだけれども、
例えば1ヘクタール開発したら500トン、
500立方メートルの水をためてとお願いをする。
まちづくりの指針やその他でお願いをして、
いま鶴見川にはそういう池が5000。
鶴見川って池だらけなんです。町田にはでっかい池がある。
横浜や川崎は大きなビルの下に地下貯留槽と言う池がある。
その5000で300万立米の水を溜める。
河川の整備で川をしっかり大きくして川を広げて池を作ったりもする、
下水道では地下にでかいトンネルを作って
降った水をトンネルに溜めちゃうということをやっている。
ものすごい金を使っているけどそれが従来の治水。
そうじゃなくて流域でやるというのは河川法でも下水道法でもない、
緑はなるべく残して田んぼを埋めないで、
街を作ったら保水力が減る分くらい池で溜めてください
というのをやって41年。
これから流域治水は日本中でいろんな形で始めるということ。


高橋:今そうやって治水を続けてきた鶴見川流域の氾濫は?

岸:戦後の神奈川台風が20,000件、
1966年に19500と言われているがほぼ20,000。
その後たいした雨でもないのに1000件、3000件、2000件と
続いちゃったので1980年に総合治水を始めて、
1982年、総合治水を始めて2年後に数千件規模の私の実家は戦前から
全部水没してるんだけれどもその時もしました。
それが最後で以後かなり大きな雨が降っても
鶴見川流域では川が氾濫すると言う事は無いんです。
あえて数量で言うと50年に一度降るくらいの雨でも
鶴見川は普通の降り方をしてくれれば大氾濫しないと思います。
じゃあ100年に1度の雨は? 氾濫します。
でも国土交通省は1000年に1度の豪雨を降らせたらどうなるか
と言う浸水ハザードマップを公表していて、
その図によると鶴見川の僕の育ったあたりは
5メートルから10メートルくらい水没する。
どうしますか。打つ手はない。


岸:これを流域対策だけで、流域治水だけでできるかわからない。
そして日本中の川はそこまで到底行っていない。
50年に1度の雨の大丈夫な状態になっているのはぜいたくな川。
10年に1度で溢れちゃうとかそういう川が
大半じゃないかなと思います。
鶴見川はそんなにお金を使って領域で治水をやってきても、
まだ50年に1度の雨のくらいしか耐えられない。
100年に1度の雨が来たら打つ手はない。
温暖化では本当にそういう雨が来るなら
もっととんでもないことを考えなきゃダメ。
流域で考えなきゃダメという状態です。
それで日本全国ここ10年ぐらい九州でも関西でも東北でも
北海道でも大きな河川が大氾濫しているでしょう。
これ流域治水でどこまでうまくやれるか、
本気でやらなければいけないところに来ている。
やってもすぐに100年に1度の雨に耐えられるようになるか
というとならないから、本当に冗談ではなくて
50年、100年、200年かかる仕事だと思います。
極端なことを言えば水没しそうな街はどこかに移動する
ということも新しい治水の視野に入っているから。
もうしょうがない。
東京の低地帯の住宅地は基本的には武蔵野台地に
引っ越しましょうと言うのも冗談じゃない時代になるかもしれない。


高橋:流域の話を変わってきましたが、
たどって楽しむ歴史散策、自然散策が面白そうですが岸先生お勧めの流域ってありますか?


岸:ぜひ遊んでほしいとお勧めすると小網代と鶴見川しかない。

高橋:鶴見川だったらどういうところがオススメですか?

岸:面白い仕掛けがいっぱいあって
流域水マスタープランという変なことを始めた。
治水は流域でやるのはもちろん。汚染問題も流域でやろう。
自然保護も全部流域でやっちゃえ。
地震対応もできる事は流域でやろう。
ついでにやる子どもたちを育てるときに横浜の子ども、
カワサキの子供、町田の子供じゃなくて鶴見川の子供で育ったら
もっと面白いじゃんと。子
育て地域文化づくりも流域でやりましょうという5本柱で、
鶴見川流域・水マスタープランと言うのをやっているんです。
それを始めて17年。そのための広報センターが
小机と言うところにあります。
鶴見川流域インフォメーションセンター。
流域センターというのがある。
治水のことから自然の事から歴史の事から下水の事から
全部勉強できるようないろんなツールがあって、
鶴見川に暮らしているお魚が水族館で
市民団体の応援で何十種類か泳いでいる。
ぜひその施設に行くと良いだけではなくて、
川沿いに歩こうと言うのを励ましているから、
実は鶴見川河口から源流まで基本的には
500メートルに一本ずつ距離杭が入っているんです。
ここは河口から何キロで源流から何キロと。
横浜市鶴見区鶴見駅で駅を降りて鶴見川のところまで歩いて
10分ぐらいまで行けるから、オススメですよ。
所々こんなすごい絶景があるのかと言う、
甘く見ていると鶴見川すごいと言うところがあります。
小網代はもっとちっちゃいから。
支流が合流すると水が増えるから土が増えて台が広がる。
また合流すると土が増えて、
合わせて生態系そこに植わっている植物がどんどん変わっていて、
海に行って谷が全部集めたドロで干潟があるねと言うことも全部わかる。


高橋:小網代で流域体験できますよね

岸:30分で体験できちゃう!

高橋:これからの季節はどんな景色ですか?


岸:寒いです。
寒いけども、寒い方が流域の構造はよくわかるよね。
緑が邪魔をしないから。ここで合わさって川になっている。
小網代って源流から海に行くまで5回に合流して海に行くんです。
手に取るように流域ってこうなっていてわかるんです。
冬はオススメ。防寒対応をちゃんとしていただいて。
三浦半島先端でも海風が入ってくるから非常に寒いです。


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◆岸由二さんの最新刊「生きのびるための流域思考」は、ちくまプリマ―新書から発売です。

【今週の番組内でのオンエア曲】
・THE FIRST TAKE/milet×Aimer×幾田りら - おもかげ (produced by Vaundy)
・Skylight/Gabrielle Aplin

パーソナリティ

高橋万里恵
高橋万里恵

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