高橋:さて、今週は、いま世界中の生物学者が注目しているという
日本のある島をめぐるお話です。
ゲストは、鳥類学者・川上和人さん。
海底火山の噴火によってどんどん面積を広げるあの島、小笠原諸島・西之島の
調査チームの一員として知られています。
西之島がなぜ世界から注目されているのか。島でいま起きているコトとは。
いろいろ伺いたいと思います。




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高橋:今日は、本州からはるか南の海の彼方で、
私たちの想像も及ばないスゴイことが起きている「あの島」のお話です。
スタジオにお越しいただいたのは森林総合研究所・島嶼性(とうしょせい)鳥類担当チーム長で鳥類学者の川上和人さんです。よろしくお願いします〜。


川上:島嶼性とは、簡単に言うと
「島の」という意味だと思っていただければと思います。
僕は生物学者ですが生物学の中で島の生物を研究するというのは
一大分野になっているんですね。


高橋:島といえば川上さんは鳥類学者としてあの島にも何度もアクセスしていらっしゃいます。小笠原諸島の西之島。その調査チームのメンバーでいらっしゃいます。まず西島の現在に至るまでの経緯を把握しておきたいんですが?

川上:2013年に噴火したのが有名なんですが
その前にもいちど噴火をしていまして1973年に噴火をしています。
偶然僕が生まれた年なんですが、
それまではとても小さくて7ヘクタールしかない
小さい小さい島だったんですね。
ところが73年の噴火で、近くで海底火山が噴火して
海底火山とつながる形で面積が大きくなって、
大体30ヘクタール弱くらいの大きさになりました。
それから40年ほどは特に噴火はなかったんですけれども、
2013年から大きな噴火がまた起こりまして、
その結果島のほとんどの部分が溶岩と火山灰に
埋まってしまったんですね。
それで2015年くらいまで一旦大きな噴火終わったんですが
2019年からまた新たな噴火が起こってしまいまして、
2020年6月、7月くらいまで続きました。
この時にものすごい量の溶岩と火山灰が出てしまって、
完全に過去の島は全て埋まってしまって、
全く新しい島が出来上がったというのが西之島の、
僕ら生物学者にとって興味深いところになります。


高橋:このぐらいのスピードで島が、海底火山が大きくなっていくのは珍しいですか?

川上:なかなか珍しいことですね。
世界的に見るとアイスランドにスルツェイという島があって、
これが1963年ごろにやはり火山の噴火で新しくできた島なんですね。
あと有名なのが1883年くらいからの噴火でできた
インドネシアのクラカタウ島というところにある小さい島が
新しくできたりしたんですが、
実はそういう島は他の島からすぐ近くだったり、
大陸からすぐ近くにある島でした。
隣の島まで5キロとか10キロくらいしかないそういう島だったんですね。
ところが西之島の場合は本当に孤立していて
、例えば本州から1000キロくらい。
隣の島まで130キロもあるという環境なんですね。
これほど孤立したところで新しい島が出来上がったのは、
実は人類史上初めてです。その点では日本だけでの
イベントと言うよりも、これは世界的に見てすごいことだと
考えてもらえればと思います。


高橋:そんな凄いことが東京から1000キロくらいのところで・・・東京都ですよね。。。

川上:東京です。だから首都・東京でそんなことが
起きていることも実感して欲しいなと思います。



川上:最近も海上保安庁が定期的に観測に行っているんですが、
10月、11月の観測の記録なんかも発表されていて、
そこで見るとまだまだ噴煙をたくさんあげていて
もくもくと上がっていて、まだまだ活発な場所なんだなと
思いますね。我々人間にとっては1回の噴火が
1年続くと長いと思うんですけれども、
地質学的な年月を考えると1年なんて一瞬ですし、
1回の噴火のまとまりが5年から10年続くのは
それほど珍しくないのではないかと思います。
いまが直径2キロくらいの、
ほぼ円だと思ってもらえれば良いと思います。


高橋:結構立派な島になっているんですね。

川上:そうですね。
私も噴火の前から環境省の調査で2019年の後半に
西之島には調査に行っていたんですけれども、
噴火の前は本当にとても小さい低い島だったんですね。
標高が20メートルから30メートルしかない平らな島だったんです。
それが噴火が起こってから行ってみると、
標高はたぶん200メートルを超えているなという状況で、
火山灰がものすごい量出てしまったんですね。
そのためにすべての地形が火山灰で覆われてしまっていて、
溶岩で前はゴツゴツしていたんですが、
そのゴツゴツが全てが火山灰で埋め尽くされて平らになっていたんですね。
雪が降った後って全てが雪に包まれて平らになりますよね。
あれと同じような状況が火山灰で
出来上がってしまったと考えてもらえれば良いと思います。


高橋:色としては茶色?

川上:どちらかというと灰色ですね。何しろ火山灰というくらいなので。まさに灰の色なんですよ。

高橋:上陸はできるんですか?

川上:それが去年の調査では残念ながら
上陸調査は難しくてですね。
まだ噴火が終わったところでしかも噴火も
断続的に時々噴火をする状況だったので、
上陸は危険だと言うことでまだできない状態でした。
そのため、去年の7月も9月も環境省の調査で行ったんですけれども、
船で行ってその船からドローンを飛ばして陸上の調査をしたりとか、
後は島の周りの海洋生物、海の中の生物調査なんかも行っています。


高橋:ドローンで見ると生き物がいたりするんですか?

川上:2019年の調査の時にも
実は昔の島がちょっとだけ残っていたんですね。
そのためにそこには植物も生えていましたし
昆虫なんかも生き残っていたんです。
ところがその島の部分も全部埋まってしまって、
何もいないのかなと思って言ったんですけれども、
やっぱり植物はもうどこにも見ることができなかったですし、
ただ、鳥だけはものすごい数が生き残っていました。
これは海鳥なんですけれども、カツオ鳥という名前の鳥とか、
アジサシの仲間などそういう鳥があちこちで繁殖をしていて。
これはびっくりしたんですけれども、
噴火があったのがそれこそ2020年の6月、7月くらいまで。
そこからわずか1年しか経っていないのに、
その時にはちゃんと巣を作って卵を抱いて繁殖をしている
姿を確認することができました。


高橋:じゃあ鳥たちはそこが良いと思ってそこに巣を作っているんですもんね

川上:不思議な話ですよね。
我々人間が考えるとそれだけ噴火で環境が変わってしまって
全てがいちど溶岩で焼き尽くされて、
その上火山灰ですべてを追われてしまって
全く違う環境になってしまったわけですよね。
にもかかわらずその鳥たちはその島で繁殖を、
何もなかったように続けているんですよね。


高橋:だって周りに行けば小笠原諸島ですからいろいろ草木も豊富な島もあるのにと思っちゃいますもんね

川上:隣の島まで130キロといっても
鳥にとってはすぐなんですよね。
1時間2時間飛べば行けるはずなのに、
他の島に行かずに西之島に居続けたというのが
すごいなと思ったんですけれども。


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高橋:このインタビューは、トンガ沖の海底火山噴火の前に行ったものです。
いずれにせよ海底火山によって地球は今も変化を続けている、ということを改めて感じさせられるお話でした。



【今週の番組内でのオンエア曲】
・I NEED YOU/ジョン・バティステ
・Bolero/Def Tech

パーソナリティ

高橋万里恵
高橋万里恵

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