久々にレギュラーコーナーメインでお送りした『福のラジオ』
１０代、そして学生さんの相談にお答えする
【ねえ聞いて、福山おじさん！】のコーナーに届いたメッセージです。

福岡県・ゆんちゃん(15歳女子)
福山おじさん、相談に乗ってください。
私は演劇部に所属しています。
中学までやっていた陸上とは
また違う新鮮さがあって楽しいんですが、
30代くらいのOBが時々演出をつけたり、
レッスンに来るのだけが嫌です。

この前も頼んでもいないのに、
怒りを教えられたんですが、
その時に、
「お前ら、人生でものすごく人を憎んだことあるだろ？
　それを思い出せ！！」
って言われて、私は
「すみません、そんなに人を憎んだことないです。」
と答えたら
「それはお前が生きて来た人生が、うっすいんだよ！」と言われ、
私からしたら、そりゃそうだろ、
まだ15年間しか生きてねえし！！って感じです。

てか、
人生経験とかでマウント取りに来る感じがマジないわ、
昭和かよ！！って感じです。

本当に来ないで欲しいんですが、
大会の時とか色々サポートしてくれる人らしく、
部としてはそんなに冷たくできないようです。
アドバイス通りにしないと怒るし、
でも私はそのアドバイスいらないと思うんです。
こういう面倒な人との付き合い方ってどうすればいいんですか？

ゆんちゃん、ズバリ言ってもいい？？
そのOBのこと憎んだらよかたい！

香川照之さんなんかとも話したことあるんですが、
例えば、ロケで本当に寒い時とかあるんですよ。
そういう時、たまたまそのシーンが
悲しみとか怒りとかのシーンだったら、
寒いっていう身体的、外的要因を
芝居に有機的に使えるから、
寒くてラッキーだったと思ったりするんです。

だからゆんちゃんも、
怒りっていうのを表現してみて！って言われたら
その人に対して怒ればいいんですよ。
セリフは台本通りのことを言えばいいので、
感情自体をその人にぶつければいい。

ゆんちゃんのこの稽古、エチュード（即興劇）ですよね。
怒りやってみてってポンっと言われるわけだから、
心の中では、
「くっそ、このOBめ、、お前のこと嫌いなんだよちくしょう。」
って思って、
「私はどうして、、どうしてこの世に生まれて来てしまったの、、！」
みたいに、セリフは何でもいいから適当なこと言うんです。
感情の置き方、ぶつけ方は、
目の前に怒りの対象がいるんだから
そこにぶつければいいんじゃないでしょうか？

僕も偉そうなこと何も言えないけど、
俳優って非常に便利な仕事で、
ムカつくこととか
理不尽なこととか
いかんともしがたい劣等感とか
自分に対する失望感とかに対する
怒り、不平不満とかあった場合、
・・・全部お芝居に活かせるわけですよ。
役柄上、有機的に使えるんです。
そして、自浄作用としても使えるんですよ。

音楽でもそうですよね。
作詞作曲とか、音そのものに感情を乗せることができる。
平和じゃないですか？それって。
人を傷つけずに済むし、
お芝居上で解消できるし、
もっと言えば、
みんなが思っている不平不満を
自分が自分の感情も含めて
代弁して解消することもできるし、
非常に便利な装置なんですよ、お芝居って。

まずはゆんちゃん、こんどそのOBさんがいらっしゃったら、
このやり方、使ってみてはいかがでしょう？